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日本TIの『OMAP35x™』汎用プロセッサ、ポータブル機器の消費電力でかつてない高性能を発揮し、画期的なアプリケーションを実現

2008年02月27日

ARM9コアに対し性能は4倍、世界最高性能を誇るARM® Cortex™-A8コア搭載製品を出荷

SCJPR-08-015 2008年2月27日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、OMAP™プロセッサの新製品4種類を発表しました。主なアプリケーションはポータブル・ナビゲーション機器やインターネット端末、POS端末、個人用医療機器をはじめ、組み込み型ポータブル機器全般です。

今回発表された『OMAP35x™』汎用プロセッサ4製品は、ハイエンドの携帯電話端末に搭載されているような優れたユーザー・インターフェイス、最新のグラフィックス、インターネット接続など豊富な機能を、身近なポータブル機器において実現する画期的なものです。高集積シングルチップにより、ノートパソコンのような処理性能を、ポータブル機器に適した消費電力で実現します。また、本製品はARM® Cortex™-A8コアを採用し幅広い顧客にサンプル出荷される初めての製品でもあります。『OMAP35x™』に搭載のスーパースカラCortex-A8コアは、600MHzにて動作し従来の300MHz ARM9デバイスに対して4倍以上の処理能力を持ちます。
詳しくは、http://www.tij.co.jp/omap35x をご覧ください。

本日発表の『OMAP35x』は、携帯電話端末で培われてきたTIの高い技術力を、民生、組み込み機器および医療機器など、より幅広い市場の顧客層に向けて展開するものです。『OMAP35x』には写真並みのリアルなグラフィックス機能とTIが誇る最先端のビデオDSPテクノロジーも搭載されており、シングルチップ・ソリューションとして業界最高レベルのマルチコア処理機能を発揮します。この画期的な新製品を採用することにより、OEMメーカー各社は、さまざまな市場に向けて、ユーザー・インターフェイスやウェブ閲覧、生産性の向上、マルチメディア体験などを一新する機器の開発が可能になります。

日本TIのASP事業部DSP/MSP430プラットフォーム・ビジネス・デベロップメント部担当、田中竜太郎は、次のように述べています。「何年も前からビデオやグラフィックスに自由にアクセスできる時代が来ると言われていました。ついに、写真画質のグラフィックスとインターネット常時アクセス、マルチメディア機能を、バッテリ切れを心配することなく使いやすいユーザー・インターフェイスで使える時代がみえてきました。今回発売した『OMAP35x』汎用プロセッサを活用すれば、このようなテクノロジー・コンセプトを現実のものにすることができます」

汎用プロセッサ、グラフィック処理およびマルチメディア処理を多様な組み合わせにて提供
TIの『OMAP35x』汎用プロセッサには、『OMAP3503』、『OMAP3515』、『OMAP3525』、『OMAP3530』という4種類の製品があります。いずれもCortex-A8コアを搭載しており、マルチメディアに対応したペリフェラル、OpenGL® ES 2.0準拠のグラフィックス・エンジン、ビデオ・アクセラレータ、TMS320C64x+™ DSPコアの様々な組み合わせで提供されます。
『OMAP3525』と『OMAP3530』はマルチメディア重視の顧客に対応するため、TIのDaVinci™ソフトウェア・テクノロジーを搭載し、『OMAP35x』デバイスの中でもビデオ関連のパフォーマンスが特に強化されています。

また『OMAP35x』を使用したデバイスの開発に向けて、400社を超えるTIのデベロッパ・ネットワークにより、オペレーティング・システムからアプリケーション・ユーザー・インターフェイスまで幅広いノウハウが提供されます。なお、これら4製品は互いにピン互換性を確保しており、ひとつのプラットフォームで幅広い製品ポートフォリオを効率的に構築できます。既存のARMや『C64x+』™ DSP用に開発したソフトウェアも『OMAP35x』のコア上で動作します。

『OMAP3503』:スーパースカラ・アプリケーション・プロセッサ
現在サンプル出荷中の『OMAP3503』には、600MHz Cortex-A8コアとともに各種ペリフェラルが集積されています。新型コアのCortex-A8は、クロック速度が従来のARM9製品300MHzに対して2倍に引き上げられており、スーパースカラ・アーキテクチャによってパフォーマンスも2倍になっています。これはひとつのプロセッサにおいてインストラクション・レベルの並列処理を実行出来ることにより、同じクロック速度で高いCPUスループットが可能になります。こうして最終的に4倍の性能アップが実現しており、新型Cortex-A8は1,200ドライストーンMIPS以上の性能を発揮できるとともに、Windows® Embedded CEやLinuxなど、フル機能のオペレーティング・システム上で動作することができます。
ユーザーにとっては、使い易いユーザー・インターフェイス、データベース、表計算、プレゼンテーション、電子メール、オーディオやビデオ、ウェブ閲覧、テレビ会議などのアプリケーションを快適に使えるようになるというメリットがあります。起動時間の短縮や魅力的なJavaアプリケーションの使用も可能になり、組み込みプロセッサボードに適しています。

『OMAP3515』:ゲーム画質グラフィックスを統合
『OMAP3515』には『OMAP3503』と同じペリフェラルとARMコアに加え、量産品として初めて統合OpenGL ES 2.0グラフィックス・エンジンを搭載しました。Imagination社のPowerVR SGXグラフィックス・アクセラレータをベースとしており、写真画質のリアルなグラフィックスによりスマート・デバイスのユーザー・インターフェイスを劇的に改善することができます。
組み込みゲーム・システムやポータブル・ナビゲーション・システムにも最適なプロセッサです。

『OMAP3525』:組み込みアプリケーション用マルチメディア処理
『OMAP3525』は、現行製品である『OMAP3503』の基本機能を受け継ぎ、HDビデオ、イメージング、オーディオ、マルチメディアのアクセラレーション機能を実現する製品です。『C64x+』DSPが集積されており、また、ビデオとイメージングの処理およびビデオ処理を重視した専用ペリフェラルがハードウェアによって実現されていることから、『OMAP3525』は、HDビデオのデコード(MPEG-4 SP、720pの30フレーム/秒再生)も実現可能となっており、ポータブル・メディア・プレーヤーなどに適しています。

『OMAP3530』:マルチメディア・スマート・デバイス用シングルチップ・ソリューション
『OMAP3530』はスーパーセットのデバイスで、ARM、DSP、グラフィックス・エンジン、ペリフェラルをシングルチップに集積し、高いパフォーマンスと高性能と低消費電力を同時に向上させたアプリケーションやエンターテイメント・アプリケーションなど、さまざまな用途に適しています。インターネット・アプリケーションや小型の患者モニタリングシステム等、幅広いポータブル機器に適した『OMAP3530』は、電力効率を最適化した統合設計が可能で、薄く軽量、洗練された形状の製品を実現することができます。あるいは、既存製品に、新しいユーザー・インターフェイスやグラフィックスを簡単に統合するなども可能です。

マイクロソフト株式会社のモバイル&エンベデッドデバイス本部長、梅田 成二氏は次のように述べています。「日本テキサス・インスツルメンツ株式会社様の『OMAP35x』プロセッサの発表、おめでとうございます。同製品は、高性能な組み込み機器を実現する際に今後の基準となりうるプロセッサで、弊社のWindows Embedded製品にとっては、ネットワーク接続型の組み込み機器開発に付随するさまざまな付加価値をより強く訴求するために必要な技術となります。オペレーティング・システムやミドルウェアの快適な動作を可能にする新しいハードウェアプラットフォームの登場により、開発者にとって従来よりも短期間かつ低コストでのアプリケーションおよびサービスの開発が実現されることになると期待しております」

『OMAP35x』の低消費電力性能
この性能を組み込みアプリケーションで最大限活用できるように、『OMAP35x』は3種類のテクノロジーを採用し、消費電力が大きく制限された環境での使用も可能になっています。まず、アーキテクチャをマルチコアとし、それぞれのコアを担当するタスクに最適化して効率を最大限引き上げています。次に、65nm(ナノメートル)低消費電力プロセス・テクノロジーを採用しています。また、デバイスの使用状況、動作モード、プロセス・テクノロジー、温度変化に応じて電圧、周波数、消費電力を動的にコントロールするTIのSmartReflex™テクノロジーも搭載されています。

アーム株式会社の代表取締役社長 西嶋貴史氏は次のように述べています。「TI社はARMテクノロジー搭載デバイスのリーディング・プロバイダーとして、高度な専門知識とサポートネットワークを持ち、OEM各社が設計をスムースに行い、素早く効率的に製品を市場に投入できるように努めています。Cortex-A8は、NEONテクノロジーとRealView™ Development Suite 3.1 Professionalのベクトル化コンパイラのサポートにより、最先端のアプリケーションに最適な高性能・低消費電力のプロセッサです。『OMAP35x』が発表されたことで、Cortex-A8をより多くの設計者にご利用いただけることになり、設計者は民生品、産業用、医療アプリケーションなどの幅広いニーズに応えることができるでしょう」

評価モジュールの受注を開始
『OMAP3503』を使用した開発に必要なコンポーネントすべてが揃う、モジュール型で拡張可能な『OMAP35x』評価モジュール(EVM)が用意されています。EVMでは、『OMAP35x』デバイス専用のパワー・マネジメントとアナログを統合したソリューションが使えるほか、柔軟性も高く、さまざまなアプリケーションに対応した各種ドーター・カードの組み込みや、LinuxやWindows® Embedded CE を用いた開発ができます。Linux2.6.22カーネルをベースとした『OMAP3503』Linuxボード・サポート・パッケージ、ペリフェラル・ドライバ、ブート・ロード用U-Boot、Busyboxベースのルート・ソリューション・システムが同梱されます。なお、Windows Embedded CE 6.0R2 BSPは第3四半期頃供給される見込みです。『OMAP35x 』EVMは受注を受け付けており、価格は189,000円(参考価格)です。

価格と供給について
『OMAP3503』(100個受注時の参考価格は単価で25.95ドル)には、2種類のパッケージがあります。0.4mmピッチのパッケージはサンプル出荷中、0.65 mmピッチのパッケージは2008年第2四半期の発売を予定しています。『OMAP3503』以外の3デバイス(『OMAP3515』、『OMAP3525』、『OMAP3530』)は、開発ツールとともに、2008年後半に提供を開始する予定です。詳しい情報は、http://www.tij.co.jp/omap35x をご覧ください。

*OMAP, TMS320C64x+, C64x+ および SmartReflex はTexas Instrumentsの商標です。すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します