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日本TI、ハンドヘルド型超音波診断機器市場を創出する業界で最も低消費電力で最も小型のパッケージの新型アナログ・フロントエンド製品を発表

2008年10月02日

同種の製品と比較して消費電力を40%以上低減、パッケージを70%小型化する
8チャネルおよび16チャネル内蔵のデバイス

SCJPR-08-082 2008年10月2日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、医療用超音波診断機器市場向けAFE(アナログ・フロントエンド)製品ファミリーの新製品であり、業界初の16チャネル内蔵の『AFE5851』、および8チャネル内蔵の『AFE5801』を発表しました。これらのデバイスはハンドヘルド超音波診断機器向けの新製品で、飛躍的な電力効率、ならびに業界最小の基板実装面積を提供することから、医師のポケットに収まり、常時携行可能なハンドヘルド超音波診断システム市場を創出します。本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/afe5801から参照できます。

ハンドヘルド超音波診断システムへの需要は、医療向け電子機器の新たな用途の創出、ならびに新興経済諸国向けの市場によって促進されています。僻地医療にたずさわる医師、および現場において最初に患者の診断にあたる救急医療関係者は、現場で患者の体表に触れるだけで、ただちに正確な診断結果が得られる診断機器を必要としています。さらに、このような診断システムを常に携行することで、医師は超音波診断を、心臓の状態の診察をはじめとした新しい医療アプリケーション分野にも活用できます。

TIのメディカル・ビジネスのゼネラル・マネージャのマット・ハリソン(Matt Harrison)は次のように述べています。「超音波診断システムがハンドヘルド化されることで、広範囲の新規アプリケーションが現れると期待しています。すべての医師が、聴診器と同様にポケットに入る超音波機器を携行することで、どれほど多くの患者が迅速、かつ効果的な診察と処置を受けることができるようになることでしょう。『AFE58xx』製品ファミリーは高い集積度、ならびに消費電力と雑音特性の最適化を提供することから、ポータブル超音波機器のメーカー各社にご採用いただいています。今回発表された『AFE5851』および『AFE5801』は、より低い消費電力でより優れた画像品質を実現することから、小型、ハンドヘルドの超音波診断システムの新生市場に対応できます」

業界で最も低い消費電力、最も小型のパッケージを提供
新製品の『AFE5851』は、32.5MSPS(メガサンプル/秒)動作時に、39mW/チャネル(ミリワット/チャネル)の低消費電力、ならびに16個のVGA(可変ゲイン・アンプ)および8個の12ビット、65MSPSのA/Dコンバータ(アナログ-デジタル・コンバータ)の内蔵などの特長を備えています。デバイス内部では、1個のA/Dコンバータを2個のVGAで共有し、各VGAの差動出力を各クロックサイクルで交互にサンプリングすることで、電力効率を最適化しています。また、より低いサンプリング・レートで使用する場合、消費電力をより低減できるスケーラブルな消費電力特性を備えています。『AFE5851』は16チャネルと多チャネルを内蔵、かつ低消費電力特性を提供することから、ハンドヘルド超音波診断システムにおいて実装チャネル密度を増加できます。

また同時に発表された『AFE5801』は、30MSPS動作時に50mW/チャネル、また50MSPS動作時に58mW/チャネルの低消費電力、ならびに8個のVGAおよび、LVDSデータ出力の8個の12ビット、65MSPSのA/Dコンバータの内蔵などの特長を備えています。

『AFE5851』および『AFE5801』の入力には、プローブに内蔵可能なトランスまたはローノイズ・アンプを接続できます。この新しいアーキテクチャによって、市場の同種のデバイスと比較して、消費電力を少なくとも40%低減できます。

これらの新型デバイスは9mm(ミリメートル)角の小型パッケージで供給されることから、既存の超音波システム向けAFE製品と比較して基板実装面積を70%低減できるほか、TIの現行の『AFE58xx』製品ファミリーのデバイスと比較しても、同面積を40%も低減できます。

使いやすく高品質の超音波診断システム実現に役立つTIのAFE製品ポートフォリオ
2008年3月に発表されたTIの『AFE58xx』製品ファミリーは、より優れた品質の診断画像と、より少ない消費電力を備え、革新的かつ安価な超音波診断システムを実現します。この製品ファミリー初のデバイスである『AFE5805』は、ポータブルからミッドレンジの超音波市場向けの製品です。また『AFE5804』は『AFE5805』との間でピン互換性を備え、より低消費電力が必要なシステムへの移行を容易にするAFEソリューションです。『AFE58xx』製品ファミリーの詳細に関しては、http://www.ti.com/ultrasound (英文)から参照できます。

TIでは、『AFE58xx』製品ファミリーのほか、超音波診断その他の医療用画像診断装置向けに、高性能DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、『DaVinci™』テクノロジー搭載のデジタル・メディア・プロセッサ、『OMAP™』アプリケーション・プロセッサ、高速データ・コンバータおよびアンプ、パワー・マネージメント、クロックおよびインターフェイス、ワイヤレス接続向けソリューションをはじめとした包括的なIC(集積回路)製品ポートフォリオを供給しています。TIの最新の『Medical Applications Guide』のダウンロード、および広範囲の医療用製品向けシステムのブロック図に関しては、http://www.ti.com/medical (英文)から参照できます。

『AFE58xx』ファミリーの特性表

項目 AFE5801 AFE5804 AFE5805 AFE5851
入力電圧ノイズ (Typ) 5 nV/√Hz 1.23 nV/√Hz 0.85 nV/√Hz 5 nV/√Hz
入力範囲 (Typ) 2000 mVpp 280 mVpp 250 mVpp 1000 mVpp
消費電力 (Typ) 50 mW 101 mW 122 mW 39 mW
ゲイン・コントロール範囲 (Typ) 36 dB 46 dB 46 dB 36 dB
最高総合ゲイン (Typ) 30 dB 49 dB 50 dB 30 dB
第二高調波歪み(Typ) -56 dB -45 dB -45 dB -56 dB
過入力回復時間   1 クロックサイクル 1 クロックサイクル  
ゲイン誤差 (Typ)   ±0.5 dB ±0.5 dB  
分解能 12 ビット 12 ビット 12 ビット 12 ビット
内蔵チャネル数 8 8 8 16
ピン/パッケージ 64ピンQFN 135ボールBGA 135ボールBGA 64ピンQFN
動作温度範囲 -40 ℃ ~ +85 ℃ 0 ℃ ~ +85 ℃ 0 ℃ ~ +70 ℃ -40 ℃ ~ +85 ℃
1,000個受注時の単価(参考価格) 52ドル 58.70ドル 55.70ドル 92ドル

価格と供給について
現在、『AFE5851』および『AFE5801』は9mm角の64ピンQFNパッケージでサンプル出荷中です。評価用ボードも供給中です。1,000個受注時の単価(参考価格)は『AFE5851』が92ドル、『AFE5801』が52ドルです。量産出荷は『AFE5851』が2008年12月、また『AFE5801』は2009年3月に予定されています。

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