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ニュースリリース

日本TI、消費電力を大幅に削減するWolverine(ウルヴァリン) マイコン・プラットフォームを発表

2012年02月29日

超低消費電力の限界を超えた『MSP430』新マイコン・プラットフォーム

SCJ-12-027

2012年2月29日

日本テキサス・インスツルメンツは、新型の『MSP430』超低消費電力マイコン・プラットフォーム(コードネーム『Wolverine(ウルヴァリン)』)を発表しました。この新しいプラットフォームは、リアルタイム・クロック・モード時に360nA、アクティブ時には100μA/MHz未満と、従来のマイコンに比べ大幅に消費電力を削減し、かつてない長期間の無電源動作アプリケーションを実現します。例えば、指に装着して、何も触れずにデジタル世界を操作する装置や、あらゆる建物で環境インテリジェンスを有効にするマイコンと同じサイズのソーラーパネル、また、一酸化炭素検知、温度自動調節制御、生体認証セキュリティを搭載した従来と同サイズの煙探知器などが可能になります。このプラットフォーム初のデバイスである『MSP430FR58xx』マイコン・シリーズは、2012年6月にサンプル供給される予定です。

iSuppli Chinaのチーフ・アナリストであるケビン・ワン氏(Kevin Wang)は次のように述べています。「血糖値計および煙検知器のような日用品の電池寿命は、近年10年から20年と非常に長くなってきていますが、それとともに性能も大幅に向上しています。この傾向は、他の多くのアプリケーションにも波及しつつあります。今回、TIが発表した革新的なWolverineローパワー・アーキテクチャは、超低消費電力アプリケーションの可能性を大きく飛躍させるとともに新たな業界標準を確立します。コンシューマ用途から医療用途および産業用途に至るまで、無限の成長を見込めます」

あらゆる条件で、業界で最も低い消費電力を提供するマイコン・プラットフォーム

Wolverineプラットフォームは、動作時や待機時およびメモリやペリフェラルの消費電力が極めて低く、使用条件に関係なく業界のあらゆるマイコンと比較して、最も優れた消費電力性能を提供します。例えば、典型的な電池動作アプリケーションでは動作時間の99.9%がスタンバイ・モードですが、Wolverineマイコンは、スタンバイ・モード時の消費電力が360nAと非常に低いため、従来の低消費電力マイコンに比べ電池動作時間を2倍以上に延長することが可能です。TIは、次のようなWolverineマイコン・プラットフォームの超低消費電力アーキテクチャおよび革新的なテクノロジーにより、最新の低消費電力技術を追求し続けています。

  • 独自のウルトラ・ロー・リーケージ(ULL)プロセス・テクノロジーによる革新

TIは、漏れ電流特性を10倍に向上し、ミックスド・シグナル機能の最適化を実現するULLテクノロジーを開発しました。130nmプロセス・テクノロジーの向上、超低消費電力の『MSP430』アーキテクチャおよび、電力を最適化した30個を超えるアナログおよびデジタル部品の組合せなどにより、劇的な消費電力の低減を実現しています。

  • FRAM搭載により、他に例のない高い性能および信頼性を提供

Wolverineマイコンは、世界で最も低消費電力の不揮発メモリであるFRAMの利点を活用し、アクティブ・モード時に100μA/MHz以下の低消費電力を実現し、フラッシュおよびEEPROM搭載のマイコンと比較して、1ビットあたりの消費エネルギーを250分の1まで削減しました。これらの消費電力の利点に加え、FRAMは完全に不揮発性であるため、開発各社は、フラッシュの重要な特長である無電源時の記憶保持機能と、SRAMの低消費電力、高速動作および柔軟性を同時に活用できます。さらに、プログラム領域とデータ領域の容量比率は設計サイクルのいかなる時期にも自由に変更することが可能で、従来の組込みシステムのように固定された容量比率に縛られることはありません。

  • 実績ある『MSP430』超低消費電力システムの伝統、ペリフェラル群およびソフトウェアが開発を簡素化

TIの『MSP430』プラットフォームは、10年以上に渡り低消費電力のリーダーの座を確保してきました。この新しい超低消費電力アーキテクチャは、6.5μsの高速起動時間、内部電源管理および12ビットのA/Dコンバータなどの高精度ペリフェラル群を備えながら、消費電力を75μAまで削減します。すべての『MSP430』マイコンは、MSP430WareTM ソフトウェア、リソース・パッケージおよび超低消費電力を実現するコード最適化ツール群によりサポートされます。MSP430Wareを使うことにより、開発各社は『MSP430』マイコンのすべての設計リソースに、デバイス、ツールおよびソフトウェア・ライブラリ別に容易にアクセス、フィルタおよび抽出ができるため、製品の設計を大幅に簡素化し、市場投入時間を短縮することが可能です。

価格および供給について

Wolverineテクノロジー・プラットフォームをベースにした『MSP430FR58xx』マイコン製品は、2012年6月にサンプル出荷の予定です。開発各社は、およそ500品種に上るTIの『MSP430』マイコン製品ポートフォリオを用いて、超低消費電力製品の開発を迅速に開始できます。

TIのマイコンおよびソフトウェアの幅広いポートフォリオ

TIでは、『MSP430TM』16ビット・超低消費電力マイコンから、『Stellaris®』ARM Cortex-M3/M4F 汎用マイコン、『C2000 TM』32ビット・ハイスピード・マイコン、さらに『Hercules TM』ARM セーフティ・マイコンまで、豊富かつ幅広いマイコン・ソリューションを展開しています。またこれらの製品の開発を支援するTIの統合的なソフトウェア、ハードウェア開発ツール群、強力なパートナー製品、および技術サポートが、お客様の製品の開発期間を短縮します。

TIの革新的な製品について

TIの80年を超える歴史の中核は、革新的な製品の開発です。現在、TIは、超低消費電力のプロセシングおよびシグナル・コンディショニング、エネルギー管理、クラウド・コンピューティング、セーフティおよびセキュリティ、医療用その他の各市場分野において業界を変革するテクノロジーのロードマップおよび製品を供給しています。TIは、顧客各社、業界コンソーシアムおよび大学と協働し、現在から将来に渡って、あらゆる生活、仕事および遊びを向上していく、差別化した製品を開発しています。

※ MSP430、MSP430WareおよびC2000はTexas Instrumentsの商標です。およびStellarisはTexas Instrumentsの登録商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。