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日本TI、第3世代、第4世代の携帯通信基地局向け 高性能 16ビット 800MSPS 2チャネル D/Aコンバータ製品を発表

2008年05月29日

SCJPR-08-040 2008年5月29日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、分解能16ビット 800MSPSのD/Aコンバータを2チャネル内蔵した『DAC5688』を発表しました。『DAC5688』は、市場実績のある『DAC5687』(16ビット 500MSPS 2チャネル D/Aコンバータ)を元に開発されました。基地局やSDR(ソフトウェア無線)、計測機器などのアプリケーションにおいて、送信回路の実装面積を低減し、かつ性能を向上することができます。本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/dac5688から参照できます。

『DAC5688』はTIの多機能D/Aコンバータの製品群を拡張する製品になります。『DAC5688』は9mm角の64ピンQFNパッケージであるため、既存製品と比べて67%の実装面積を低減します。この製品はWCDMA、TD-SCDMAをはじめとする現行の第3世代携帯通信基地局をはじめ、WiMAX、LTEなどの第4世代携帯通信基地局の新たなアプリケーションで要求されるより厳しい要求性能を実現することができます。例えば、出力周波数が70MHzの場合、シングル・キャリアWCDMAで81dBcのACLR(隣接チャネル漏洩電力比)性能を実現します。

『DAC5688』の精密な周波数設定、優れた直線性能、低ノイズ・クロストークおよびクロックPLLの低位相ノイズ性能など使用することで、より高性能な通信機器を設計することができます。主に以下の機能があります。

  • 800MHzまで動作する32ビットNCO(数値制御発振回路)により、高精度な周波数設定が可能
  • D/Aコンバータ特有のsin(x)/xロールオフ特性を補償するデジタル方式の逆SINCフィルタを内蔵
  • IQの位相、ゲインおよびオフセットの補正を行い、サイドバンド除去比を最適化することで、通過帯域の平坦性の向上に役立つデジタルQMC(直交変調補正)機能を内蔵
  • 『DAC5687』よりもジッタ性能が良好で、4倍の逓倍範囲を提供する2倍~32倍のクロック逓倍用のPLL/VCO(電圧制御発振回路)を内蔵。この逓倍範囲の拡張により外部クロック回路の設計の簡素化とコストの低減が可能
  • 2系統のCMOSデータバスは、D/Aコンバータ1チャネルあたり250Msps データが入力できるため、様々なデータレートの入力に対して柔軟性に対応することができます。また、様々なデータ入力方法が可能で、デュアル・バス入力、インターリーブ・データもしくは半分のデータレートを多重化してのシングル・バス入力などのオプションを選択可能
  • 外部クロックもしくは内部クロックで入力FIFOを動作させることで、データ入力回路とのインターフェイス・タイミングが容易
  • 阻止帯域減衰量が80dB(デシベル)以上のデジタル・インターポレーションFIRフィルタによって、入力データを2倍、4倍もしくは8倍にインターポレーション可能

設計の簡素化に役立つツール、サポートおよびシグナル・チェーン・ソリューションを提供
TIは、開発時間の短縮に役立つ使いやすい評価ボードおよびツールを提供しています。『DAC5688EVM』評価モジュールは『TRF3703』(直交変調器)、『CDCM7005』(クロック・シンセサイザ/ジッタ・クリーナー)を搭載しており、小さな実装面積で高性能な送信向けシグナル・チェーン・ソリューションを短期間で評価できます。さらに、TIはCMOS出力を備えた『TSW3100』(デジタル・パターン発生器)も提供しており、『DAC5688』の広帯域性能を活用して、次のような高性能システムを構築できます。

  • 次世代通信方式の基地局
  • 最先端の画像処理機器向けの高解像度な画像表示
  • 多くの標準規格に対応するSDR(ソフトウェア無線)
  • 高いシステム性能を備えた試験・計測機器

TIは、『OPA695』(オペアンプ)、『TRF3761』(高集積PLL/VCO)をはじめ、製品の設計を簡素化する、包括的なシグナル・チェーン向け製品を供給しています。また、アナログ向けシグナル・チェーン・ソリューションだけではなく、ワイヤレス基地局向けに最適化されたシングルコア、マルチコアのDSPファミリー、ならびに各種ワイヤレス・エアー・インターフェイス向けのソフトウェア・ライブラリも供給しています。TIのワイヤレス向け製品は、第3世代携帯通信基地局メーカーの上位8社に採用されるなど、その展開において業界をリードしています。TIのワイヤレス基地局向けソリューションの詳細に関しては、 http://www.ti.com/wi(英文)から参照できます。

『DAC5688』の特性表

項目 DAC5687 DAC5688
分解能 16 ビット 16 ビット
内蔵DACチャネル数 2 2
セトリングタイム 0.012 μs 0.011 μs
サンプル・レート/アップデート・レート 500 MSPS 800 MSPS
インターフェイス パラレル パラレル
出力信号形式 電流 電流
出力電圧範囲 VDD VDD
出力電流範囲 2 ~ 20 mA 2 ~ 20 mA
微分非直線性誤差DNL (max) ±3 LSB ±4 LSB
積分直線性誤差 INL (max) ±6 LSB ±4 LSB
SNR(typ) 75 dB 79 dB
SFDR(typ) 80 dB 80 dB
アーキテクチャ I-ステアリング I-ステアリング
基準電圧源 内蔵 内蔵
アナログ電源電圧範囲AV/DD 3.0 V ~ 3.6 V 3.0 V ~ 3.6 V
ロジック電源電圧範囲DV/DD 1.71 V ~2.15 V 1.71 V ~2.15 V
必要電源数 (ユニポーラ) 1 1
ピン/パッケージ 100HTQFP 64VQFN

価格と供給について
『DAC5688』は現在、64ピンQFNパッケージで出荷中です。1,000個受注時の単価(参考価格)は29.95ドルです。サンプルおよび評価モジュールの供給に関しては、http://www.ti.com/dataconverters(英文)から参照できます。

※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。