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ニュースリリース

日本TI、C2000™ デジタル・シグナル・コントローラ新製品を発表

2008年02月20日

業界初、浮動小数点と固定小数点の完全互換を実現、
環境に配慮した制御機器を、迅速かつ低コストで開発可能に

SCJPR-08-012 2008年2月20日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、固定小数点デジタル・シグナル・コントローラ(DSC)の新製品3製品を発表しました。いずれも業界で初めて、高性能浮動小数点DSCとの間で、ハードウェア、ソフトウェア共に完全互換性を確保しました。これにより、最終製品の開発に要する期間が飛躍的に短縮されます。主なアプリケーションは組み込み型制御システムです。製品の詳細は日本TIの http://www.tij.co.jp/F282x から入手できます。

新製品『TMS320F282x』(以下『F282x』)ファミリーは、コストメリットに優れた固定小数点アーキテクチャでありながら、浮動小数点デバイスならではのソフトウェア開発のしやすさを兼ね備えています。これまで浮動小数点アルゴリズムを固定小数点上で動作させるためにはコーディングを抜本的にやり直す必要がありましたが、新製品『F282x』ファミリーでは、アルゴリズムの再コンパイルを数分で完了することができます。市場投入期間と製造コストを抑えることができるため、開発者はサーボ・コントローラ、ソーラー・インバータおよび風力タービンなど、エネルギー効率の良い低価格の産業用アプリケーションを設計できます。

高性能組み込み制御用に、固定小数点と浮動小数点の完全互換性を確保
新製品の固定小数点『F282x』は、TIが『TMS320F283x』浮動小数点DSCで培った実績をベースに、これまでのTIの代表的なDSCと比べて、性能が2倍に向上し、かつ開発期間は半分に短縮されました。『F282x』は150MHz(メガヘルツ)で動作し、現行の『F283x』と100パーセントのコード互換性を確保しており、かつ『F283x』と同じ開発ツールでのプログラミングが可能です。また、『F282x』は『F283x』とピン互換性も確保しています。これにより初めて、開発者は浮動小数点を用いて、より高精度のプログラミングを迅速に行い、そのソースコードを固定小数点デバイスで使用できるよう再コンパイルできます。従って、ハードウェアの再設計が不要となり、開発上のコスト効率が改善されました。

浮動小数点コントローラ並みの処理性能の高さを必要としないアプリケーションに対しては、『F283x』を用いてプロトタイピングとデバッグを行った後、『F282x』上に展開して量産することができます。これによってメーカーは、固定小数点コントローラならではのコストメリットを享受できます。固定 - 浮動小数点デバイスを併用することにより開発時間を大幅に短縮するだけでなく、ソフトウェアとハードウェアで同じ技術を使うことによって、メーカーは性能重視、価格重視の2つの市場を同時にターゲットにすることができます。

TIのC2000ワールドワイド・マーケティング・マネージャであるアンドリュー・スークップ(Andrew Soukup)は次のように述べています。「完全互換性を確保したDSCファミリーの中で、固定小数点の製品群と浮動小数点の製品群の間で双方の動作を実現することで、TIは組み込み制御分野のお客様に向けて、より高い処理性能に、より良い使い勝手、よりお求めやすい価格の全てをご提供します。あらゆる市場においてエネルギー効率の重要性が増してきていますが、浮動小数点の使いやすさと固定小数点のコスト効率の良さは、制御システム開発者にとって、省電力型の製品をより多く設計できるという利点があります」

最新の組み込み制御システムで、迅速かつ地球に優しい開発を実現
『F282x』は、最新の各種組込み制御アプリケーションを開発に向けて、高性能、優れた開発のしやすさ、価格優位性といった各種メリットをもたらします。たとえば、可変速度のACドライブとサーボ・コントローラといったアプリケーションでは、極めて高精度で応答性の高い各種制御アルゴリズムの実行に必要な高い処理性能を発揮します。また産業用ツール、ロボット工学関連、コンピュータ数値制御(CNC)システムなどのアプリケーションにおいては、より小型かつ安価のモータで高精度の動作を得られ、消費電力を抑えつつ、より安定した高い出力を実現します。さらに代替エネルギーシステム向けの電源インバータでも、風速が落ちたときや曇天時などに、最大電力追尾(MPPT)アルゴリズムとダイナミックアルゴリズム調整を通じてピーク効率に到達できるという利点があります。さらにデータ・ロギング、電力線通信(PLC)、インバータ同期化、ユーティリティ・グリッドなどの強化も可能です。

上記のようなアプリケーションの開発では、通常、浮動小数点を使ったコード生成で開発期間とコストを抑えています。新製品『F282x』を導入することで、固定小数点コントローラ上で同一のソフトウェアを使った再コンパイルが可能です。固定小数点の数値表現を使った再コードやデバッグなどの退屈な作業を省略し、固定および浮動小数点コントローラ両方の開発を、1種類のソースコードで一貫してサポートできます。『F282x』向けのコード記述は、『F283x』向けに開発された使い勝手の良い同じフローを引き継いでいます。ただし、シングル・コンパイラ・コマンドの再設定によって、数値機能を持つTIのIQ Math™ ライブラリからソースコードを固定小数点への実装に適切なオペレーションにリンクさせます。『F282x』および『F283x』の全製品は、TIの既存の『TMS320C28x』ファミリーと完全なコード互換性を確保しているため、メーカーはこれまでの高性能コントローラ・ファミリを簡単にアップグレードすることが可能です。

システムレベルの高集積と、行き届いた開発サポート
『F282x』固定小数点DSCの開発は、既に提供中の『F283x』浮動小数点DSCと同じツールを利用いただけます。さらに開発を容易にするために、TIでは『F28335 eZdsp™』スタータ・キット(『F28335』ターゲットボードやTIの『Code Composer Studio™』統合開発環境を含む)を提供しています。また、TIのサード・パーティーからは、制御アルゴリズム、各種ツールやソフトウェア・モジュールなど幅広いサポートが提供されています。

供給について
新製品『TMS320F28235』はサンプル出荷を開始しています。全てのF282x固定小数点およびF283x浮動小数点DSCの量産出荷は2008年第2四半期を予定しています。

『TMS320F2823x』固定小数点コントローラ 主な製品スペック

型番(TMS320以下)* MHz Flash KB RAM KB PWM (HRPWM) CAP/QEP SCI
F28235 150 512 68 12 (6) 6/2 3
F28234 150 256 68 12 (6) 6/2 3
F28232 100 128 52 12 (4) 4/2 2

*上から順に、それぞれ浮動小数点コントローラ(F28335, F28334 および F28332)に対応


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