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ニュースリリース

日本TI、車載向けに業界初のデュアルコア浮動小数点マイクロコントローラを発表

2008年11月04日

ARM Cortex-R4F CPUを2基搭載、
安全性を最優先したアプリケーションの設計を簡素化、開発期間を短縮

SCJPR-08-094 2008年11月4日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、車載向けに業界初となるARM® Cortex™-R4F浮動小数点プロセッサをベースとした対称型デュアルコア『TMS570F』マイクロコントローラを発表しました。『TMS570F』は2基のCortex-R4Fプロセッサをベースとし、IEC61508 SIL3/ISO26262 ASIL D安全基準が必要なアプリケーション向けに設計されています。従来にもまして車載アプリケーションの安全性が最優先されている状況で、多くのメーカーが厳しい基準を求めています。『TMS570F』は、このような安全性最優先のアプリケーションの差別化を図るうえで最適のマイクロコントローラです。『TMS570F』に関する詳細はwww.tij.co.jp/tms570fより参照できます。

ARM社のエンベデッド・ソリューションズ担当ディレクタのウェイン・ライオンズ氏(Wayne Lyons)は次のように述べています。「Strategy Analytics社の調査によると、車1台に搭載されるマイクロコントローラの数は2012年には現在の2倍になると予測されています。これにともない、安全制御機能の精度に対しても大幅な向上が期待されています。Cortex-R4FプロセッサベースのTIの『TMS570F』MCUは、その設計の複雑さを低減しつつ、最高のパフォーマンスとソリューションの差別化を可能にします」

浮動小数点で精度と差別化を実現、市場投入までの期間を短縮
『TMS570F』は、業界初のデュアルコアCortex-R4Fプロセッサをベースとした浮動小数点マイクロコントローラで、これにより車載システムの設計者は、要求される性能に応じて単精度および倍精度浮動小数点演算を実行することができます。乗算、除算、平方根計算機能の加速化により、Mathworks社製 Real Time Workshop™およびETAS社製 ASCET™のような開発環境を用いた、物理モデル・ベースの制御が可能です。これらグラフィックをベースとする開発環境によって、複雑な安全性対応の設計時間を短縮できるだけでなく、比類ないハンドリング、乗り心地、ユーザー体験のためのカスタム車載制御アルゴリズムを通してさらに差別化を図ることができます。差別化され、安全性を重視した車載アプリケーションへの要求が高まるにつれて、統合されたインテリジェントシステムによってこれらの性能に対するニーズに対応できるMCU搭載システムの重要性はさらに増していくと考えられます。

開発者は通常、検証用の浮動小数点環境下でアルゴリズム設計を開始し、固定小数点デバイスで作動させるためにそのソフトウェア・コードを変換します。しかし、『TMS570F』を採用することにより、固定小数点の実装に必要なスケーリング、飽和処理、数値分解能の調整に取り組む期間を、数週間から場合によっては数ヶ月も短縮できます。また、デュアルコアでのロックステップ構造は、冗長な安全システムの必要事項を省略しソフトウェア開発も簡素化します。

徹底した安全性設計
メモリーおよびCPU機能両方に対するハードウェア・ビルトイン・セルフテスト(BIST)の集積化は、パフォーマンスを下げコードサイズの増大をまねく、複雑な危険防止用ソフトウェア・ドライバを使わずに、潜在する問題点を検知することを可能にしています。更に、2個のCPU出力を比較するハードウェアは、ソフトウェアを追加すること無く、優れた危険防止応答時間でのオンライン診断を提供します。

Cortex-R4FプロセッサをベースとしたMCUはエラーのない車載安全基準を満たすよう設計されており、プロセッサから相互接続されたメモリーまでのエラー検索に対するシームレスなサポートによってシステム全体として保護を行います。ECC(エラー・コレクション・コード)ロジックはCortex-R4F CPUに集積されており、メモリーとバスの両方を保護します。ECCはCPU内で評価されるため、このシステムは、その8段階にわたるパイプライン時間を利用して、パフォーマンスに影響を与えることなくECC評価を行うことができます。メモリーエラーの際には、このECCロジックが単にエラーを通知しシステムを止めるのではなく、エラーを修正します。

『TMS570F』の核となるARM
『TMS570F』プラットフォームは、全く同じARM Cortex-R4Fプロセッサを2基使用し、初期には2メガバイトのオンチップ・フラッシュメモリーを組み合わせています。業界基準のペリフェラルとして、FlexRay™コントローラ、最大3つまでのCANおよび2つのLINモジュールが、ハイエンドタイマーおよび2個の12ビットA-Dコンバータと共に、提供されています。ターゲットとするアプリケーションとしては、シャーシ制御、ブレーキ、車両安定制御およびステアリングがあり、それらに対する様々なメモリーおよび性能バリエーション供給が予定されています。

車載アプリケーションにむけた、革新的なポートフォリオを拡大
TIは、これまで車載アプリケーション向けに革新的なプロセッサを提供してきました。ARMプロセッサをベースとした『TMS470』マイクロコントローラは、アンチロック・ブレーキングシステムやエアバッグ・エレクトロニクスなど、世界中の主要な車載安全システムに採用されており、DSPはインフォテイメント、ナビゲーションおよびドライバー補助視覚システム向けに革新的なソリューションを提供しています。

TIの車載向けポートフォリオは、アナログ回路、電源回路、デジタル回路を統合したミックスド・シグナルソリューションにまで幅広い領域に広がっております。また、パワートレインや、ブレーキ、オーディオおよびインフォテインメントなど車載システム向けのエレクトロニクスに対応する製品も提供しています。
TIは、世界中の36の施設において、ISO/TS16949:2002基準を取得しています。TIの車載アプリケーション向けソリューションはwww.tij.co.jp/automotiveでご紹介しています。

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