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日本TI、超低消費電力 「MSP430」マイコンに新世代「MSP430F5xx」ファミリーを発表

2008年06月10日

メモリーの大容量化を行いつつ、約2倍の高速化と20%の低消費電力化を同時に実現、
1.8VでのFlashメモリーの消去/書き込みも可能に―本日よりサンプル出荷開始

SCJPR-08-046 2008年6月10日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、16ビットRISC型 超低消費電力『MSP430』マイクロコントローラ(MCU)に、革新的な新世代製品として 最大25MHzという業界最高のパフォーマンスを提供する『MSP430F5xx』ファミリー(以下『F5xx』ファミリー)を発表しました。従来製品に対し、高速化(約2倍)と低消費電力化(約20%)を同時に実現するとともに、大容量化されたFlashとRAMメモリーを持ちます。将来的にはRF、USB、暗号化、LCDインターフェイスも統合します。『F5xx』ファミリーはアクティブ時に1 MHz(メガヘルツ)あたり160μA(マイクロアンペア)、スタンバイ時に1.5μAと低電力で動作するため、小型電池で長期間稼動するポータブルアプリケーションや、太陽エネルギー、振動エネルギーおよび人体の体温などで動作するアプリケーションに最適です。本件に関する詳細はwww.tij.co.jp/5xxより参照できます。

米国AdaptivEnergy社のCEOであるJim Vogeley氏は次のように述べています。「当社のJoule-Thief™ は小型の機械振動から電力を収集し蓄積します。超低消費電力マイコン『MSP430』はJoule-Thiefによる電力を利用し、配線や電池を使うことなしに、クリティカルな状況を検知し報告をおこなう自動監視システムを構築する小型の無線センサ・システムを実現します。工場、自動車、工業施設、一般家庭等といった広い範囲で活用可能です」

大容量化されたメモリーと今後のUSB、RF、暗号化、およびLCDインターフェイスを統合したペリフェラルにより、設計者は、パーソナル医療機器、ホームオートメーション、ヒューマン・インターフェイス制御、自動検針システム(AMR)、ポータブル計測機器、センサ/セキュリティ機器、および民生機器などの電池駆動の高度なアプリケーションに必要な機能を追加することが可能です。開発ツール、技術資料、サード・パーティーのサポートからトレーニングおよび大学のプログラムまで一貫したエコシステムにより、さらに使いやすくなり、開発期間が短縮されます。

約2倍の高速化/処理能力の向上と20%の低消費電力化を同時に実現
『F5xx』ファミリーの速度/処理能力は、従来の『F1xx/F4xx』ファミリーの3倍、『F2xx』ファミリーの1.6倍となるとともに、Flashメモリー/RAMのサイズも2倍となり、非常に限られた電源供給下でも困難なタスクに対応します。 実行速度は最高25MHzながら、消費電力は1MHzあたり160μA(従来製品より20%低減)という低消費電力性能を同時に実現しました。スタンバイ・モードおよびスリープ・モードから最大処理速度まで5マイクロ秒以内で動作復帰できるため、必要な時以外は可能な限り寝かせて使うといった使い方が可能となり、これによりシステム・レベルでの消費電力の削減も実現可能となりました。さらにマルチチャネルのDMA(ダイレクト・メモリー・アクセス)により、CPUコアが低消費電力モード状態の場合でも、ペリフェラル間のデータ転送を実行可能です。また業界トップクラス最高のコード効率(密度/サイクル数)により、メモリーサイズと電力消費を最小に抑えたまま最大のパフォーマンスを実現します。

スタンバイ・モード時においては、新たなフル機能(カレンダー/アラーム機能付き)の32ビットのリアルタイム・クロックとBOR(Brown Out Reset: 電圧低下に対する自動リセット機能)ならびにWDT(Watch Dog Timer)をも同時機能させながら消費電流がわずか1.5マイクロアンペアと低消費電力であるため、高精度を維持しつつ20年以上も電池交換の必要がありません。『MSP430』によって電池寿命が延長することは、電力、ガス、水道などの各種メーター業界においても電池交換の時間とコストを削減できるため非常に重要です。さらに新規に追加されたパワー・マネージメントモジュール(PMM)により、設計者は必要なパフォーマンスに応じた最適なコア電圧を自由に選択できると同時に、パワーオン・リセットや電源電圧監視およびモニタリングが保証されます。また統合クロックシステム(UCS)によって、電源に最適なクロックの選択が可能となり、場合によってはクリスタル削減による、コスト/スペース・ダウンも実現可能です。

1.8VでのFlash書込みと高機能ペリフェラル ― 今後はUSB、 暗号化、RF、LCD I/Fも
『F5xx』ファミリーのインテリジェントかつ高性能なデジタル/アナログ・ペリフェラルは非動作時には電力を消費しません。また『F5xx』ファミリーはUSB、暗号化、RFおよびLCDインターフェイスなどのペリフェラルを追加していく予定です。新設計の高精度タイマによって、音声起動式のホームセキュリティシステムなどのアプリケーションを実現する高度の処理能力が提供されます。最大1メガバイト(MB)のリニア・メモリーマッピングは、堅牢なユーザー・インターフェイスを実現し、ZigBee™ や小電力無線センサ・ネットワーク向けのアプリケーションなどに有用です。さらにこの『F5xx』ファミリーでは、従来製品で2.7ないしは2.2V必要であった Flashメモリーにおける、消去および書き込み電圧を1.8V(ボルト)まで低減、単四電池を2個使用するアプリケーションの場合には、電池1個あたりが0.9Vになるまで、Flashメモリーへの書き込み機能の活用が可能となりました。

価格と供給について
新たな『F5xx』ファミリーは従来の『MSP430』各ファミリーと100パーセントの命令セットの互換性があるため、簡単にアップグレードができ、アプリケーションに最適な製品を全ての製品群から選択することが可能です。さらにトレーニング、包括的な技術資料、コードサンプルおよびライブラリなどのサポートツールを用意しています。この『F5xx』ファミリーの第一弾が『F54xx』シリーズです。当シリーズの『MSP430F5438IPZ』は本日よりサンプル出荷を開始し、2008年8月から量産出荷の予定です。 また、『MSP430F5437IPN』、『F5436IPZ』、『F5435IPN』、『F5419IPZ』および『F5418IPN』も2008年8月から出荷開始の予定です。パッケージ・オプションは、80ピンTQFPおよび100ピンTQFP(汎用I/Oが追加)があります。『F5418IPN』の10,000個受注時の参考価格は404円です。
また、今後『F5xx』ファミリーのその他のシリーズを随時発表していく予定です。

型番 メモリー(Flash/RAM) パッケージ 1,000個受注時の単価(参考価格)
MSP430F5438IPZ 256KB/16KB 100 ピン QFP 655円
MSP430F5437IPN 256KB/16KB 80 ピン QFP 594円
MSP430F5436IPZ 192KB/16KB 100 ピン QFP 578円
MSP430F5435IPN 192KB/16KB 80 ピン QFP 524円
MSP430F5419IPZ 128KB/16KB 100 ピン QFP 488円
MSP430F5418IPN 128KB/16KB 80 ピン QFP 445円

『MSP430F5438』向け開発ツールについて
『F5xx』ファミリー第一弾の『MSP430F5438』向けに下記の開発ツールを用意しています。これらはTI販売特約店から供給されます。

  • 『MSP-FET430U5x100』(19,800円:税込/希望小売価格)
    ---- JTAGアダプタ+ターゲット・ボード(F5xx用100ピン・ソケット搭載)
  • 『MSP-FET430PZ5x100』(7,500円:税込/希望小売価格)
    ---- ターゲット・ボード(F5xx用100ピン・ソケット搭載)

また、本日より、『MSP430F5438』に対応した以下の統合開発環境(ソフトウェア)の提供も開始します。

  • 『IAR Kickstart(FET_R512)』ならびに『CCE v3(PRO & Core Edition SP1 update)』

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