2008年09月25日
広帯域、高感度を要求する各種アプリケーションにおいて
高速動作と高分解能により優れた性能を提供する新製品
SCJPR-08-081 2008年9月25日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、市場で最高速の1チャネル内蔵、200MSPS(メガサンプル/秒)の16ビットA/Dコンバータ(アナログ-デジタル・コンバータ)である『ADS5485』を発表しました。この新製品は、これまで、より低い分解能のA/Dコンバータが提供していた高速動作を、16ビットの分解能で提供します。『ADS5485』は通信、試験・計測機器など高性能を要求する各種アプリケーションにおいて、新しいレベルの性能を実現できます。これらの複雑なシステムの設計作業の簡素化、ならびに評価の迅速化に役立つ評価モジュールも供給されます。本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/ads5485から参照できます。
市場調査会社データビーンズのプリンシパル・アナリストであるスージー・イノウエ氏(Susie Inoue)は次のように述べています。「現在、高速A/Dコンバータ市場の成長は、医療、ワイヤレス通信、ブロードバンド・インフラストラクチャなど高速と高い分解能を要求する各種アプリケーションの需要によって加速しています。実際、50MSPS以上のサンプリングレートを備えたA/Dコンバータの2008年から2013年までの年間成長率は17%と予測されています。TIはこのような高速、高分解能の要求条件に対応するデータ・コンバータを供給することで、4G(第4世代)の通信をはじめとする新しいアプリケーションの実現に大きく寄与しています」
『ADS5485』は、厳しい要求条件を持つ各種アプリケーション向けに、高速、高分解能、ならびに超低ノイズ特性を提供することから、最適な性能を実現できます。『ADS5485』は70MHz(メガヘルツ)のIF(入力周波数)において75dBFS(ディービー・フルスケール)のSNR(信号-ノイズ比)性能、ならびに87dBc(ディービーシー)のSFDR(スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ)性能を実現できます。『ADS5485』はTIの『AD548x』A/Dコンバータ・ファミリーに共通した完全差動の入力バッファを内蔵していることから、広帯域のアプリケーションのアナログ・フロントエンドの設計がより容易になります。この入力バッファはTI独自の『BiCom3』高速アナログ・プロセス・テクノロジーで製造され、入力周波数全域にわたって一定の入力インピーダンスを提供することで、A/Dコンバータのトラック・ホールド回路からのキックバック電流を防止でき、信号の均一な直線性を確保できます。
これらの高性能を提供する『ADS5485』は、通信、試験・計測などの各種アプリケーションにおいて設計の柔軟性を向上するとともに、次のような数々のシステムレベルの利点を提供します。
米国の高速信号処理用ボードの専門メーカー、Pentekのシニア・プロダクト・マネージャであるロバート・サガンドラ氏(Robert Sgandurra)は次のように述べています。「TIは高速A/Dコンバータを発表することで、性能範囲を継続して向上しています。当社の最新製品である『Model 7150』4チャネルA/Dソフトウェア・ラジオ・モジュールには、TIの『ADS5485』が最適の選択肢でした。より高いサンプリングレートによって、100MHzに近い帯域幅を直接デジタイズ可能となったことで、広帯域レーダーおよび広帯域通信システムを製造するお客様にとって非常に貴重な、高い性能を提供できます」
価格と供給について
『ADS5485』はTIの高速、超低ノイズA/Dコンバータである『ADS548x』ファミリーを拡張する新製品です。『ADS548x』ファミリーは省スペースに役立つ9mm(ミリメートル)角の64ピンQFNパッケージで出荷中です。1,000個受注時の単価(参考価格)、その他の性能を次の表に示します。
製品名 |
サンプリングレート (MSPS) |
分解能 (ビット) |
SNR (dBFS) |
SFDR (dBc) |
SINAD (dBc) |
1,000個受注時の単価 (ドル) |
ADS5485 | 200 | 16 | 75 | 87 | 73.7 | 98.95 |
ADS5484 | 170 | 16 | 75.5 | 87 | 74.3 | 78.95 |
ADS5483 | 135 | 16 | 79 | 97 | 77.8 | 65.00 |
ADS5482 | 105 | 16 | 80.5 | 98 | 79.3 | 56.65 |
ADS5481 | 80 | 16 | 80.6 | 98 | 79.5 | 48.33 |
(SNR、SFDR、SINAD の各数値は70 MHz IFの場合の値)
製品開発を迅速化するツールとシグナル・チェーン・ソリューションを提供
『ADS548x』ファミリーの製品は、5品種すべてが供給中です。また、TIでは設計の簡素化にさらに役立つ包括的なツールを提供しています。例えば、『ADS5485』と低ジッタ・クロック『CDCE72010』を搭載し、複雑なシステムの評価の迅速化に役立つ評価モジュールを供給しています。またTIの『TSW1200』デジタル・キャプチャ・ツールを活用することで、最高16ビットの分解能で500MSPSまでのサンプリングレートのA/Dコンバータを迅速に評価できます。サンプル、評価モジュール、ならびに『TSW1200』キャプチャ・カードに関してはhttp://www.ti.com/ads548x(英文)から参照できます。
TIでは、お客様の製品の設計の簡素化および市場投入時間の短縮に役立つ、D/Aコンバータ(デジタル-アナログ・コンバータ)、アンプ、クロック、RF(高周波)向けソリューション、ならびにDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)をはじめとする全機能内蔵のシグナルチェーン向け製品を供給しています。最新のAmplifier and Data Converter Selection Guideは、http://www.ti.com/analogelab(英文)のAnalog eLab™ Design Centerから参照できます。
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