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ニュースリリース

日本TI、既存のDSPの5倍を超える性能を提供する『TMS320C66x™』マルチコアDSPを発表

2010年11月10日

固定小数点と浮動小数点の両演算機能を内蔵、業界初の10GHz DSPとなる、新世代のマルチコア・デバイス

SCJ-10-090

2010年11月10日

日本テキサス・インスツルメンツは、組込み向け高性能プロセッシング分野の革新への取組みの一環として、最新の『TMS320C66xTM世代のマルチコアDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)および、スケーラビリティを提供する『C66x』デバイス 4製品を発表しました。これらの新型DSPは業界で最も高性能なマルチコアDSPであり、複数の1.25GHz DSPコアで構成され、固定小数点および浮動小数点演算の両演算性能を組み合わせることで320GMACS(1秒間に3,200億回の積和演算)および160GFLOPS(1秒間に1,600億回の浮動小数点演算)の高性能をワンチップに統合した、業界初の10GHzの性能を持った DSP製品です。独立系のBDTIベンチマークスによれば、この新型『C66x』コアは、業界のあらゆるDSPコアを凌ぐ性能を提供するとともに、固定小数点と浮動小数点の両性能において、最も高いスコアを達成した初のDSPとなります。

インフラストラクチャ開発各社はTIの『C66x』マルチコアDSPを使うことで、公共向けの保安および防衛、医療用およびハイエンドのイメージング、テストおよびオートメーション、高性能コンピューティングおよびコア・ネットワーキングをはじめとしたミッション・クリティカル市場において、高い統合性、ソフトウェアのアップグレード性、高い電力効率およびコスト効率を備えたプラットフォームをより容易に構築できます。『C66x』DSP世代のデバイスは、TIの「KeyStone」新型マルチコア・アーキテクチャで構成され、チップ内の各データフローのスループットを最高にするとともに、ボトルネックの可能性を排除することで、開発各社は各DSPコアの膨大な処理能力をフルに活用できます。このファミリーはピン互換性を持った『TMS320C6672』(2コア)、『TMS320C6674』(4コア)および『TMS320C6678』(8コア)の3製品ならびに、4コア構成の通信向けSoC(Systems-on-Chip)である『TMS320C6670』が供給されます。

MC-SDK(マルチコア・ソフトウェア・デベロッパー・キット)および包括的なマルチコア向けツール群、さらにソフトウェアおよびハードウェア・パートナ各社の豊富なサポート体制(エコシステム)を活用することで、顧客各社において、TIのマルチコア・シリコン・アーキテクチャを、進歩したインフラストラクチャ・アプリケーション向けの革新的な製品の開発にフル活用できます。さらに、新型の『C66x』マルチコアDSPは、TIの既存の『C6000TM』DSPとソフトウェア互換性を持っていることから、ベンダ各社は既存のソフトウェアを再使用でき、以前からのTI製品への投資を活用できます。

既存のFPGA、GPUその他DSPなど、メーカー各社向けデバイスで、数値演算向けに強化された製品の開発に必要な、次のような数々の特長のすべてをワンチップでサポートするデバイスはありません。

  • 高性能(動作クロック、GMACS、GFLOPSなどの演算性能)
  • 浮動小数点演算機能の統合
  • リアルタイム信号処理
  • 低消費電力
  • マルチコア開発の簡素化

TIのコミュニケーションズ・インフラストラクチャ部門、総責任者のブライアン・グリンズマン(Brian Glinsman)は次のように述べています。「高い電力効率を備えたTIの『C66x』マルチコア・デバイスは、高い競争力を持つ革新的な製品であり、開発各社に高いコスト効率のソリューションおよび、他に例のないレベルの性能を提供し、業界および顧客各社のニーズを満足します。さらに、プログラムしやすい『KeyStone』マルチコア・アーキテクチャおよび、コード互換性を備えた『C66x』コアは、開発各社において製品開発期間の短縮および、将来的な発展性を備えた、ソフトウェアのアップグレードが可能な製品を実現します」

C66x』マルチコアDSPの特長と利点

特長

利点

性能: 最高1.25GHzで動作する複数の高性能DSPコアは、1サイクルに32個の固定小数点積和演算、又は16個の浮動小数点演算処理が可能

複数のDSPコアを統合することで基板実装面積の縮小およびコストの低減、さらに総合的な使用電力の低減を実現

統合性: 各DSPコアに固定小数点および浮動小数点の両演算機能を統合

個別構成の固定小数点と浮動小数点デバイスと比較して、数値演算を多用するアルゴリズムの性能を向上、ソフトウェア開発期間を数カ月から数日へと短縮

消費電力: ローパワーの画期的なSmartReflexTMテクノロジおよび、周囲の環境条件によって電源電圧を動的に調整する機能を搭載、すべてのアプリケーションで低消費電力を実現

より高い電力効率のシステム設計を実現、あらゆる電源条件において、より多くの処理機能を使用可能

マルチコアのサポート: 新型の「KeyStone」 アーキテクチャには、Multicore Navigatorをはじめとする複数の機能が内蔵され、各コア間の直接通信、メモリ・アクセスおよびマルチコア性能の解放を実現するとともに、強化されたメモリ・アーキテクチャ、HyperLinkインターフェイス、PCI Express Gen2、Serial RapidIOその他のペリフェラルを提供します。

設計者はDSPコア、ペリフェラルおよびコプロセッサの能力を最大限に活用することで、あらゆるアプリケーションをより少ない個数のDSPで実現でき、コストを低減

 

ツールおよびソフトウェア: Linuxオペレーティング・システム、BIOS、マルチコア・プラットフォーム・ソフトウェア、open GCGツール群、Code Composer StudioTM ソフトウェアのほか、C コンパイラ、特定アプリケーション向けソフトウェア・ライブラリおよびデモンストレーションなどを含むMC-SDKを供給

設計サイクルの短縮化、より容易な開発作業を提供

スケーラビリティ: 『C66x』マルチコア・デバイス・ファミリー内でピン互換性を提供、また既存の『C6000』DSPとの間でソフトウェア互換性を提供

複数の製品に対応してスケーリングが可能な単一製品プラットフォームを提供、既存のTIのDSP用ソフトウェアを再使用可能

価格および供給について

『C66x』マルチコア・デバイスのより容易な開発および評価作業を提供する、包括的で低価格のEVM(評価モジュール)は、TIから供給されます。『TMS320C6670』のEVMは『TMDXEVM6670L』、『TMS320C6678』のEVMは『TMDXEVM6678L』であり、それぞれ399ドル(参考価格)で供給されます。これらのEVMにはMC-SDK、Code Composer Studioソフトウェアおよび、アプリケーション/デモ用のコードが同梱されていることから、新型プラットフォーム上の開発作業を迅速に開始できます。両EVMのご注文は本日より受付を開始し、2011年第1四半期より供給を開始する予定です。新型の『C66x』DSPの一番安価な製品は1,000個受注時の単価99ドル(参考価格)より設定され、ご注文は本日より受付を開始し、2011年第1四半期より供給を開始する予定です。

 

※ すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。