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ニュースリリース

日本TI、32ビットのマイクロコントローラを発表

2008年09月10日

小型・低価格な『TMS320F2802x/F2803x』コントローラシリーズの
リアルタイム・コントロールにより、エネルギー効率が大幅に向上

SCJPR-08-077 2008年9月10日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、厳しいコスト条件が要求されるアプリケーション向けにリアルタイム制御を提供する32ビット『TMS320F2802x/F2803x』(以下『F2802x/F2803x』)コントローラ新製品ファミリーを発表しました。量産出荷時の参考価格は240円からを予定しています。新製品Piccolo™ 『F2802x/F2803x』コントローラは、高度なアーキテクチャと高集積のペリフェラルを38ピンパッケージから取り揃え、コストが厳しく抑えられているアプリケーション向けに32ビットのリアルタイム制御を実現します。最先端のアルゴリズムの採用により、ソーラーパワー・マイクロインバータ、LED照明、白物家電およびハイブリッド車載バッテリーといった産業用、民生用ならびに車載用アプリケーション向けのシステム効率と精度がさらに向上します。本件に関する詳細はこちら(www.tij.co.jp/piccolo)から参照できます。

TIの『TMS320C2000™』マーケティング・マネージャのキース・オグボエニャ(Keith Ogboenyiya)は次のように述べています。「32ビットの性能、高集積ペリフェラルおよび小型パッケージの組み合わせにより、設計者は『F2802x/F2803x』コントローラたった1つで、これまで不可能だったリアルタイム制御とシステムマネージメントをアプリケーションに追加することができます。小型で低価格であることから『Piccolo』と名づけた『F2802x/F2803x』が、TIのマイクロコントローラ・ポートフォリオを広げました」

リアルタイム制御により広範なアプリケーションのエネルギー効率を向上
『F2802x/F2803x』コントローラは、従来の多くのアナログ・コンポーネントに替わり、高度なデジタル制御を実現するとともに、システム全体のコストを削減します。たとえば、可変周波数エアコンでは、一つの『F2802x/F2803x』コントローラで、3相モーター2基を精密に制御でき、同時に力率補正(PFC)の演算も行います。現在、欧州、中国、インドを含む世界市場全体の約30%から需要があり、PFCは公共施設からの電力を最大限に活用すべく改善されています。

民生用および産業用の照明アプリケーション向けLED技術は、これまでの高圧ナトリウムランプと比較し、最大50%のエネルギー効率を向上させることが可能です。『F2802x/F2803x』ベースのLED制御システムは、インテリジェント電流制御や簡易システムネットワークをサポートするとともに、白色LEDシステムに必要とされる複雑なシステムを簡素化し、色混合の管理および温度の制御コストを削減します。

また、『F2802x/F2803x』コントローラによって、市当局は街灯や電力線通信(PLC)の集中運営管理が可能となり、点灯時間をその日の気候条件に合わせた調整や機能していない箇所の特定も可能となります。米国で行われた2008年の調査によると、全米の上位10都市では年間の二酸化炭素排出量を120万トン削減できるという試算が出ており、これは、21万2,000台の自動車の削減に相当します。また、よりエネルギー効率の良いLED灯やインテリジェント街灯ネットワークなどに移行することで、年間9,000万ドルのコスト削減をもたらします。

さらに、『F2802x/F2803x』コントローラは、ソーラーパネルの操作と制御の効率性を向上させます。標準的なシステムでは複数のパネルに一つのインバータを使用し、先行調査によると、システム内で個々のソーラーパネルに接続されたマイクロインバータがより高いエネルギー効率を実現することが実証されています。システムワイドインバータが各パネルの平均出力を極大化するのに対し、マイクロインバータは各パネルの平均出力を極大化します。

新製品のハードウェアアクセラレータおよびペリフェラルがパフォーマンスの向上とシステム統合を実現
『F2802x/F2803x』コントローラファミリーには、メインCPUから制御アルゴリズムを開放すべく設計されたプログラム制御アクセラレータ(CLA)や、150ピコ秒(ps)パルス幅変調(PWM)動作の高集積のペリフェラルといった最新の機能が装備される予定です。CLAは複合高速コントロールアルゴリズムを動作させ、メインCPUを開放してI/Oやフィードバック・ループ指標を処理すべく設計されており、共通のクローズドループ・アプリケーション向けに最大5倍の性能向上をもたらします。

TIのエンハンスト・パルス幅変調(ePWM)は、150ピコ秒の低周波変調により業界最高の解像解析度をサポートします。これにより、信号の立ち下がりの回避に重要な高調波制御を行い、出力サンプル遅延を改善できます。『F2802x/F2803x』コントローラにはオンチップの4.6MSPS速度、12ビットのADコンバータを搭載しており、設計プロセスの簡素化とコスト削減を可能にし、正確性と卓越したパフォーマンスを実現します。

2基のオンチップ発振器は10MHz、それぞれ誤差±1パーセントという正確さで動作するため、外部発振器が不要で、その他関連コストを削減することができます。一般的なマイクロコントローラは、50パーセントものドリフトが発生するリング発振器を統合しているため、正確なクロッキング通信インターフェイスには適していません。『F2802x/F2803x』コントローラは、3倍の冗長性をもつ統合発振器を搭載し、オンチップ・セルフテスト機能を備えているため、設計者にとって欧州の白物家電の安全基準であるIEC60730のようなシステムレベルでの安全性認定が可能となります。シングル電源アーキテクチャによって、外部電源ICは不要で、電圧低下防止やパワーオンリセットの際には1.9Vの内部レギュレータにより3.3Vの単一電源で動作します。

総合的な開発インフラをもつ幅広いコントローラ・ポートフォリオ
Piccolo『F2802x/F2803x』コントローラの最初の製品である『F2802x』シリーズは40~60MHz帯で動作し、最大128KBのフラッシュメモリ、12bitのA-DコンバータおよびePWMと業界標準のペリフェラルである通信プロトコル、オンチップ発振器、アナログコンパレータ、および汎用I/Oを搭載しています。今後の製品には高性能および大容量メモリとCLA、LINおよびCANコミュニケーションペリフェラルが搭載される予定です。『F280xx』は、既存の『C2000』デジタル・コントローラシリーズと完全なコード互換性があるため、アップグレードが簡単で、アプリケーションへの幅広い選択肢があります。

『F2802x/F2803x』コントローラベースの開発キットcontrolCARDは2008年12月より供給開始予定です。新しいcontrolCARDはすべてのC2000開発キットと互換性があります。キットはそれぞれ32Kのコード制限を持つ『Code Composer Studio™ IDE(統合開発環境)』が含まれており、ガーバーファイルおよびハードウェアファイルとアプリケーションソフトウェアが含まれます。

価格と供給について
最初の製品である『F2802x』は2008年12月よりサンプル出荷予定で、参考価格は240円です。その後も随時発表される見込みです。

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