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ニュースリリース

日本TI、セキュリティ機能を搭載した組込み制御向けの新型プロセッサを発表

2011年06月17日

DSP製品およびDSP+ARM®プロセッサ製品において セキュア・ブートおよびマルチ・レイヤの暗号化を提供、 顧客の知的財産の流出を防止します。

SCJ-11-049

2011年6月17日

日本テキサス・インスツルメンツは、低消費電力32bit浮動小数点DSPの『TMS320C6748』ならびにARM9とC674xを統合した『OMAP-L138』DSP+ARM®プロセッサに、新たにセキュリティ機能を搭載したラインナップを追加します。これらのプロセッサはTIの『C6000TM』DSPおよび『C6-IntegraTM』DSP+ARMの各製品プラットフォームの一部であり、今回発表されたセキュリティ機能は次の通りです。

  • セキュア・ブート機能: 顧客が開発したアルゴリズムを第三者が改ざんすることを防止することで、悪意のあるソフトウェア(マルウェア)への感染やリバース・エンジニアリングまたはシステムの不正コピーなどによって、非認証ユーザーによる顧客システムの不正・不法使用および動作をブロック
  • マルチ・レイヤの暗号化: 上記のとおりブート手順の安全性を保ったままで、フラッシュ・メモリ上の起動プログラムおよびアプリケーション・ソフトウェア・コードをリモートでアップグレードすることが可能。マルチ・レイヤの暗号化は、デバイス固有のユニークな暗号鍵を使用することで有効となり、更新が必要な場合には、顧客はその暗号キーを使用して新しい暗号化イメージを作成、新規イメージをオンライン・ネットワークなどで受け取り、既存のコードに上書きする手順を提供

このセキュア・ブート機能および、セキュリティで保護された環境でのフィールド・アップグレード機能の恩恵を受けるアプリケーションの例として、認証済みのアルゴリズムを使用する医療用の患者モニタ装置のほか、悪意ある第三者による傍受や、不正アクセスによる操作がないよう、安全な通信を確保する必要があるソフトウェア無線(SDR)などが挙げられます。

TIのOMAP-L1x DSP+ARMプロダクト・マーケティングの責任者であるジョイ・イー(Joy Ji)は次のように述べています。「特定市場において企業の競争力を向上する、差別化に最も役立つ要素はソフトウェアですが、ソフトウェアは、その企業において最も費用がかかる要因でもあります。TIが業界をリードする自社のプロセッサ製品にセキュア・ブート機能を統合した理由は、強化された新型プロセッサ製品が顧客の投資の保護に役立つからです。このハードウェアベースのセキュリティ・システムを使用することで、典型的なソフトウェアベースのソリューションよりも堅牢なIP保護を実現できます」

セキュア・ブート・テクノロジーが必要なアプリケーションのうち、製造施設が必要なものについては、TIの「Elite Design House Network」のメンバーであるLogic PD社が、設計サービスのほかに、米国の武器国際取引に関する規則(ITAR)および医療機器の品質保証のための国際標準規格であるISO 13485に準拠した製造サイトにより、実装までのサポートを提供することができます。

またTIでは、『C6748』DSPおよび『OMAP-L138』DSP+ARMプロセッサ向けに、電源設計を簡素化するとともに、最高の電力の節約を提供する、幅広いパワー・マネージメント・ソリューションを供給しています。

C6748 DSPおよび『OMAP-L138 DSP + ARMプロセッサの特長と利点

特長

利点

堅牢なハードウェアベースのセキュリティを提供:

  • スタンドアロン・ユーティリティ付きのセキュア・ブート
  • マルチ・レイヤの暗号化をサポート
  • 暗号化されたフォーマットのIPおよびイメージを外部の不揮発メモリ(NANDおよびNORフラッシュ)に記憶
  • ブート・プロセスにおいて、ハードウェア・ファイアウォールを使用してデバイス内に隔離された領域を作成、『OMAP-L138』DSP + ARMプロセッサ内で、ARM上で実行される汎用アプリケーションとDSP上で実行されるコードの分離を実現
  • ブート・コードおよびアプリケーション・コードの保護および、各ブート・モジュールの解読に使用する複数の暗号キーの指定が可能

TIの『C6000』高性能DSP:

両プロセッサともに、業界で最も低価格、低消費電力の『C6000』浮動小数点/固定小数点演算DSPを統合

高精度、高ダイナミックレンジの浮動小数点演算、高性能の固定小数点演算を提供、リアルタイム向けに高いシステム性能を実現

差別化を提供する統合性:

  • 『OMAP-L138』 DSP + ARMプロセッサは低消費電力のARM9TMコアに『C6748』 DSPを統合し、デュアル・プロセシング能力を提供
  • 直覚的に理解できるヒューマン-マシン・インターフェイス、タッチ・スクリーン、ネットワーキング機能などを追加し、より高い柔軟性を提供
  • Linux®およびWindows® Embedded CEなどのオペレーティング・システムによって、高レベルのシステム制御を実現

消費電力のオプション:

  • 代表的な使用例における消費電力は420mW、スリープ・モードの消費電力は11mWと低消費電力の『C6748』 DSP 、また『OMAP-L138』 DSP + ARMプロセッサでは480mW、スリープ・モードの消費電力は11mW

開発各社において、信号処理機能を備え、移植のしやすい、電力効率の高いアプリケーションの実装を実現

ペリフェラル群の統合:

ユニバーサル・パラレルポート (uPP)、Ethernet MAC (EMAC)、シリアルATA (SATA)、マルチメディアカード/セキュア・デジタル(MMC/SD)、ハイスピードUSB 2.0/1.1、ビデオポート・インターフェイスおよびLCD コントローラなどを統合

  • uPPはデータ・コンバータ、FPGA、その他のプロセッサとの間で高速接続を実現
  • EMAC、SATAおよびMMC/SDは、デスクトップ、ネットワーク、ポータブル・コネクティビティ、ストレージなどとの接続を実現
  • LCDコントローラはユーザー・インターフェイスおよびビデオポート・インターフェイスを追加でき、製品性能の拡張に役立つビデオ・グラフィクス・アレーの分解能を備えたビデオ・ディスプレイを実現

価格および供給について

セキュア・ブートおよびマルチ・レベルの暗号化機能を搭載した『C6748』DSP『OMAP-L138』DSP+ARMプロセッサは現在サンプル出荷中で、375MHzおよび456MHz動作および、工業用温度範囲の製品を供給できます。1,000個受注時の単価(参考価格は)『C6748』DSPは18.00ドルより、『OMAP-L138』DSP+ARMプロセッサは同21.40ドルより設定されています。また、TIではセキュア・ブート対応のデバイスとして、『C5000TM』超低消費電力DSPプラットフォームを供給中で、今後、DSP、DSP+ARMおよびARMの各プラットフォームのソフトウェア互換デバイスに、異なるレベルのセキュリティ機能の搭載を予定しています。

※ C6000、C6-IntegraおよびC5000プロセッサはTexas Instrumentsの商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。