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ニュースリリース

日本TI、監視カメラ向けCCDを超える高画質を実現したワイドダイナミックレンジCMOSセンサを発表

2008年09月11日

東北大学との共同開発

SCJPR-08-078 2008年9月11日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、監視カメラ用途向けの高感度ワイドダイナミックレンジCMOSイメージセンサ『TC922』を発表しました。『TC922』は監視カメラの用途において、感度とワイドダイナミックレンジを両立し、CCDを超える高品質映像を提供します。本件の詳細に関してはwww.tij.co.jp/tc922 (英語)から参照できます。

新製品『TC922』は800×600のSVGAの解像度を持ち、水平・垂直ともに従来のCCTVカメラを上回る高解像度(水平解像度560本)を実現しました。高いレスポンスを持つ画素内アンプ、およびリセット雑音低減回路を内蔵することで、低ノイズ化が可能となり、従来のCMOSセンサでは実現していない高感度・高S/Nを可能にしています(注1)。さらに、画素内には受光画素であるフォトダイオードと、非常に明るい光入力に対して発生した電子を蓄えるための横型オーバーフロー蓄積容量構造(LOFIC)を備えています。これにより、電子数としては約20万電子を蓄積可能になり、94デシベルというCCDを圧倒する広いダイナミックレンジ性能を実現しました。

『TC922』は、この広いダイナミックレンジ性能により、シャッタースピードの最適化に時間がかからず、急激な明るさの変化にも影響されない、安定した画像を得ることができます。

また、電子蓄積容量が大きく、かつ単一露光のため同時性が保たれているため、CCD方式のような合成ズレのような問題が生じません(注2)。

注1 監視カメラは高感度、高S/N、高解像度という基本性能に加え、近年は影になっている室内と日差しの強い屋外の両方を確実に捉えるためのワイドダイナミックレンジ性能も注目されています。
注2 CCDの場合、蓄積容量に限界があるため、2回の蓄積時間の異なるシャッター動作の後に映像を合成することで広いダイナミックレンジとなります。そのため、露光タイミングの異なる2枚の映像を合わせたときの合成ズレが生じ、画質劣化の原因となります。

日本TIはこの技術開発を東北大学須川研究室と協力し、基礎研究から共同で行ってきました。東北大学 須川成利教授は次のように述べています。「LOFIC技術により、広ダイナミックレンジ性能だけでなく、高感度、低暗電流、低ノイズならびに同時性など、イメージセンサに求められている基本性能を飛躍的に向上することができるようになりました。『TC922』は、1回の露光で数個から約20万個までの光電子を信号として取り扱えるものに仕上がっていますので、画像を確実に記録することが不可欠な監視カメラ用途には好適だと思います。LOFIC技術が社会の安全・安心を支える一助になることを願ってやみません」

また、新製品『TC922』は三洋電機株式会社の次世代ワイドダイナミックレンジカメラ製品「VCC-W8774」および「VCC-WD8874」に採用されました。三洋電機株式会社 デジタルシステムカンパニー DI事業部 設計一部 担当部長 森川成和氏は次のように述べています。「『TC922』は、単一露光方式でかつ、幅広いダイナミックレンジを確保できる画期的なセンサであり、センサとしての非常に高い基本性能をもっています。このセンサの性能を十二分に生かした監視カメラに仕上げるために、当社は長年の映像処理技術およびノウハウに基づく独自画像処理エンジンの新規開発を行いました。これにより監視カメラが、また一歩『人の目に近づいた』ものになりました」

三洋電機株式会社の独自新規エンジンおよび『TC922』を搭載した次世代ワイドダイナミックレンジカメラは9月15日からアトランタで開催される、全米セキュリティ産業ショー2008(ASIS2008)で展示・発表されます。

日本TIでは『TC922』とDaVinci™ デジタル・メディア・プロセッサを用いたIPネットワーク・カメラ向けのリファレンス・デザイン『DM355IPNC-TC922』を用意しています。このリファレンス・デザインには、ワイドダイナミックレンジIPネットワーク・カメラの設計に必要なハードウエアとソフトウエアをすべて含んでいるため、カメラの設計・開発にかける期間の短縮が可能になります。
『DM355IPNC-TC922』はアトランタで開催されるASIS2008ブース番号3235においてOBJECT VIDEO社のブースにて展示いたします。

供給について
現在『TC922』は量産出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。
『DM355IPNC-TC922』リファレンス・デザインは2008年第4四半期にAppro Photoelectron社より供給開始の予定です。詳細はhttp://www.ti.com/ipnetcampr(英語)から参照できます。

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