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日本TI、数kW出力の高電力電源システム向けに次世代のパワー・マネジメントIC製品を発表

2007年11月27日

デザインの簡素化ならびにエネルギー性能およびシステムの信頼性を向上する2フェーズ、インターリーブ動作のワンチップ力率コントローラ

デザインの簡素化ならびにエネルギー性能およびシステムの信頼性を向上する 2フェーズ、インターリーブ動作のワンチップ力率コントローラ

SCJPR-07-102 2007年11月27日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、通信、サーバ、工業用の数kW(キロワット)出力の高電力電源システム向けに、業界初のインターリーブ動作のワンチップPFC(力率補正)コントローラIC(集積回路)、『UCC28070』を発表しました。この製品は2フェーズの平均電流モードのコントローラであり、電源デザインの簡素化、システムの信頼性の向上、それにエネルギー効率の改善に役立つ0.9 を超える力率を実現します。 本件の詳細に関しては http://www.tij.co.jp/UCC28070 から参照できます。

TIのフェローでパワー・マネジメント・スタッフ・テクノロジストのボブ・マナーノ(Bob Mannano)は次のように述べています。「私たちのあらゆる生活分野、特にビジネスの運用レベルにおいて、より優れたエネルギー・マネジメントへのニーズが高まっていることは明らかです。データ・センターや通信など大電力を必要とするシステムへの需要によって、業界全体にわたり、無駄なエネルギーの低減や電源品質の向上に向けた努力が継続的に促進されてきました。今回発表された新製品によって、電源の技術者は、より高効率の電源制御に向け、さらに性能レベルを向上する革新的なソリューションを使用できるようになります」

TIの20年を超えるPFC回路の研究・開発を元に構築された『UCC28070』は、ハイエンドの通信システムから、冷蔵庫やエアコンなど大型家電製品に組込みのモータ駆動回路、さらにHID(高輝度放電ランプ)の安定回路など、比較的大電力のPFCシステムをターゲットとしています。

また、『UCC28070』は連続導通モードを使用しており、高い効率および力率への要求条件が必要なアプリケーションにおいて他に例のない性能を提供します。この他に例のない性能とは、既存のデバイスよりも改善された乗算器を実装している、アンプなどの精度の向上、高速レスポンス、他の機能の追加などを意味しています。 さらに最近では、既存のPFCよりも、インターリーブPFC方式がシステムコストの低減に寄与することは、多くのシステムにおいて実証されております。

『UCC28070』は75W(ワット)から1kW(キロワット)超える電力レベルの商用電源動作システム内での高調波低減に役立つということから、現行のシステムにおいてコンセントから使用できる電力を最高化することが可能であり、全世界で使用されているさまざまな商用交流電源に発生する大きな電圧変動や障害にも適応する製品を実現できます。

厳しい効率の要件を満足する『UCC28070』
『UCC28070』は数kWの高電力の電源システムにおいて、最も厳しい効率の要件を満たすために役立ちます。『UCC28070』PFCコントローラは軽負荷時にフェーズ・マネジメントを行うことで全負荷範囲でより高い効率を実現し、システム性能をさらに拡張できます。フェーズ・マネジメント機能によって電源が備える複数のフェーズをシステムがonまたはoffに制御できることから、負荷に必要なフェーズのみをonにして電源を供給できます。
1.2kWのシステムでは、『UCC28070』は全負荷の20%の軽負荷状態において効率を最高1.5%向上でき、The Green Grid (注1)、Climate Savers Computing Initiative (注2)、Project Big Green (注3)をはじめ、データ・センターやPCなどの消費電力の低減を目的とする各エネルギーに関するガイドラインを上回る性能を実現できます。また、例えば240Wの電源において全負荷の20%の軽負荷状態では、この効率の向上によって27%もの節電を達成できます。
*注1 The Green Grid: AMD、APC、Dell、HP、IBM、Intel、Microsoft、Rackable Systems、SprayCool、Sun Microsystems、VMwareなどの大手メーカー各社が参加する、データ・センターの消費電力低減を目的とした非営利組織。
*注2 Climate Savers Computing Initiative: 米国のIntelとGoogleが設立した、PCの消費電力を半減し温室効果ガスを削減することを目的としたイニシアチブ。
*注3 Project Big Green: 2010年までにデータ・センターの電力効率を二倍に向上することを目指す、米国IBMのプロジェクト。

システムに高い信頼性と保護機能を提供
『UCC28070』は独自の180度インターリーブ方式を使用し、入力電流および出力電流のリップル量の低減ならびに、磁性部品の分散によって、より良好な熱設計を実現できることから、システムの信頼性の向上に役立ちます。平均電流モードのインターリーブ動作によって、現行の代表的な非インターリーブ動作PFCアーキテクチャと比較して、システム全体のリップル量を50%~100%も低減できます。
オプションのプログラマブルの周波数ディザリング・モードを使用することで、『UCC28070』のスイッチング周波数を一定の範囲内に分散でき、EMI (電磁輻射妨害)の発生を小さくできます。このディザリング機能によってコンデンサを小型化できるとともに、より小型で安価なEMIフィルタを使用できます。
『UCC28070』は数種類の独自のシステム制御および保護機能を提供することで、システム全体の信頼性を向上します。『UCC28070』のオープン・ループ検出機能付きの出力過電圧保護方式はシステムの共通の回路基板を故障から保護します。独立した電流検出回路により、各フェーズの電流を正確にバランスできることから、2フェーズ動作時に出力電流の偏りによる構成部品の過熱を防ぎます。さらに『UCC28070』は電圧低下ロックアウト、サイクルごとのピーク電流制限、システムの過熱保護などの機能も内蔵しています。

コンシューマおよび高電力アプリケーション向けの2フェーズ、ワンチップPFCコントローラ
TIではデジタルTV、パーソナル・コンピュータ、それにエントリ・レベルのサーバ・プラットフォームをはじめとするコンシューマ・アプリケーションなど、75W~800Wの各種アプリケーション向けの臨界モード、ワンチップ2フェーズPFCコントローラである『UCC28060』を2007年6月に発表しました。『UCC28060』と『UCC28070』は、PFCを実装する電源システムにおいて、最良のデザイン選択肢を提供しています。
『UCC28060』の詳細に関しては http://www.tij.co.jp/UCC28060 から参照できます。

『UCC28070』の特性表

項目 UCC28070
UVLO のスレッシュホールド電圧(代表値) 10.2 V
動作電源電圧範囲 11.2 V ~ 21 V
スタートアップ電流(代表値) 7 mA
動作電源電流(代表値) 8 mA
基準電圧 Vref(代表値) 6.0 V
基準電圧の誤差 ±0.1V以内
デューティサイクル(最大値) 95 %
スイッチング周波数(最大値) 0.33 MHz
ピン/パッケージ 20TSSOP

価格と供給について
現在、『UCC28070』はサンプル出荷中で、量産出荷は2008年1月に予定されています。パッケージは20ピンTSSOPで、100個受注時の単価(参考価格)は2.45ドルです。評価モジュール、PFCアプリケーション・ノートおよびデータシートに関しては http://power.ti.com (英文)から参照できます。

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