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ニュースリリース

日本TI、超低消費電力『MSP430』マイクロコントローラに『Chipcon』のRF機能を統合したシングルチップ『CC430』を発表

2008年11月12日

無線ネットワーキング、環境発電、セキュリティ、照明/計測機器向けの
低消費電力RFシステム設計を容易に実現

SCJPR-08-097 2008年11月12日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、業界最高の低消費電力性能を誇る『MSP430』マイクロコントローラ(MCU)に業界最先端の『Chipcon』の低消費電力の無線(RF)機能をシングルチップ上に統合した『CC430』ファミリーを発表しました。
『CC430』ファミリーは、システムの複雑さを軽減し、パッケージサイズとプリント基板のサイズを最大50%小型化し、RF設計を容易にします。これにより、民生および産業用無線ネットワーク分野、ことにRFネットワーク、環境および自己発電技術(energy harvesting 技術)、産業用環境モニタ、防犯、パーソナル無線ネットワーク、自動検針システム(AMI)といった最新のアプリケーションをサポートします。本件に関する詳細はwww.tij.co.jp/cc430より参照できます。

2つの相乗効果をシングルチップで
TIの最新の16ビット超低消費電力『MSP430F5xx』MCUと業界最先端の『Chipcon』の低消費電力RFトランシーバの融合により、計測機器業界で大きな課題となっている電池駆動の無線ネットワーク・アプリケーションにおいて、電池交換なしでの10年以上動作を可能にします。環境情報を広い範囲で計測し、そのデータを分析のために中央情報管理センターに集めるといった無線ネットワーク・システムの電池駆動化や小型化を実現します。たとえば、大気中の煙の計測による山火事の検知、農地やワイナリー等での湿度や農薬の情報など、広範囲な自然環境での環境情報収集を、超低消費電力性能により、電源設備なしに電池での長期間動作を実現します。さらに、電力効率に優れた『CC430』ファミリーは、(1次)電池を使わないソーラーパワー、人体の体温、振動などを動力源とした環境および自己発電技術を採用した新たな無線センサを可能にします。

Perpetuum社のCEO ロイ・フリーランド氏(Roy Freeland)は次のように述べています。「当社の環境発電技術を用いたマイクロ発電機は、工場内の機械の振動を電気エネルギーに変換するというシンプルなアイディアに基づいています。機械の稼動データを無線で送るセンサーシステムに活用しています。センサーアプリケーションは制限がありませんが、電力供給には限りがあります。低消費電力で高機能であるうえ、RF設計の課題を解消するノウハウを組み合わせた『CC430』ファミリーは、この問題を解決し新時代のエネルギーソリューションの先駆けとなります」

小型で高性能
高集積化によりモノリシックを実現した『CC430』ファミリーにより、従来の2チップソリューションと比較して、パッケージならびにプリント基板面積を50パーセント削減することが可能です。
チップの高集積化により、小型化が可能になるアプリケーションには次のものがあります。

  • 患者や医療機器の情報を中央センターに送る「スマート・ホスピタル・トラッキング・システム」
  • 腕時計、歩数計、心拍センサ(胸ストラップ)等のセンサならびにPC上の健康フィットネス分析システム間を結ぶ「パーソナル・エリア・ネットワーキング」
  • 2013年までに全世界で28パーセントまで自動化されると予測される公共メータの「自動検針システム(AMI)」

『MSP430』MCUがもつ豊富なペリフェラル群 が『CC430』ファミリーでも活用可能です。高機能なデジタルおよびアナログ・ペリフェラル、とりわけ 16ビットADコンバータや低電力コンパレータなどはセンサ入力に最適です。これらはRF通信中には高性能で動作しつつ、かつ非動作時には自動的に電力を消費しない機能を備えています。また、新たなペリフェラルとしてAES(Advanced Encryption Standard)注があり、無線で送受信したデータの暗号化/複号化を行います。さらに、将来的にはLCDドライバもワンチップ上に統合していく予定です。

RFソリューションを容易に
新製品『MSP430F5xx』MCUと『Chipcon』の低消費電力RFトランシーバを組み合わせることで、優れた低消費電力性能と高性能を実現し、『Chipcon』で培った豊富な無線に関するノウハウとサポートを提供します。これらの最新技術は、厳しい電力、性能、サイズ、コスト条件、開発および設計の複雑さといった無線化への障壁を取り除くとともに、数多くの製品にワイヤレス・コネクティビティをもたらします。

TIは、RFリファレンスデザイン、SmartRF Studio ソフトウェア(エミュレータ)、RF パケット・スニーファ(アナライザ)およびデザインノートなどで、RF設計をサポートします。また、Code Composer Essentials(CCE)やIAR 統合開発環境(IDE)などの『CC430』開発ツールやキットも用意しています。さらに、サードパーティーのサポート、サンプルコードやライブラリにより、開発期間の短縮を可能にします。

価格と供給について
『CC430』ファミリーの最初の製品は16ビット『MSP430F5xx』MCUと、サブ1GHz『CC1101』RFトランシーバがベースとなる予定です。TIの低消費電力RFトランシーバはノイズの多い環境でも通信を可能とする選択および妨害特性を提供します。『F5xx』MCUは、アクティブ時に1 MHz(メガヘルツ)あたり160μA(マイクロアンペア)、スタンバイ時に1.5μAという低消費電力性能と、最大25MHzという高いパフォーマンスを提供します。

『CC430』ファミリーは、『MSP430F5xx』など他の『MSP430』ファミリーと完全なソフトウェア互換性があります。加えて、『MSP430』 MCUと低消費電力RFトランシーバそれぞれ個別のソリューションに対し、ソフトウェア・コードとハードウェア設計の再利用が可能なため、統合化とアップグレードが容易です。最初の『CC430』ファミリー製品のサンプル出荷は数量限定で2009年第1四半期に開始し、量産は2009年後半の予定です。量産出荷時の単価(参考価格)は2ドル以下(100万個受注時/年間)の予定です。

注)AES(Advanced Encryption Standard):米国商務省標準技術局(NIST)によって選定された米国政府の次世代標準暗号化方式。秘密鍵暗号アルゴリズム

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