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ニュースリリース

日本TI、開発各社においてマルチコアDSPの能力をフルに発揮させるために役立つ、新型開発ソフトウェアを発表

2011年05月18日

  • TIのマルチコア・プラットフォーム上の開発を迅速化する、新型マルチコア・ソフトウェア開発キットを提供
  • 標準化されたプログラミング環境のサポートを提供
  • フル・スイートのソフトウェアを無償でダウンロード可能

SCJ-11-039

2011年5月18日

日本テキサス・インスツルメンツは、新型の『TMS320C66x』DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)世代をはじめとしたTIのマルチコアDSPデバイスを搭載する製品の迅速かつ容易な開発に役立つ、数種類のソフトウェア・アップデートを発表しました。この発表により、TIのソフトウェア製品は、新型のマルチコア・ソフトウェア開発キット(MCSDK)、最適化されたマルチコア・ソフトウェア・ライブラリ群、『C66x』DSP世代へのLinuxカーネルのサポートおよび、OpenMPTMアプリケーション・プログラム・インターフェイス(API)による構成となります。開発各社は、これらの無償でダウンロード可能な、最適化されたソフトウェア製品群を使うことで、TIのKeyStoneマルチコア・アーキテクチャ上で製品をより短期間で開発できるとともに、マルチコアDSP搭載製品の利点をフルに活用できます。

TIのコミュニケーションズ・インフラストラクチャ部門の総責任者であるブライアン・グリンズマン(Brian Glinsman)は次のように述べています。「現在まで、TIの一貫した目標は、開発各社に、マルチコアDSP搭載製品をより開発しやすくする、簡素で強力な選択肢を供給することです。一言で言って、製品設計の過程で最適な性能を実現する主役はソフトウェアであり、TIのソフトウェア製品は唯一、マルチコア開発各社向けに複数の特長および利点を提供することから、TIのマルチコアDSPプラットフォームによる製品開発をただちに開発できます」

MCSDKについて

TIのMCSDKは、コア間およびチップ間の通信のための効率的なマルチコア・コミュニケーション・レイヤ、SYS/BIOSと統合された検証済かつ最適化済のドライバ群、リアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)および、適切なデモンストレーション例を含むLinuxサポートなどを一つにまとめたもので、開発各社に、念入りに統合されたソフトウェア開発プラットフォームを提供します。このような統合アプローチによって、開発各社はニーズに適合するソフトウェアを自由に選択でき、製品の開発期間を大幅に短縮できます。またMCSDKはそのままでTIの『C66x』および『TMS320C64x+』高性能マルチコアDSPに使用できることから、ソフトウェアの再利用および、より低い開発費用で、より高い投資効果を実現できます。

Linuxのサポート

これまでTIのマルチコア・デバイスをサポートしてきたLinuxカーネルに、今回、『C66x』DSPアーキテクチャが追加されました。アプリケーション開発各社が自社製品の重要な特長としてオープンソース化を打出す中で、TIの『C66x』DSP向けのLinuxの供給によって開発が必要なソフトウェアを少なくでき、開発各社はアプリケーション内の、より差別化に役立つ機能およびソフトウェアに集中できることから、より多くの利点を得ることができます。Linux カーネルは、『TMS320C6670』、『TMS320C6671』、『TMS320C6672』、『TMS320C6674』および『TMS320C6678』の各デバイスをはじめとした『C66x』DSPや、『TMS320TCI6618』SoCをサポートするほか、『C64x+』DSPもサポートしています。

最適化されたライブラリ群

TIでは、『C66x』DSPの命令セット・アーキテクチャ向けに、最適化されたDSPライブラリ(DSPLIB)およびイメージ処理ライブラリ(IMGLIB)を提供しています。TIの『C66x』DSPの命令セット・アーキテクチャは、業界で初めて、ネイティブ・モードの固定小数点演算および浮動小数点演算をサポートしました。TIでは、今年中に、DSPLIB、IMGLIBおよび追加カーネル群に、新たな拡張を追加するほか、ビジョン解析、暗号化、音声およびファクシミリ向けに最適化されたライブラリ群を供給する予定です。これらのライブラリ群は、一般に使用される最適化済カーネル群を実装していることから、ミッション・クリティカル分野、テストおよびイメージング、イメージ解析およびビジョン解析をはじめとした、広範囲の高性能アプリケーションにおいて、処理上の大幅な利点を提供します。

OpenMP API

 TI では、『C66x』DSP向けに最適化済のコンパイラおよび、KeyStoneマルチコア・アーキテクチャ向けランタイム・ソフトウェアをサポートするOpenMP API群のサポートの追加を予定しています。『C66x』DSPはOpenMP APIをサポートする初のマルチコア・デバイスです。OpenMP APIは、TIのマルチコアDSPを使用する開発各社向けに、公共安全および防衛、医療およびハイエンドのイメージング、テストおよびオートメーション、高性能コンピューティングをはじめとしたミッション・クリティカル業界において、並行アプリケーションを開発するための、簡素で高い柔軟性を備えたインターフェイスを提供する、ポータブル、スケーラブルなモデルです。

OpenMP ARBのCEOであるラリー・メードウズ氏(Larry Meadows)は次のように述べています。「TIのKeyStoneマルチコア・アーキテクチャは、高性能マルチコア・アーキテクチャ・アプリケーション分野において、羨むべき実績を持っています。TIによるOpen MP APIのサポートは、組込みプロセシング分野の開発各社にとって重要な前進であるとともに、組込みシステムからスーパーコンピュータまで、あらゆるレベルのコンピューティング分野におけるOpenMP APIの重要性を示すものです。当社では、TIのサポートを歓迎するとともに、今後、TIとの協同作業にも期待しています」

価格および供給について

各ソフトウェア・アップデートは、TIのサイトから無償でダウンロードできます。また、すべてのソフトウェア・アップデートはTIの低価格の評価モジュール(EVM)である『TMDXEVM6670L』および『TMDXEVM6678L』上で実行できます。両EVMには、無償のMCSDKCode Composer StudioTM(CCS)統合開発環境(IDE)およびアプリケーション/デモ・コードのスイートが含まれていることから、新型の『C66x』DSP上で、迅速なプログラム開発を実現します。

TIKeyStoneマルチコア・アーキテクチャについて

TIのKeyStoneマルチコア・アーキテクチャは、真のマルチコアの革新を実現するプラットフォームであり、開発各社に堅牢で高性能かつ低消費電力のマルチコア・デバイスのポートフォリオを提供します。飛躍的な性能を提供するKeyStoneアーキテクチャは、TIの『TMS320C66x』新型DSP世代を開発する基礎となりました。KeyStoneは、その他のあらゆるマルチコア・アーキテクチャとは異なり、マルチコア構成のデバイス内の、一つ一つのコアの処理性能をフルに発揮させる能力を提供します。KeyStoneアーキテクチャを搭載するデバイスは、ワイヤレス基地局、ミッション・クリティカル、テストおよびオートメーション、医療用イメージングおよびハイエンドのコンピューティングをはじめとした高性能市場向けに最適化されています。『C66x』マルチコアDSPについては、http://www.ti.com/c66multicoreをご参照ください。

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