2011年02月10日
SCJ-11-011
2011年2月10日
日本テキサス・インスツルメンツは、ポピュラーなOMAPTMファミリーの次世代製品として、スマートフォン、タブレットそのほかのモバイル向け小型電子機器の「あり方」や「使い方」を変容させ、毎日の生活をより価値あるものにしていく新製品として、OMAP 5 モバイル・アプリケーション・プラットフォームを発表しました。
TIは、モバイル・レベルの低消費電力でPCと同じような計算能力を持つ1台のモバイル機器を、オフィス、家庭、そして外出先など、異なる環境で使うことを想定しています。例えば、オフィスでは、このデバイスを使い、立体3D(S3D)ビデオ・カンファレンスができます。このデバイスを持ってミーティングに参加し、プロジェクタを使い、このモバイル機器から文書をスクリーン投射します。この場合には、スクリーンに投射されたイメージにタッチするだけで、内容を簡単に編集できます。家庭に帰れば、このモバイル機器をパーソナル・オペレーティング・システムに切換え、ワイヤレス・ディスプレイ・テクノロジーを経由してHDTV上で次世代ゲームを楽しみます。これらの例は、TIのOMAP 5プラットフォームが独自に実現できる数多くの機能の、ほんの一部です。このほか、OMAP 5プラットフォームで実現できる、さまざまなユーザー体験についてはOMAP 5のビデオをご参照ください。
OMAP 5が継承する、業界最小の消費電力と最高の性能
28nm(ナノメートル)プロセス・テクノロジーで製造されるOMAP 5アプリケーション・プロセッサは、先行のOMAP 4プロセッサと比較して、性能と機能の大幅な向上と同時に、消費電力の低減を提供するOMAPファミリーの伝統を受け継いでいます。特にOMAP 5 プロセッサは、OMAP 4プラットフォームのサンプル・ユーザー体験と比較して、平均消費電力を60%近く低減しながら、最高3倍の処理性能と5倍の3Dグラフィクス性能の向上を提供します。さらに、OMAP 5 プラットフォームのソフトウェアは、既存のソフトウェアを最大限に再使用できるよう設計されているので、先行のOMAP 4 プラットフォームのからの移行が容易です。
TIのOMAPプラットフォーム・ビジネス総責任者でバイスプレジデントのレミ・エル-ワゼーン(Remi El-Ouazzane)は次のように述べています。「ユーザーが必要とするコンピューティング、エンターテインメントおよび複雑な毎日のニーズ、興味などのすべての要件に対応するため、1個のモバイル機器にあらゆる機能が集約され続けており、次の10年間には、モバイル・コンピューティングに革命がもたらされることでしょう。しかし現在までは、真のモバイル・コンピューティングの実現手段がありませんでした。小型のモバイル機器に要求される小さなバッテリーで、業界最高のコンピューティング、グラフィクスおよびマルチメディア性能を供給するOMAP 5プラットフォームこそが、このモバイル・コンピューティングの革新を推進する主役となることでしょう」
多機能の調和によって実現可能な最高のユーザー体験を提供する洗練されたマルチコア・プロセシング
OMAP 5プロセッサは、現在、最新鋭のARMアーキテクチャを備え、1個のコアあたり最高2GHzの動作が可能なARM® CortexTM-A15 MPCoreTMを2個内蔵しています。Cortex-A15コアは、同一クロック周波数のCortex-A9コアと比較して50%の性能向上に加え、最高8GBのダイナミック・メモリ・アクセスおよびハードウェアによるビジュアライゼーションをサポートしていることから、冒頭で例示したような、真のモバイル・コンピューティング体験を実現できます。
OMAP 5アーキテクチャは、数多くの異なるプロセシング・コアの知的な組合せを活用しています。これらの一つ一つが、特定機能向けに調整され、消費電力を最適化されるとともに、互いに調和して実現可能な最高のユーザー体験を提供します。OMAP 5プロセッサは、2個のCortex-A15コアのほかに、ビデオ、イメージングおよびビジョン、DSP、3Dグラフィクス、2Dグラフィクス、ディスプレイおよびセキュリティなどの機能のそれぞれについて、個別の専用エンジン群を統合しています。さらにOMAP 5プロセッサは、Cortex-A15コアのリアルタイム処理の負荷を軽減するとともに、モバイル機器の低レベルの制御および応答時間を向上する、2個のARM Cortex-M4プロセッサを内蔵しています。
ARMのプロセッサ部門の総責任者兼EVPであるマイク・イングリス氏(Mike Inglis)は次のように述べています。「モバイル機器の限られた消費電力の範囲で、より高いプロセッサ性能を必要とする、進歩したスマートフォンおよびタブレットなどの高性能モバイル機器が引き続き求められています。OMAP 5プロセッサは、ARMのビジネス・モデルの利点を顕著に現す製品です。当社とTIは協力関係の中で、低消費電力のマルチコアARMプロセッサ・コアと、パワー・マネージメント、オーディオおよびビデオ処理をはじめとするTI独自のシステム・オン・チップ・テクノロジーとの統合によって、差別化した製品を実現してきました。OEM顧客各社は、広範囲のARMソフトウェア・エコシステムを活用し、革新的な新型モバイル・ソリューションを迅速に供給できます。当社では、TIのOMAP 5プラットフォームに寄与できたことを誇りに思います」
次世代のナチュラル・ユーザー・インターフェイス
OMAP 5プラットフォームのS3D、非接触、近接センスを含むジェスチャ認識およびインタラクティブ・プロジェクションをはじめとした進歩した機能群のサポートによって、直覚的で自然な方法で、モバイル機器と周囲の世界との間でやり取りができるNUI(ナチュラル・ユーザー・インターフェイス)を実現できます。
OMAP 5プロセッサは、最高4 個のカメラを並行してサポートできるほか、1080p映像品質でS3Dビデオの録画および再生が可能です。また2Dコンテンツを、リアルタイムで1080p解像度のS3Dへ変換できます。OMAP 5プロセッサは、2DまたはS3Dカメラを使用して、最先端の近距離および遠距離のジェスチャ・アプリケーション、フル・ボディおよびマルチ・ボディのインタラクティブ・ジェスチャを提供可能です。また、OMAP 5プロセッサをTIのDLP® PicoTMプロジェクタおよびカメラと組み合わせることで、ユーザーがテーブルトップまたはスクリーンに投射されたイメージに実際にタッチ・アンド・ドラッグできる、インタラクティブ・プロジェクションを実現できます。
さらに、様々な種類のセンサ・テクノロジーとインターフェイスし、活用できることから、近接センス、キャパシティブ・センスおよび超音波センスなどをはじめとした非接触センシングを実現できます。
業界の次の開拓分野であるコンピュテーショナル・フォトグラフィーをサポート
現在、ほとんどのモバイル機器はカメラを内蔵しています。しかし、モバイル機器の物理的な制約から、デジタルSLRカメラをはじめとしたスタンドアロンのコンシューマ向けエレクトロニクス製品と同等の画質やビデオ品質を得ることができません。計算アルゴリズムを使い、これらの制約を補正することで、この画質の切れ目を補完します。OMAP 5プロセッサは、カメラの安定、手振れ補正、ノイズ除去、高ダイナミック・レンジおよび顔認識処理などをはじめとした各種アルゴリズムの開発および展開を実現できるハードウェア資源およびソフトウェア資源を備えています。またOMAP 5プロセッサは、顔認識、オブジェクト認識およびテキスト認識などの各種アプリケーションを実現するために必要となる、画像データから特長を抽出するビジョン・アルゴリズムを備えたOMAP 5のハードウェア資源を使用できます。これらのビジョン機能を基礎として、多種類の、興奮をもって語られるリアリティ・アプリケーションを構築できます。
業界最高のオールラウンドなアプリケーション・プロセッサ・プラットフォーム
OMAP 5プラットフォームは、オープン・ソース・プラットフォームから、TIの補完テクノロジー群まで、次のような数多くの特長と利点を提供します。
特長 |
利点 * |
1個のコアあたり最高2GHzクロックで動作する2個のARM Cortex-A15コア |
真のモバイル・コンピューティングを実現する、3倍もの性能を提供 |
2個の ARM Cortex-M4 コア |
低消費電力でありながらCPU負荷を軽減すると同時に、リアルタイム応答を向上 |
マルチコアの3D グラフィクスおよび専用の2Dグラフィクス |
5倍のグラフィクス性能、より高速で、より応答速度が速いユーザー・インターフェイス |
マルチコアのイメージングおよびビジョン処理ユニット |
顔認識、オブジェクト認識およびテキスト認識をはじめとする、次世代のコンピュテーショナル・フォトグラフィー体験を提供 |
マルチコアIVA HD ビデオ・エンジン |
1080p60 HD ビデオおよび高性能、低ビットレートのビデオ・カンファレンス機能を実現 |
進歩したマルチ・パイプラインによるディスプレイ・サブシステム |
複数ソースからのビデオ/グラフィクスを合成可能 |
4個のディスプレイを同時サポート可能 |
最高3つのQSXGA解像度の高解像度LCDディスプレイに加え、HDMI 1.4a 3Dディスプレイをサポート |
高性能、マルチチャネルDRAMおよび高効率の2Dメモリをサポート |
複数のARMコアおよびマルチメディア機能による最先端の使用形態を支えるメモリアーキテクチャ、時間の遅れや画質の劣化なしで、より優れたユーザー体験を提供 |
強化された暗号方式を備えたTI M-ShieldTM モバイル・セキュリティ・テクノロジー |
エンド・ツー・エンドのデバイス保護およびコンテンツ保護を提供 |
数々の最新、高速のインターフェイス群 |
USB 3.0 OTG、SATA 2.0、SDXC フラッシュ・メモリ、MIPI® CSI-3、UniPort-M ならびにLLIなどの豊富なインターフェイスが、より高速のWi-Fi、4G ネットワークおよび、HD コンテンツ・データレートをサポート |
オーディオ、消費電力および、バッテリー・マネージメントの最適化を提供するプラットフォーム・ソリューション |
最適化されたOMAP 5 プラットフォーム・ソリューションを実現するTIの補完デバイスを供給 |
次世代のコネクティビティ・テクノロジー |
HD ワイヤレス・ビデオ・ストリーミング、ワイヤレス・ディスプレイ、モバイル支払いおよび、強化されたロケーション・ベースのサービスを実現 |
*数値は、『OMAP4430』アプリケーション・プロセッサとOMAP 5 プラットフォームの比較
TIでは、顧客各社の製品開発に役立つオープン・ソース・コミュニティに参加し、活用することで、OMAP 5プラットフォームにより高い価値を提供しています。これまでにコミュニティ内で精力的に実施された消費電力、メモリおよび性能の最適化などのプロジェクトの成果は、モバイル・デバイス製造各社に品質とスケジュール上の大きな利点を提供します。さらに、ポピュラーなLinux対応の配布が可能なTIの統合済ソフトウェア・パッケージは、製造各社において製品の市場投入時間を短縮すると同時に、最高のシステム・レベルの性能を実現するために役立ちます。
価格および供給について
OMAP 5プラットフォームは、2011年後半のサンプル供給および、2012年後半の個別デバイスの出荷を予定しています。LPDDR2メモリをサポートする『OMAP 5430』プロセッサは、14mm角のPoP(Package on Package)で供給されます。DDR3/DDR3Lメモリをサポートする『OMAP5432』プロセッサは、17mm角のBGAパッケージで供給されます。
OMAP 5プラットフォームは、大量生産のモバイルOEM・ODM各社向け製品であり、販売特約店からは供給されません。TIでは、製品ポートフォリオがサポートする広範囲の市場のアプリケーション向けに、OMAP 5と互換性を備えたARM Cortex-A15プロセッサ搭載ソリューションを開発する予定です。
※ OMAP、M-ShieldおよびSmartReflexはTexas Instrumentsの登録商標です。すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。