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ニュースリリース

日本TI、次世代のワイヤレス、コンピュータ、通信システム向けにホットスワップ用 パワー・マネージメント・コントローラを発表

2008年05月13日

2個のAdvancedMC™ カードをサポートし、3.3V系および12V系チャネルの
制御機能を提供するデュアル・スロット・ホットスワップ用電源管理IC

SCJPR-08-036 2008年5月13日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、ATCA(AdvancedTCA)およびMicroTCAシステムをはじめ、ワイヤレス、通信およびコンピュータ・システムで使用されるAdvancedMC™ カード(アドバンスド・メザニン・カード*注)向けに、ワンチップでデュアル・スロットをサポートする業界初のホットスワップ用電源管理IC(集積回路)、『TPS2359』を発表しました。この製品は3G(第三世代)およびそれ以降のワイヤレス基地局およびネットワーク機器からハイエンドのデータ通信機器まで、幅広いアプリケーションにおいて、ホットスワップ用の電源管理回路の柔軟性と性能を大幅に向上します。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/tps2359から参照できます。

(*注) AdvancedMCカード : 組み込みシステム・ボードの一形態で、基板とモジュールがホットスワップ可能で現場における保守性および可用性を向上する。MicroTCAはAdvancedMCカードを直接接続できるバックプレーンを提供することから、コンパクトなシステム構成を実現できる。標準I/OとしてPCI ExpressやGigabit Ethernetなどの超高速シリアルバスを使用している。

今回発表された『TPS2359』ホットスワップ・コントローラはI²Cインターフェイス経由のプログラム機能を備えているほか、最小限の外付け部品で、2個のAdvancedMCカードに必要なすべての電源インターフェイス機能を実現します。『TPS2359』は同種の製品と比較して、必要な部品点数を最高75%も低減できます。『TPS2359』に内蔵の2個の3.3V系チャネルは、突入電流の制御、過電流制御、およびFET ORing制御の各機能を提供することから、システムを動作させたままでプラグアンドプレイによる切れ目のないAdvancedMCカードの接続および取り外しを実現します。さらに、2個の12V系チャネルは、FETおよび電流検出抵抗を外付けすることで、3.3V系チャネルと同様の機能を提供します。『TPS2359』の3.3V系の電流制限値は、AdvancedMC標準規格に適合するレベルに工場設定されています。また12V系の電流制限値は外付け抵抗によって設定できます。

『TPS2359』に内蔵のORing制御機能は、AdvancedMCスロット内で冗長電源を管理するMicroTCA用電源モジュールなどの電源系の設計を簡素化できます。『TPS2359』コントローラは低いRdson(導通時のドレイン-ソース抵抗)を持つNチャネルMOSFETを外付けすることで、130ns(ナノ秒)という高速のターンオフ応答特性を提供し、故障を発生させるおそれのある逆電圧または過渡電圧からシステムを保護すると同時に、切れ目のない電源分配管理を実現できます。

デジタル設定および監視機能を提供
『TPS2359』コントローラは高い柔軟性を持つI²Cインターフェイスを備えており、外付け部品と使用ピン数の少ない2線式通信バスを使用してAdvancedMCカード向けのホットスワップ・ソリューションをデジタルで設定および監視できます。このインターフェイスによって、電流制限、高速トリップのスレッシュホールド、フォールト・タイマなどの値を設定できます。また『TPS2359』コントローラはORing機能、マルチチャネルのクロス接続および自動リトライなどの許可および禁止も可能です。これらの機能によって、デジタル電源システムの総合的な性能をより良好に管理できます。例えば『TPS2359』を搭載するホットスワップ向けソリューションは、過電流、高速トリップおよび電流制限などが動作した場合に、システムに警報を発生できます。TIでは、デジタル・インターフェイスが不要なデザイン向けに、専用の出力ピンおよび外付け部品による設定機能を備えた『TPS2358』を供給しています。

ATCAおよびMicroTCAへの移行に弾みをつけるTIの製品
PICMG(PCI Industrial Computing Manufactures Group)は2002年、通信インフラストラクチャ市場の成長および変化に対応して、ATCAを業界全体向けの開放型標準として発表しました。MicroTCAは開放型プラットフォームであるATCAの後継の標準規格であり、ATCAを分散環境におけるスケーラビリティおよび冗長性を必要とするアプリケーション向けに拡張したものです。

TIのシステム技術者で、ATCAおよびMicroTCAの標準化委員会の委員であるジム・バード(Jim Bird)は次のように述べています。「インターネットによる通信容量の増加とワイヤレス・ネットワークの成長による継続的な圧力から、機器メーカー各社および設計者はATCAまたはMicroTCAのどちらかの標準を採用することが必要になりました。『TPS2359』および『TPS2358』は業界唯一、ATCAおよびMicroTCAの各標準規格に適合するとともに、複数の電圧出力を備えたホットスワップ・コントローラ製品です。これらの画期的な製品は、電源設計上の重大な困難を解決するTI独自の能力を向上するとともに、業界へのATCAおよびMicroTCAの各標準規格の、より迅速な採用を実現します」

TIのハイパフォーマンス・アナログおよび通信インフラストラクチャ向けソリューション
TIではワイヤレス、通信、コンピュータおよび工業用機器のメーカー各社のエネルギー・マネージメント・デザインのニーズに適合する製品とサポートを提供しています。TIはパワー・マネージメントに加えて、デジタル・アップ/ダウン・コンバータ、高速データ・コンバータ、RF製品、タイミング、バックプレーン・インターフェイス、スタンダード・ロジック部品および、シングル・コアおよびマルチ・コアの高性能DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)ソリューションをはじめとする業界で最も包括的な通信インフラストラクチャ向け製品ポートフォリオを供給しています。最新の『Communications Infrastructure Guide』に関しては、http://www.ti.com/communicationsinfrastructure(英文)からダウンロードできます。

『TPS2359』および『TPS2358』の特性表

項目 TPS2359 TPS2358
入力電圧 (Min) 3.3 V 3.3 V
入力電圧(Max) 12 V 12 V
ピン/パッケージ 36QFN 48QFN
1,000個受注時の単価(参考価格) 5.00ドル 4.00ドル

価格と供給について
現在、『TPS2359』および『TPS2358』は量産出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。『TPS2359』は省スペースに役立つ36ピンPQFNパッケージで供給され、1,000個受注時の価格(参考価格)は5.00ドルです。『TPS2358』は48ピンQFNパッケージで供給され、1,000個受注時の価格(参考価格)は4.00ドルです。『TPS2359』および『TPS2358』のEVM(評価モジュール)、デザイン・アプリケーション・ノートおよび最新の『Power Management Guide』に関しては、http://power.tij.co.jp から参照できます。

*すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。