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日本TI、差動信号処理向けに業界で最も高い直線性を提供する電流帰還アンプ製品を発表

2008年07月14日

高い帯域幅でより高いゲインを提供し、デザインの柔軟性を実現する
電流帰還アーキテクチャを搭載

SCJPR-08-062 2008年7月14日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、2チャネル内蔵で電流帰還アーキテクチャの高速アンプ、『OPA2695』を発表しました。この新製品は+2V/V(2倍の電圧ゲイン)時に、市場の同種の製品と比較して70%も高い帯域幅を備えており、最も高い直線性にて歪を抑えることによる高い信号忠実度、また容易なフィルタリングにより高速な信号コンディショニング回路を実現できます。『OPA2695』は広い電源電圧オプション、および高いゲイン性能を提供することから、差動信号用の高ゲイン、または低消費電力向けの高い出力電圧または出力電流など、お客様の特定のニーズに適合するように各パラメータを調整できます。さらに、『OPA2695』は差動信号に最適化された対称なピン配置のパッケージによって、高精度IF(中間周波数)アンプ、任意波形の高速出力ドライバ、広帯域のA/Dコンバータ(アナログ-デジタル・コンバータ)の前置増幅器およびアクティブ・フィルタなどのアプリケーションにおいて、プリント基板のレイアウトを簡素化できます。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/opa2695から参照できます。

帯域幅およびスルーレートを最適化し歪みを最少にする電流帰還アーキテクチャ
『OPA2695』は、従来の電圧帰還アンプや完全差動アンプと異なり、高速アプリケーション向けに新しいレベルの性能を提供します。『OPA2695』は、電流帰還アーキテクチャを採用していることから、+2V/Vゲイン時に850 MHz(メガヘルツ)と高い帯域幅、ならびに2900V/μs(ボルト/マイクロ秒)と高速のスルーレートを提供することから、高速信号の処理に最適です。

この電流帰還アーキテクチャは、高ゲイン設定において電圧帰還アーキテクチャよりも非常に高い帯域幅を実現できます。これに対し差動信号回路によく使用される完全差動アンプは、電圧帰還アーキテクチャで設計されていることから高いゲイン設定の場合に帯域幅が減少します。

『OPA2695』は電流帰還アーキテクチャと、差動回路に最適化されたピン配置の組合せを同時に提供することから、より優れたゲインと帯域幅を提供するとともに、高い直線性および低いTHD(全高調波歪み)レベルを保持でき、設計プロセスを簡素化します。このピン配置は、入力ピンと出力ピンがそれぞれパッケージの反対側に配置されていることから、完全対称の信号経路を実現できプリント基板レイアウトを大幅に簡素化できます。
さらに、この最適化されたピン配置によって、従来のピン配置を持つ、その他の電流帰還デバイスでは実現できない偶数次の高調波歪みの低減を実現できます。10MHzの差動信号の場合、『OPA2695』のHD2(第二高調波)特性は94dBc(ディービーシー)、またHD3(第三高調波)特性は93.5dBcです。また、55MHzまでの周波数で+10V/Vの高ゲイン時のHD2特性は90dBc以上であり、このように優れた歪み特性によって帯域内の高調波歪みを低減できると同時に、帯域外の偶数次高調波のフィルタも容易になります。

デザインの柔軟性を向上する電源電圧オプション
『OPA2695』は3.5V ~12V の単一電源、または±1.75V~±6Vの二電源で動作することから、お客様の要求条件に適合する柔軟性を提供します。例えば、『OPA2695』は±5V電源で+8V/V ゲイン時に、±4.1V、すなわち8.2Vpp(ボルト ピーク・ピーク)の大きな出力振幅、ならびに120mA(ミリアンペア)のソースまたはシンク出力電流を提供することから、より正確なA/Dコンバータの量子化動作を実現できます。

また+5Vと低い単一電源電圧においても、『OPA2695』はハンドヘルドのポータブル機器をはじめとする低消費電力の要求条件を持つアプリケーションにおいて、±90mAの出力電流と3.4Vppの出力電圧を提供します。消費電力をさらに低減させるため『OPA2695』は静止電流を80μA(マイクロアンペア)まで低減するパワー・ダウンのオプションも提供します。

『OPA2695』は業界で最も高い帯域幅を提供するTIの電流帰還高速アンプのポートフォリオをさらに拡張する新製品です。それらの製品を次の表に示します。

TIの電流帰還高速アンプ・ポートフォリオの概要

製品名 内蔵
チャネル数
スルーレート 帯域幅 電源電圧範囲 静止電流
(Typ)
電流出力
(Typ)
OPA695
OPA2695
OPA3695
1、2、3 2900 V/μs (2)
4300 V/μs (1,3)
1700 MHz ±1.75 V~± 6 V 12.9 mA ±120 mA
PA694
OPA2694
1、2 1700 V/μs 1500 MHz ±3.5 V ~ ±6.3 V 5.8 mA ± 80 mA
THS3201
THS3202
1、2 5200 V/μs 1800 MHz ±3 V ~ 7.5 V 14 mA ± 100 mA

最新の『Amplifier and Data Converter Selection Guide』に関しては、http://www.ti.com/amplifier(英文)から参照できます。

供給、価格、サポートについて
『OPA2695』は現在出荷中で、8ピンSOおよび16ピンQFNパッケージで供給されます。1,000個受注時の単価(参考価格)は2.10ドルより設定されています。『OPA2695』、および『OPA695』(1チャネル内蔵)、ならびに『OPA3695』(3チャネル内蔵)の各デバイスの『OPA2695』のサンプルおよびEVM(評価モジュール)も同時に提供されます。

※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。