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ニュースリリース

日本TI、複数セルのリチウム・バッテリーを使用するシステム向けに、保護および管理機能を提供するスマート・バッテリー・テクノロジーICを発表

2008年10月20日

電動工具や電動アシスト自転車に使用される再充電可能な
4セルから12セルのリチウム・バッテリーをサポートする
スケーラブルなバッテリー・マネージメント・コントローラIC

SCJPR-08-087 2008年10月20日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、再充電可能な複数セル構成のリチウム・バッテリー・パックにおいて、充放電状態の測定、および保護機能を向上するスマート・バッテリー・マネージメントIC(集積回路)、『bq78PL114』、『bq76PL102』および『bq77PL900』の3品種を発表しました。これらのコントローラIC製品は、無停電電源、ならびにコードレスの電動工具、電動アシスト自転車、ポータブルの医療機器および試験装置をはじめとする広範囲のアプリケーションに使用される再充電可能な複数セルのリチウム・バッテリーのマネージメントおよび保護回路の設計を簡素化します。

『bq78PL114』バッテリー・マネージメント・コントローラは、4セルの直列構成のリチウム・バッテリー・パックを搭載するシステム向けに、制御、監視、ならびに保護の全機能を提供します。『bq78PL114』は、非常に効果的なセルのバランス、短絡検出、バッテリー保護などの機能を備えた正確なバッテリー残量計測テクノロジーを内蔵しています。『bq78PL114』は、フラッシュ・メモリー内にパラメータ・テーブルを備えていることから、ユーザーがあらゆるパラメータを設定でき、さまざまなLi-Ion(リチウム・イオン)およびLi-Polymer(リチウム・ポリマー)バッテリー内の電気化学反応をサポートします。『bq78PL114』は、全機能を設定可能なTIの「bqWizard™」グラフィカル・ユーザー・インターフェイスを使用して容易に設定できることから、アルゴリズムやファームウェアの開発作業は不要です。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/bq78pl114から参照できます。

12セルまでのスケーラビリティを提供する2セル・モニターIC
TIは『bq78PL114』と同時に、2セル・バッテリー・モニターICである『bq76PL102』を発表しました。『bq76PL102』は各セルの電圧と温度を同時に監視し、これらのパラメータをTI独自の「PowerLAN™」通信インターフェイス経由で伝送できます。設計者は、この「PowerLAN」インターフェイスを活用することで、複数の『bq76PL102』モニターICと『bq78PL114』コントローラを組み合せ、最高12セルまで対応できるスマート・バッテリー・ソリューションを構成できます。大幅に変動する負荷条件も含む、あらゆる動作条件においてリアルタイムの通信が可能です。このスケーラブルな「PowerLAN」アーキテクチャは、過剰な消費電力、および数多くの部品点数を低減すると同時に、厳しい電磁干渉および高周波妨害環境においても高い堅牢性を持つ通信経路を提供します。

各セルの精密なバランス機能を提供する「PowerPump™」テクノロジー
バッテリー監視機能を個々のセルまで細分することで、複数セルを使用するバッテリーにおいて、より正確な充電状態の測定が可能になります。この方法を活用し、『bq78PL114』を搭載するバッテリー・マネージメント・システムはTIが特許を所有する「PowerPump」セル・バランス・テクノロジーを使用することで、バッテリーの寿命およびシステム動作時間を延長します。このテクノロジーは、各セル間でエネルギーを高効率で動的に移動させることで、過剰なエネルギーを熱として消費しない、電荷交換方式を使用しています。充電、放電、および休止の各動作状態において、セル間の正確なバランスが得られます。「PowerPump」セル・バランス・テクノロジーを使用することで、システム内のすべてのセルの間で、自動的なバランス調整が行われます。

5セルから10セルのシステム向けのバッテリー保護機能を提供
TIでは複数セルのアプリケーション向けに、さらに高い集積機能、安全および保護機能を提供する、5セルから10セルのバッテリー・システム向けのリチウム・バッテリー保護およびアナログ・フロント・エンド、『bq77PL900』を発表しました。『bq77PL900』はホスト・コントローラと通信するためのI²Cインターフェイスを内蔵しています。またスタンドアローンのバッテリー保護回路としても動作できます。『bq77PL900』はシステム内のホスト・コントローラその他の回路の電源として使用できる5V(ボルト)および3.3VのLDO(ロー・ドロップアウト)レギュレータも内蔵しています。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/bq77pl900から参照できます。

この低消費電力のバッテリー保護回路は温度、システムの消費電流、および各セルの電圧を測定するための電圧変換システムを内蔵しています。セルのバランス機能は選択したセルに流れる電流をバイパスすることで実現されます。また『bq77PL900』は過電圧、電圧低下、放電時の過熱および過電流、ならびに放電時の短絡保護など、すべての安全保護機能も備えています。

供給と価格について
現在、『bq78PL114』バッテリー・マネージメント・コントローラ、および『bq77PL900』リチウム・バッテリー保護ICは量産出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。『bq78PL114』は7mm(ミリメートル)角の48ピンQFNパッケージで供給されます。100個受注時の単価(参考価格)は5.65ドルです。『bq78PL900』は48ピンSSOPパッケージで供給されます。100個受注時の単価(参考価格)は3.70ドルです。現在、『bq76PL102』はサンプル出荷中で、量産出荷は2008年第4四半期末 の予定です。『bq76PL102』は3mm角の16ピンQFNパッケージで供給されます。100個受注時の単価(参考価格)は1.90ドルです。各デバイスの評価モジュール、デザイン・アプリケーション・ノートに関しては http://power.tij.co.jpから参照できます。

『bq78PL114』の特性表

項目 bq78PL114
充放電の関係 充電電荷=放電電荷
バッテリー容量(Min) 1,000 mAh
バッテリー容量(Max) 32,000 mAh
通信インターフェイス SMBus、I²C
残量表示LED数(Max) 5個
ピン/パッケージ 48ピン QFN
動作温度範囲 -40 ℃ ~ +85 ℃


『bq77PL900』の特性表

項目 bq77PL900
保護可能セル数(Max) 10セル
過電圧スレショルド電圧 4.5 V
保護FET 外付け
ピン/パッケージ 48ピン SSOP
動作温度範囲 -25 ℃ ~ +85 ℃

※ すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。