2008年03月03日
工業用プロセス制御など産業機器分野用途に最適なD/Aコンバータ製品
SCJPR-08-016 2008年3月3日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、0.15nV-s(ナノボルト・秒、代表値)の超低グリッチ特性と、2ppm/℃(百万分の一/℃)の温度ドリフトおよび±0.02%(最大値)の初期精度を備えた2.5V(ボルト)高精度基準電圧源などの特長を提供する4チャネル内蔵のD/Aコンバータ製品ファミリーを発表しました。この多用途の16ビット、14ビットおよび12ビットのD/Aコンバータ製品ファミリーは高精度、低消費電力、小さな基板実装面積などの特長とマルチチャネルの高性能を組み合わせることで、工業用プロセス制御、データ・アクイジション、計装などのアプリケーションにおいて、ポータブル機器および多チャネル搭載システム向けに最適です。本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/dac8564から参照できます。
16ビットの『DAC8564』および『DAC8565』は高精度に寄与する±0.5 LSB(代表値)のDNL(微分非直線性誤差)および±4LSB(代表値)のINL(積分非直線性誤差)を提供します。14ビットの『DAC8164』および『DAC8165』、ならびに12ビットの『DAC7564』および『DAC7565』は±1LSB(代表値)の相対精度を提供します。3V電源で動作時に2.9 mW(ミリワット、代表値)と非常に低い消費電力、ならびに5V 電源で動作時に1.3μA(マイクロアンペア、代表値)のパワーダウン機能は、各種のポータブル・アプリケーションにおいてバッテリー動作時間の延長に役立ちます。
先行の『DAC8560』および『DAC855x』シリーズのD/Aコンバータ製品は、飛躍的な性能と、コード遷移に伴って出力に発生する過渡電圧(グリッチ)が極めて小さいという特長を備えています。『DAC8564』および『DAC8565』は、『DAC8560』および『DAC855x』D/Aコンバータ製品を踏まえて開発された新製品です。この超低グリッチ特性によって、閉ループ・システムにおいてはリンギングを誘発する不要な過渡電圧波形の発生を防止できるほか、波形発生回路では高調波歪みの発生など、D/Aコンバータに共通する問題を解決できます。さらに、フルスケールの±0.003%以内まで10μs(マイクロ秒、代表値)の高速のセトリングタイムによって、より広い帯域幅の信号をサポートします。
他の機能として、電源の通電開始後、正しいデータが書き込まれるまでD/Aコンバータ出力をゼロに保持するためのPOR(パワーオン・リセット)機能、また同様に出力電圧をゼロまたはミッドスケールに保持するプログラマブルのPOR機能があります。これらの機能によって、ストレート・オフセット・バイナリまたは2の補数バイナリ形式の出力データ・フォーマットをサポートできます。さらに、シリアルSPIインターフェイスもサポートしています。
今回発表されたD/Aコンバータ製品ファミリーは、TIの低電圧、単一電源動作、超低グリッチ特性、高精度基準電圧源の内蔵、ピン互換性などの特長を備えた新型D/Aコンバータ製品の一部です。各デバイスは-40℃~+105℃の拡張温度範囲、ならびに+2.7V~+5.5Vの広い電源電圧範囲で動作します。
『DAC8564/65』ファミリーの特性表
DAC7564 | DAC7565 | DAC8164 | DAC8165 | DAC8564 | DAC8565 | |
分解能 (ビット) | 12 | 12 | 14 | 14 | 16 | 16 |
内蔵チャネル数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
インターフェイス | シリアル, SPI | シリアル, SPI | シリアル, SPI | シリアル, SPI | SPI | SPI |
DNL(最大値) (±LSB) |
0.5 | 0.5 | 1 | 1 | 1 | 1 |
INL(最大値) (±LSB) |
1 | 1 | 2 | 2 | 8 | 8 |
INL (最大値) (±%) |
0.0244 | 0.0244 | 0.0122 | 0.0122 | 0.012 | 0.012 |
セトリングタイム (us) |
8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
サンプル/更新レート (MSPS) |
0.2 | 0.2 | ||||
消費電力(代表値) (mW) |
2.9 | 2.9 | 2.9 | 2.9 | 3.1 | 3.1 |
出力信号形式 | 電圧 | 電圧 | 電圧 | 電圧 | 電圧 | 電圧 |
出力電圧範囲 | 0 ~ +Vref | 0 ~ +Vref | 0 ~ +Vref | 0 ~ +Vref | 0 ~ +Vref | 0 ~ +Vref |
アーキテクチャ | ストリング | ストリング | ストリング | ストリング | ストリング | ストリング |
アナログ電源電圧範囲 AV/DD(V) |
2.7~ 5.5 | 2.7~ 5.5 | 2.7~ 5.5 | 2.7~ 5.5 | 2.7~ 5.5 | 2.7~ 5.5 |
アナログ電源電圧範囲 DV/DD(V) |
1.8 ~ 5.5 | 1.8 ~ 5.5 | 1.8 ~ 5.5 | 1.8 ~ 5.5 | 1.8 ~ 5.5 | 1.8 ~ 5.5 |
単調増加性(ビット) | 12 | 12 | 14 | 14 | 16 | 16 |
SNR(代表値)(dB) | 81 | 81 | 87 | 87 | 88 | 88 |
SFDR(代表値)(dB) | 79 | 79 | 79 | 79 | 79 | 79 |
必要電源数 (ユニポーラ) |
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
ピン/パッケージ | 16TSSOP | 16TSSOP | 16TSSOP | 16TSSOP | 16TSSOP | 16TSSOP |
価格と供給について
16ビットの『DAC8564』および『DAC8565』は現在、標準的な実装面積を提供する16品TSSOPパッケージで出荷中で、日本TIおよび販売特約店から供給されます。100個受注時の単価(参考価格)は14.10ドルです。14ビットおよび12ビットのデバイスは2008年第1四半期に供給の予定です。14ビットの『DAC8164』および『DAC8165』の100個受注時の単価(参考価格)は11.60ドル、12ビットの『DAC7564』および『DAC7565』は同7.25ドルの予定です。
TIではアナログ技術者向けにトレーニングおよびセミナ、デザイン・ツール、技術資料、評価モジュール、サンプル提供などの幅広いサポートを提供しています。TIの包括的なアナログ・デザイン・サポートの詳細ならびに最新の『Amplifier and Data Converter Selection Guide』に関しては、http://www.ti.com/analogelab(英文)から参照できます。
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