避難所や食糧に困る人々に貢献した、あるエンジニアの問題解決のマインドセット

ユタ州リーハイにある TI のウェハ ファブのエンジニアが、TI の企業価値を体現し、住居のない人々のための、より広範でサステナブルなソリューションに向けて取り組んだことが評価され、TI の Community Impact Award を受賞しました

04 8月 2024

エンジニアは、問題を個々の要因へと分解し、細部に至るまで完璧を追求することに誇りを持っています。TI の ユタ州リーハイにあるウェハ ファブ (LFAB) に勤めるプロセス エンジニアの Nathan は、地元コミュニティに良い影響を与えるために自らの時間と能力を投じる機会があると考え、エンジニアとして課題を解決するときと同じアプローチを取りました。

「笑い話のようなものなのです」と Nathan は語ります。「キッチンのシンクの下にたくさんの買い物袋をため込んでいて、『他の人たちはこの袋を何に使っているのだろう?』と考えたのがきっかけです。近所の住人が、住居のない人たちのために、買い物袋から寝袋を作っていることを知り、それが最適な活用方法だと考えました」

Nathan が驚いたのは、その住人がたった 1 つの寝袋を作るのに 400 もの買い物袋が必要で、彼が何週間もかけて集めた 50 袋ではまるで足りなかったことです。また、その寝袋を必要としている人たちに配布するための支援も必要でした。

「既存のシステムのギャップを見つけて、根本原因を特定し、問題を解決するのが好きです。「既存のシステムのギャップを見つけて、根本原因を特定するのが好きなんです。避難する場所が無く見過ごされている人たちはまだたくさんいます」とNathanは語ります。

 

拡大する影響

Nathan は、点と点を結び付け、ソルトレイクシティで住居がなく困っている人々へのサービス格差に対処する、数か月間にわたるミッションに着手しました。まず、近所の住人が作る寝袋をどこに寄付するのかということから始めました。

「たくさん質問し、人間関係を築くことから始めました」と Nathan は語ります。「多くの機会を見て、『もっと良い方法が必ずあるはずだ』と考えました」

LFAB でコミュニティ リレーションズ マネージャを務める Vanessa Perez は、Nathan を地元の食料品店に紹介し、その食料品店の許可のもと、Nathan は本来なら捨てられてしまうビニール袋を回収することができるようになりました。Nathan は週に 2 回、自分の車のトランクに数千枚もの袋を詰め込み、近所の住人に届けていました。Nathan が長い時間をかけて回収した 100,000 枚を超える袋は、寝袋へと織り込まれ、それらをユタ州北部の非営利団体、Nomad Alliance に届けました。

Nathan はフルタイムで働いていることに加え、同団体で週に数時間のボランティア活動を始めました。団体が奉仕する人々への食糧の提供を支援する方法を見つけ、地域の非営利団体や食品サービス業者との連携を通じて、賞味期限が近いフルーツや野菜を配布する活動を行っています。Nathan は廃棄されるはずの 7 トンの食糧を回収し、空腹に悩む人々を支援しました。

「私にとっては、これが最大限の影響を与えられる活動です」と Nathan は語ります。「平均で週に 3 日、自分の車を食糧でいっぱいにして、非営利団体や、生鮮食品を迅速に消費できる高齢者センターに届けました」

農産物提供者の1つであるうち、ソルトレイクシティ付近の地元農場から、 働き手を求めているという話を聞き、Nathan はその農場経営者と提携し、パートタイムの作業と引き換えに住居のない人々に部屋と食糧を提供する、「路上から農場へ」というプログラムを立ち上げました。


Nathan と提携し、支援を必要とする人々に農場での手伝いと引き換えに食事と住居を提供している、農場経営者の Robin (左) と Jayme (中央)

 

「Nathan は、路上で生活する人々に住居を提供し、農場での仕事を通じてその人たちに自信を取り戻させるという、この素晴らしい相乗効果を生み出すことができました」と Vanessa は語ります。「彼の試みは、誰もが戸棚やキッチンのシンクの下にため込んでいるビニールの買い物袋を集めることから始まり、このような本当に影響力のある取り組みへと発展しました。彼は思いやりのある人道主義者であり、このホームレスという大きな問題に恐れることなく取り組む、先見性と戦略的思考力の持ち主です」

 

安定に向けた道の開拓

Nathan は、住居のない人々向けにより恒久的な解決策を見出すことに、特に熱意を注いでいます。Nathan は、サービス格差や慢性的なホームレスの根本原因を明らかにすべく、アメリカ自由人権協会や Salt Lake Valley Coalition to End Homelessness との協議を促進し、地域の団体と連携して、小型トレーラー ハウスを活用した安全な仮設住宅ソリューションの提供に取り組んできました。

「自分の持ち物を保管できて安心感が得られる、信頼できる場所があれば、そこから安定に向けて歩み始めることができます」と Nathan は語ります。「すべてを失って瀬戸際に立たされている人たちの気持ちは、よくわかります。そのような状況では、自分を見失ってしまうこともあります」

TI は、創設者、およびその創設者たちが携わった慈善事業やボランティア活動の長い歴史を称える賞である、Community Impact Award を Nathan に授与しました。その表彰の一環として、TI は Nathan が選んだ非営利団体であるThe Other Side Villageに 10,000 ドルを寄付しました。The Other Side Villageは、慢性的なホームレス状態から抜け出そうとしている人々に、手頃な価格で常設かつ高品質の住宅を提供する計画区域です。

「世界中でより強力なコミュニティを構築することに自らの時間と能力を捧げ、無私無欲で根気強く活動している Nathan や TI 従業員をとても誇りに思います」と、TI の寄付およびボランティア活動担当のディレクターを務める Andy Smith は語ります。「当社の従業員が人々の生活を好転させていると聞くと、奮い立たされます。Nathan の取り組みは、困窮している人々の生活を向上させるために TI 従業員が日々実践している親切な行為や奉仕活動のほんの一例です」

Nathan にとって、この目的のために自分の時間や能力を捧げることは容易な選択でした。

「私がこの特定のコミュニティに奉仕しているのは、私自身が自分の家を失う寸前の状態に陥ったことがあり、以前にフード スタンプ (米国で失業者宛に渡される食糧引換券) を利用したことがあったからです」と Nathan は語ります。「私は、安全な家と、次の食事が支給される場所を知っている、という事実が、人生に非常に大きな安心をもたらすことを理解しています。また、すべての人に固有の価値があることを信じています。ホームレスのような状態に陥るのは容易ですが、そこから復帰するのは非常に困難なのです」