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日本TI、高品位映像のリアルタイム圧縮・伸張およびトランスコード処理にシングルチップで対応するDaVinciプロセッサ新製品を発表

2007年12月04日

HDビデオおよびマルチチャネル・アプリケーション機器向けに高い処理能力と柔軟性を提供、システム・コストの削減を強力にサポート

HDビデオおよびマルチチャネル・アプリケーション機器向けに 高い処理能力と柔軟性を提供、システム・コストの削減を強力にサポート

SCJPR-07-104 2007年12月4日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、複数のHD(高品位)映像のリアルタイム・トランスコード(同時圧縮・伸張)を実現する、DaVinci™(読み:ダヴィンチ)テクノロジー搭載のデジタル・メディア・プロセッサ新製品、『TMS320DM6467』(以下『DM6467』)を発表しました。主なアプリケーションは、インフォメーション・ディスプレイやIPセット・トップ・ボックス、多地点型ビデオ会議システム、メディア・ゲートウェイ注1、監視用ビデオ・レコーダなどです。HD(高品位)映像のエンコード(圧縮)、デコード(伸張)およびトランスコード(異なるビデオ・フォーマット間の変換処理。例:MPEG-2の映像データをH.264に変換)処理には、これまで専用ICが使われてきましたが、そのほとんどが特定の画像フォーマットの圧縮・伸張処理や、特定の二規格間でのトランスコード処理のみに対応していました。これに対し新製品『DM6467』は、様々な画像フォーマットのエンコード、デコード、任意の規格間でのトランスコード処理を実現します。新製品を採用することで、HDコンテンツ録画・再生機器の選択肢が大きく広がります。

『TMS320DM6467』 DaVinciプロセッサは、DSPベースのシステム・オン・チップ(SoC)として、マルチフォーマットのHD映像をリアルタイムにトランスコードできるように最適化されています。チップ上にはARM926EJ-Sコア、600MHzの C64x+™ DSPコア、HD画像処理用コプロセッサ、ビデオ・データ・コンバージョン・エンジン、各種ビデオ・ポート・インターフェイスを高集積しており、従来の TIプロセッサと比較して10倍以上の高い性能で、マルチフォーマットHDのエンコード、デコード、トランスコードなどの各種処理を実現できます。処理内容によって、H.264 HP@L4(1080p 30fps、1080i 60fps、720p 60fps)まで対応しています。 本件に関する詳細は、http://www.tij.co.jp/dm6467 をご参照ください。

IDCのシニア・リサーチ・アナリスト、IdaRose Sylvester氏は次のように述べています。「外出先からも動画をさまざまな機器やフォーマットで見たいというニーズが高まっており、大量のデータを必要とするHDビデオ映像を異なるメディアに保存したり、対応フォーマットの異なる再生機器で利用したりできるように、機器側でさまざまな圧縮フォーマットのトランスコードを行う必要が出てきました。HD映像にこのような処理をするためには、一般的なシステムでは性能やメモリ量が不足している上、マルチフォーマットのトランスコードでは、コーデックのアルゴリズムに対して画質劣化を防止するための新たな要件が求められます」

リアルタイム、マルチフォーマットのHDトランスコードに最適化
『DM6467』は、業務用・家庭用など異なる市場におけるHDトランスコードに対応できるように、従来のTIデジタル・メディア・プロセッサに比べ10 倍以上の性能を発揮するマルチコア設計となっています。『DM6467』プロセッサには、ARMコアとDSPコア、さらにHD-VICP(HDビデオ/イメージング・コプロセッサ)、ビデオ・データ・コンバージョン・エンジン、各種ビデオ・ポート・インターフェイスが集積されています。チップ上のHD- VICPは、HD 1080i H.264 High Profileトランスコード向けのアクセラレータとして、3GHz以上のDSP処理能力を発揮します。ダウンスケーリング(画面サイズを縮小する変換処理)、クロマ・サンプリング(色差情報の変換)、メニュー・オーバーレイ(ビデオ・プレーンへのビットマップの上書き機能)などの各種ビデオ処理機能は、ビデオ・データ・コンバージョン・エンジン側で管理します。マルチフォーマットのビデオ・トランスコード処理を行う場合でも、処理に要するDSPコアの負荷を300MHz以下に抑えられるため、DSPコアの処理能力をその他の処理に使用できます。

『DM6467』の主なターゲットは、トランスコード機能が要求されるメディア・ゲートウェイや多地点型ビデオ会議システムなどですが、『DM6467』は柔軟性と高いパフォーマンスを提供するため、HDビデオ映像のエンコードとデコードを同時に行わなければならないビデオ・テレフォニーや、標準解像度を保持しながら複数チャネルのエンコード処理が重要となるビデオ・セキュリティなどのアプリケーションにも適しています。 なお『DM6467』には、業界標準のPCIバスやギガビット・イーサネットをはじめ、さまざまな周辺機器に対応したインターフェイスも集積されています。

集積度が高くHD映像のトランスコードに最適化されている『DM6467』は、処理性能が高い上に、従来のシステム・コストを10分の1以下に抑えられています。しかも、多地点型ビデオ会議システムやビデオ・セキュリティなどのアプリケーションで複数のビデオ・フォーマットを扱える柔軟性を兼ね備えています。多地点型ビデオ会議システムを例にとると、HDビデオ映像の処理にTIの『TMS320C6415T』 DSP( 1GHz )を使用した場合であれば、HDビデオ・チャネルあたり3個の搭載が必要で、チャネルあたりのコストは507ドルにも上ります。同様のシステムに『DM6467』を採用すると、シングルチップのHDソリューションが可能で、チャネルあたりのコストも35.95ドルまで抑えられます。しかもビデオ・トランスコードは『DM6467』が処理するため、システム側で必要となる電源やDDR2メモリ、フラッシュ・メモリなどの搭載量も少なくてすみ、 FPGAも小型化することができ、システム全体のBOM(部品コスト)はさらに低下します。

ビデオ・セキュリティ機器でも同様のBOMの削減効果が期待できます。また、HDとSDの両規格に対応するハイブリッド・デジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)やデジタル・ビデオ監視(DVS)システムにおいて、マルチチャネルのエンコード(MPEG4/H.264 MPD1対応で最大5チャネル、セカンダリのMPEG4/H.264 MP CIF対応で4チャネル)またはデコード(MPEG4/H.264 MP D1対応で最大6チャネル)を実現できる柔軟性も兼ね備えています。また『DM6465』に搭載されているC64x+ DSPは、ビデオ解析やメーカ固有のビデオ処理アルゴリズムにも対応します。同じく搭載のARM9は、10/100/1000 EMACとATAインターフェイスを備えており、ホストプロセッサを外付けする必要がないため、シングルチップでDVR/DVSシステムを構築できます。

ハードウェア、ソフトウェア、ツールまで、すべてがそろったソリューション
『DM6467』プロセッサでは、ハードウェアからソフトウェア、開発ツールに至るまで、豊富な実績を誇るTIのDaVinciテクノロジーを採用した開発環境を十分に活用できます。また、『DM6467』用のデジタル・ビデオ評価モジュール(DVEVM)も用意されており、MontaVista Linux、各種API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)、TIの提供するコーデック・エンジンを含む各種フレームワーク、各種マルチメディア・コーデックを使った評価を行うことができます。標準的なビデオ、イメージング、音声、オーディオのコーデックだけでなく、MPEG-2から H.264への変換を行う新しいトランスコーダも準備予定です。DaVinciテクノロジーの採用により、デジタル・ビデオ・アプリケーションの実装が大幅に簡素化されるのに加えて、TIのDSPサードパーティ・ネットワークからも、アプリケーション別のソフトウェアや設計ノウハウなどが提供されます。

価格と供給について
新製品『TMS320DM6467』は、現在サンプル出荷中です。量産出荷は2008年第2四半期です。50,000個受注時の単価(参考価格)は 35.95ドルです。デジタル・ビデオ評価モジュール(DVEVM)は2008年第1四半期中に、日本TIおよび日本TIの販売特約店から供給を開始します。その他DaVinciテクノロジーの詳細については日本TIのホームページ( http://www.tij.co.jp/davinci )をご参照ください。

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注1:メディア・ゲートウェイ オンデマンド配信のコンテンツとPCやTV、ステレオをつなぐデジタル家電機器。
※ DaVinciテクノロジーはTexas Instruments社の商標です。すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します