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日本TI、ワイヤレス・インフラストラクチャ向けに業界初のIQモジュレータIC製品を発表

2010年11月02日

300~4800MHzと超広帯域のLOシンセサイザを集積、コストの低減およびデザインの簡素化に役立つIQモジュレータIC

SCJ-10-089

2010年11月2日

日本テキサス・インスツルメンツは、ワイヤレス・インフラストラクチャ市場向けの量産出荷製品として、業界初のIQモジュレータIC、『TRF372017』を発表しました。この高性能IQモジュレータはダイレクト・アップ・コンバージョンによるIQモジュレータ回路とPLL(フェーズロック・ループ)、広帯域のVCO(電圧制御発振回路)を集積していることから、LO(局部発振器)の設計を簡素化できるとともに、基板実装面積の縮小に役立ちます。『TRF372017』は300MHz~4800MHzと非常に広い連続同調範囲を提供することから、外部LO回路が不要になるとともに、1個のIQモジュレータを元にして、3GPPおよび3GPP2のすべての標準規格ならびに免許取得済のWiMAXに適合・対応可能であることから、開発期間の短縮およびコストの低減に役立ちます。

 

 TRF372017』の主な特長と利点

  • 26dBm と高いOIP3(出力の第三次インターセプト・ポイント)を実現することから、ワイヤレス基地局、ワイヤレス・ローカル・ループ、ポイント・ツー・ポイントのマイクロ波およびソフトウェア無線をはじめとする各種のワイヤレス・インフラストラクチャ・アプリケーションのスペクトル・マスク規定を満足する、高い直線性を提供します。
  • -160dBm/Hzと非常に低いノイズフロアを提供することから、GSM、W-CDMA、CDMA2000、LTE、TD-SCDMAおよびWiMAXなどの周波数帯を含む非常に広い連続同調範囲において、送信時に高いSNR(信号-雑音比)および、より良好なエラー・ベクトル振幅を提供します。
  • LO回路を集積するとともに、LOシンセサイザ回路の出力を独立した周波数デバイダに供給し、追加の送信または受信シグナル・チェーンを駆動できることから、BOM(原材料費)の低減に役立ちます。
  • ベースバンドのバイアス電圧発生回路および、DCオフセット調整のためのD/Aコンバータを集積していることから、デザインの簡素化および、より小型の最終機器の実現に役立ちます。この高レベルの集積度により、通信用D/Aコンバータとの間で受動部品によるインターフェイス回路を使用し、コンパクトで高い直線性の広帯域送信アーキテクチャを実現できます。このような通信用D/Aコンバータとして、業界で最も小型の2チャネル内蔵、16ビット、800MSPS D/AコンバータであるTIの『DAC3283』を使用できます。

価格および供給について

『TRF372017』IQモジュレータICは量産出荷中で、7mm角の48ピンQFNパッケージで供給されます。1,000個受注時の単価(参考価格)は5.50ドルです。

ツールおよびサポートについて

『TRF372017』IQモジュレータは、『DAC3283』の評価モジュール(『DAC3283EVM』)に搭載されています。この評価モジュールは499ドル(参考価格)で供給中であり、全機能内蔵の送信ソリューションの迅速な評価が可能なデジタル-RF(高周波)のプラットフォームを提供します。またスタンドアロンの『TRF372017』の評価モジュール(『TRF372017EVM』)は299ドル(参考価格)で供給中です。

『TRF372017』IQモジュレータを使用するシステムを設計する場合、無料でダウンロードできるTIの「Loop Filter Calculator Tool」が設計時間の短縮に役立ちます。このツールは、システム技術者が入力する設計パラメータを元に性能をモデル化し、予測したオープン・ループおよびクローズド・ループのゲイン、位相マージンおよびPLLの位相ノイズの各プロットを提供します。

TRF372017』の特性表

項目

TRF372017

IQ入力のコモンモード電圧 (typ)

1.7 V

電源電圧 Vcc

5 V

周波数範囲

300 MHz ~ 4800 MHz

出力1dB圧縮 P1dB (typ)

12 dBm

未調整時の漏洩キャリア・レベル

-40 dBm

未調整時のサイドバンド抑圧比

-40 dBc

ノイズフロア (typ)

-163 dBm/Hz

ピン/パッケージ

48ピンVQFN

定格

データシート参照

動作温度範囲

-40 ℃~ 85 ℃

1,000個受注時の単価 (参考価格)

5.50 ドル

※ すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。