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ニュースリリース

日本TI、業界で最も低い消費電力、1.8V動作、miniDSPエンジン搭載の新型オーディオ・コーデック製品の量産出荷を発表

2008年11月18日

ポータブル機器向けにオーディオ性能の向上、バッテリー動作時間の延長、
コストの低減、および設計を簡素化する新型コーデック製品

SCJPR-08-100 2008年11月18日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、高集積のオーディオ・コーデック製品、『TLV320AIC3254』の量産出荷を開始したと発表しました。この新製品は優れたオーディオ品質、バッテリー動作時間の延長と同時に、豊富な機能を備えたコストパフォーマンスの高いオーディオ機器の実現に役立ちます。『TLV320AIC3254』は1.8V(ボルト)の電源電圧で動作するとともに、パワー・マネージメント回路、ならびに2個のminiDSPオーディオ・プロセシング・エンジンを集積していることから、携帯電話、ポータブル・ナビゲーション、およびポータブル・メディア機器などのオーディオ・ソリューションの総合的なコストの低減、ならびに最先端のオーディオ機能の設計の簡素化に役立ちます。さらに、設計の複雑さを緩和し、製品の市場投入時間を短縮する開発ツール『PurePath™ Studio』も供給されます。また、『TLV320AIC3254』は「PowerTune™」テクノロジーを搭載しており、機器の各動作モードにおいて最適な消費電力を使用するよう調整が可能で、機器のバッテリー動作時間を延長させることができます。 本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/tlv320aic3254から参照できます。

TIのハイパフォーマンス・アナログ・ビジネス担当でシニア・バイスプレジデントのアート・ジョージ(Art George)は次のように述べています。「ポータブル製品の設計においては、高い品質のサウンドと豊富な機能が次第に重要な懸案事項となってきました。従来、この要件に対応するためには、多額の技術投資を行い、設計上の複雑な問題を解決する必要がありました。TIは『TLV320AIC3254』をはじめとする革新的な製品によって、これらの困難に対応します。『TLV320AIC3254』を使用することで、複数帯域のイコライズ機能、動的なバス・ブースト機能、ノイズおよびエコーのキャンセル機能をはじめとした最先端のオーディオ・エフェクトを実現し、製品の差別化を実現できます。これと同時に、総合的なコストと設計の複雑さを低減することで、製品開発から市場投入までの期間を短縮できます」

オーディオ性能の向上、および設計を簡素化するminiDSPエンジンとアルゴリズム・ライブラリ
『TLV320AIC3254』は、高いプログラミング機能を備えたminiDSPオーディオ・プロセシング・エンジンを内蔵したTIで初のオーディオ・コーデック製品です。このminiDSPエンジンによって、システムの制御プロセッサの処理能力を消費せずに複雑なアルゴリズムをデバイス上で実行できます。内蔵の192kHz(キロヘルツ)のサンプリングレートのA/Dコンバータ(アナログ-デジタル・コンバータ)およびD/Aコンバータ(デジタル-アナログ・コンバータ)を活用することで、20帯域にわたるステレオ・グラフィック・イコライザ、マルチバンドのダイナミック・レンジ圧縮、カスタムのFIRおよびIIRフィルタ機能、および3Dをはじめとする最先端のデジタル・シグナル・プロセッシング機能の組合せを自社内のアルゴリズムの専門知識やプログラム開発のための投資を増やすことなく製品に追加し、オーディオ性能を向上できます。TIはminiDSPエンジンに必要なこれらすべての基本的なプログラムを供給します。この他、お客様はTIの『PurePath™ Studio』開発ツールおよび最先端のアルゴリズムのライブラリを活用することで、直観的、かつドラッグ・アンド・ドロップ方式の使いやすいグラフィック環境内において、自社のアルゴリズムをminiDSPエンジン向けにコンパイル、設定、ロードでき、製品設計の複雑さを簡素化するとともに市場投入時間を短縮できます。

消費電力を2.4mWまで低減する「PowerTune」テクノロジー
『TLV320AIC3254』は、オーディオ品質を低下させずに機器のバッテリー動作時間を延長できる「PowerTune」テクノロジーを内蔵しています。このテクノロジーは、あらゆる使用モデルにおいて消費電力を最適化して超低消費電力の動作とSNR(信号-雑音比)のバランスを実現することで、より高いオーディオ品質を提供します。例えば、消費電力に制約のある設計においては、『TLV320AIC3254』の性能を90dB(デシベル)のSNRレベルに設定することで、ステレオ再生時の消費電力を2.4mW(ミリワット)まで低減できます。また最高の性能を求める場合には、ステレオ再生時の消費電力を5.1mWに増加させ、SNRレベルを100dBに設定できます。『TLV320AIC3254』は、デジタル・マイクロホンをサポートすることで、システムレベルのノイズ耐性を向上させ、さらに高い性能を提供します。

設計の簡素化、およびコストの低減に役立つパワー・マネージメント回路を内蔵
『TLV320AIC3254』は、電源変動除去比の改善と、3.6V(最大)までの単一電源動作を可能とする、2個のLDO(ロー・ドロップアウト)電源を内蔵しています。またステレオ・ヘッドホン・アンプ、マイクロホン用の2個のプログラマブル・ゲイン・アンプ、小数分周PLL(フェーズ・ロック・ループ)、アナログ入力マルチプレクサも内蔵していることから、基板設計を簡素化するとともに、最終的なシステムの部品点数ならびにコストの低減に役立ちます。

『TLV320AIC3254』および『TLV320AIC3204』の特性表

項目 TLV320AIC3254 TLV320AIC3204
内蔵D/Aコンバータおよび
A/Dコンバータ数
2ch / 2ch 2ch / 2ch
サンプリングレート (Max) 192 kHz 192 kHz
内蔵プロセッサ・データ幅 32ビット 32ビット
内蔵D/Aコンバータおよび
A/DコンバータのSNR (Typ)
D/A: 100dB
A/D: 93 dB
D/A: 100dB
A/D: 93 dB
デジタル・オーディオ・インターフェイス I2S, LJ, RJ, DSP, TDM I2S, LJ, RJ, DSP, TDM
制御インターフェイス I2C, SPI I2C, SPI
録音時消費電力 (Typ) 4.7mW (8kHz 90dB) 4.7mW (8kHz 90dB)
再生時消費電力 (Typ) 2.4mW (8kHz 90dB)
5.1mW (48kHz 100dB)
2.4mW (8kHz 90dB)
5.1mW (48kHz 100dB)
アナログ電源電圧範囲 AVdd 1.5 V ~3.6 V 1.5 V ~3.6 V
デジタル電源電圧範囲 DVdd 1.26 V ~ 3.6 V 1.26 V ~ 3.6 V
I/O電源電源電圧範囲 1.1 V ~3.6 V 1.1 V ~3.6 V
その他の内蔵機能 PowerTune™テクノロジー、
2個のminiDSPエンジン、LPバイパス、PLL、
デジタル・マイクロホンのサポート、
LDO
PowerTune™テクノロジー、
デジタル・オーディオ・エフェクトのための
複数のプロセシング・ブロック、
LPバイパス、PLL、
デジタル・マイクロホンのサポート、LDO
動作温度範囲 -40 ℃ ~ +85 ℃ -40 ℃ ~ +85 ℃
ピン/パッケージ 32ピンQFN 32ピンQFN
1,000個受注時の単価(参考価格) 5.45 ドル 3.45 ドル

価格と供給について
現在、『TLV320AIC3254』は、省スペースに役立つ5mm(ミリメートル)角の32ピンQFNパッケージでTIおよび販売特約店から供給中です。1,000個受注時の単価(参考価格)は5.45ドルで、最先端のオーディオ用アルゴリズムも供給中です。

さらに、TIではminiDSP機能を内蔵しない超低消費電力オーディオ・コーデックをお求めのお客様に、『TLV320AIC3254』との間でピン互換性を提供する『TLV320AIC3204』も供給しています。『TLV320AIC3204』の1,000個受注時の単価(参考価格)は3.45ドルです。両デバイスのサンプル、評価モジュール、ならびにソフトウェアの供給に関しては http://www.tij.co.jp/tlv320aic3254から参照できます。

TIのポータブル・オーディオ機器向けソリューションのポートフォリオを拡張
『TLV320AIC3254』および『TLV320AIC3204』は、スピーカー・アンプならびにパワー・マネージメントをはじめとしたTIの包括的なポータブル向けオーディオ製品との動作に最適化されています。これらのコーデック製品は、TIの『DM3x』、『OMAP35x』、および『OMAP-L1』などのローパワー・プロセッサとも使用できます。スマートフォン、ポータブル・ナビゲーション、およびポータブル・メディア・プレーヤなどのブロック図に関しては、それぞれ、http://www.tij.co.jp/smartphonehttp://www.tij.co.jp/portablenavigationhttp://www.tij.co.jp/portablemediaから参照できます。その他の詳細、ならびに『Audio Selection Guide』に関しては、http://www.ti.com/audio(英文)から参照できます。


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