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ニュースリリース

日本TI、HD対応IP監視カメラ向けリファレンス・デザインを発表

2008年04月04日

TIとマイクロンの共同開発
HD映像のIPネットワーク監視カメラをアナログ監視カメラの価格帯で提供

SCJPR-08-025 2008年4月4日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、DaVinci™ デジタル・メディア・プロセッサを用いたHD IPネットワーク・カメラ向けのリファレンス・デザイン(参照設計)(*1)、『DM355 IPNC-MT5』を発表しました。TIとアプティナ・イメージング(米マイクロン テクノロジー社のCMOSイメージセンサ事業部門、以下アプティナ)が共同で開発したこのリファレンス・デザインは、TIのDaVinci(『TMS320DM355』)プロセッサと、アプティナの5メガピクセルの高品位(HD)セキュリティ・イメージセンサを搭載しています。
監視カメラ・システムはこれまでのCCTV(*2)から HD(高品位)画像を転送できる IP ネットワークへと移行が進んでいます。その中でカメラ機器設計者は、システム全体のコストダウン、画質の向上、設計の簡素化、開発期間の短縮などの数々の課題に直面していました。今回両社が開発したリファレンス・デザインは、必要な電子部品(eBOM)が合計40ドル以下と低価格に抑えられています。このためビデオ監視システム・メーカーは、これまでのアナログビデオカメラと同等のコストでIPベースのHDネットワーク・カメラへと容易に移行できます。本件に関する詳細は www.ti.com/ipnetcampr(英文)より参照できます。

アプティナのニューマーケット担当ディレクターである Curtis Stith 氏は次のように述べています。「防犯・監視カメラの市場は急速に成長しており、手頃な価格でより高い画質と機能性が求められるようになっています。この新しいリファレンス・デザインをTIと共同で開発することで、高品質のIPネットワーク・カメラへと簡単に移行できるよう、セキュリティ・システム設計者をサポートいたします」

拡張性、広視野角、低消費電力を全て実現
『DM355 IPNC-MT5』の設計は、これまでのCCTVカメラと異なり、分散型ネットワーク上での遠隔地点の監視やデータ保存機能を備えつつ、拡張性にも優れています。これまでの監視システムでは、キャプチャに480 x 720ピクセルのD1カメラ2台を必要としていた映像も、『DM355 IPNC-MT5』を使えば、1280 x 720ピクセルで1度にキャプチャできるため、ネットワーク構成を簡素化し全体コストを下げることができます。またアプティナの5メガピクセル・イメージセンサを採用し、極めて低いノイズレベルと高い微光感度を備えた結果、画質が格段に向上しました。

また『DM355 IPNC-MT5』は、既存のCCTVシステムを使用している顧客にとっては、IPカメラへの移行を容易に実現できる、先行投資が無駄にならないカメラ・システムの導入を可能とします。『DM355 IPNC-MT5』を活用したカメラ製品は、わずか400mWでHD MPEG-4エンコードを実行し、システムとして3W未満で動作するため、複雑なネットワーク環境において消費電力の削減に寄与します。

最適化されたリファレンス・デザインが、開発期間を約4ヶ月にまで短縮
監視カメラ・システムは、デバイス・ドライバやアプリケーション・ソフトウェアからハードウェアや画像チューニングにいたるまで広範囲に及ぶため、開発完了までにおよそ150人月以上を要します。『DM355 IPNC-MT5』リファレンス・デザインは、最適化された回路構成、ガーバーファイル、Linuxアプリケーション・ソースコードなど開発に必要なコンポーネントがあらかじめ揃っており、システム開発に要する期間を約4ヶ月未満に短縮します。なおソースコードには、オートホワイトバランス/AE(自動露出)、シンプルな動き検出、HD MPEG4 とMJPEGビデオ圧縮の同時処理機能、およびDaVinci IPネットワーク・カメラ用のソフトウェア・フレームワークなどが含まれており、迅速な製品化が可能です。
なお、このリファレンス・デザインは、『TLV320AIC26』オーディオ・コーデックや『TPS23750』PoE用コントローラなど、TIのアナログIC、パワー・マネジメント、ロジック製品などの幅広いポートフォリオと組み合わせることで、さらに市場投入期間を短縮し、最終製品の性能を引き上げます。

TIのビデオ・サーベイランス・アンド・イメージング・ビジネスマネージャのDanny Petkevichは次のように述べています。「当社のDaVinci 『DM355』デジタル・メディア・テクノロジーとアプティナの業界トップレベルのイメージセンサを組み合わせることで、高性能でありながら、コスト効果を意識したソリューションを提供することができました。アプティナと緊密に協力し、コストやシステムの複雑さ、求められる設計スキルといった、IPベースのHDビデオ監視システムを導入する際にこれまでの障害となっていた各種要因を取り払うことに成功しました」

価格と供給について
TIとアプティナから発表された HD IPネットワーク・カメラ・リファレンス・デザインは、ホームページから受注を開始しています(www.ti.com/ipnetcampr)。参考価格は795ドル(税込み)で、カメラ、三脚、ケーブル、電源アダプタ、クイックスタートガイドおよび同意書が含まれます。本製品は2008年第2四半期から供給を開始する予定です。

なおTIの『DM355』プロセッサは、量産出荷中です。同製品はビデオ・プロセッシング・サブシステム、MPEG-4-JPEGコプロセッサ(MJCP)、270MHz動作のARM926EJ-Sコアおよびペリフェラルを集積しています。またD/Aコンバータ(DAC)も集積しており、TIの『OPA361』ビデオアンプを組み合わせると、PALやNTSCの出力用として使用できます。MJCPはHD MPEG-4 SPエンコードおよびデコードを720p/30fps、JPEGエンコードおよびデコードを75メガピクセル/秒で提供します。その他詳しくは、日本TIのホームページ( http://www.tij.co.jp/dm355pr )をご参照ください。


(*1) リファレンス・デザイン(参照設計):
最終製品メーカー向けに提供する、半導体を利用した製品の設計図および関連ツール一式。仕様例。そのまま製品化レベルで作りこまれることが多い。

(*2) CCTV:
Closed Circuit Televisionの略。閉回路テレビ。防犯・防災・制御などの目的で、主に限られた特定の人々に向けて遠隔地点の映像を送受信するテレビシステムのこと。狭義では監視カメラシステムのこと。これに対しいわゆる「テレビ」は公共電波を送受信により不特定多数の人々が視聴可能な、「開回路」のテレビである。

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