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TI、より高い性能と安全性を持つ製品で政府発行の電子ID文書市場への参入を発表

2007年10月12日

より高速なデータの書き込みおよび、使用時の読み取り性能によって次世代の安全な電子パスポートおよび電子ID文書を実現へ

より高速なデータの書き込みおよび、使用時の読み取り性能によって 次世代の安全な電子パスポートおよび電子ID文書を実現へ

SCJPR-07-087 2007年10月12日

テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は本日、電子パスポートや身分証明書に代表される、安全性に優れた認証・識別用電子文書に対する高度の需要に対応すべく、政府発行型次世代電子ID(識別)文書向けソリューションを発表しました。これにより、非接触型の省電力マイクロコントローラ・テクノロジーおよび最先端技術を採用した組み込みメモリによって、より高速で、高性能、高い生産性をもつソリューションを利用者に提供することが可能となります。本件の詳細に関してはhttp://www.ti.com/govid (英文)から参照できます。

TIの非接触型スマートIC(知的機能を備えた集積回路)のプラットフォームは、政府が発行する電子ID文書の生産、各個人への発行、それに発行後の処理を高速かつ正確にすることで、現行の政府発行ID文書向けチップ・テクノロジーよりも大幅に高い性能向上を提供します。このプラットフォームは進歩したメモリ・テクノロジーによって強化され、高速の書き込みおよび読み出し動作、より大きなメモリ容量および処理性能を備えており、電子ID文書に必要とされる安全性ならびに将来に渡るデータ容量の要件を満足します。

TIのバイス・プレジデントのジュリー・イングランド(Julie England)は次のように述べています。「政府発行の電子ID文書製品分野では、安全性およびメモリ容量への要求が常に増大しています。また利用者の円滑な使用のため、高速読み取りを実現するRF性能も要求されます。これまでTIは、高度な最適化とローパワーを特別な非接触RF機能に結合したソリューションに注力してまいりました。TIは、これらの強みを電子ID市場のお客様に供給してまいります」

政府発行電子ID市場の状況
組み込みスマート・チップの使用によって、従来の民間向け電子ID文書が高度なセキュリティ・レベルへ移行したことで、政府発行の電子ID市場にも大きなはずみがついています。この展開において、なくてはならない重要な構成要素が非接触テクノロジーです。調査会社ABI リサーチは2007年9月に「非接触型の政府発行ID文書」(”Contactless Government Identification Documents”)と題する報告書を発表しました。この中で、同社は非接触型の電子パスポート向けトランスポンダの市場規模が2012年には1億9千万ドル近くに達するとともに、非接触型の電子ID文書の市場全体の規模は2012年には10億ドル近くまで達すると予測しています。現在、ヨーロッパおよびアジアの数カ国において国家発行の電子IDカード(身分証明書)の策定プログラムが進行中であり、非接触対応の電子IDカード市場は2012年にはおよそ7億5 千万ドル規模まで成長すると予測されています。

電子ID文書の発行、書き込みと読み取りをスピードアップ
現行の政府発行電子ID文書向けスマートIC製品のほとんどは、旧来のテクノロジーで実現されており、第一世代の政府発行電子IDアプリケーションによる安全な電子ID方式へのすみやかな切り替えが必要とされています。

しかし米国を含む数カ国では、電子ID文書の作成および処理をより迅速に行う必要があることから、既に、大幅に高速な書き込み速度が求められています。米国国務省によれば、米国における電子パスポートの発行は2006年の1,210万件から急速に伸び、2007年末には1,700万件となると予測されています。このような大規模な需要から、製造および発行後の処理における正確さと高い効率が強く求められています。そのほか市場では、次世代製品への高度な要件として、生体認証の追加をはじめとする将来のセキュリティ要件をサポートするため、メモリ容量の拡張も求められています。

これらの新しい要件によって現行製品の機能拡張が強いられ、新しいテクノロジーへの需要が促進されます。TIの新型スマートICプラットフォームはこれらの新しい要件に十分に適合、またはそれらを上回る性能を提供するよう設計されています。

政府発行電子ID文書に対応するデザイン
ジュリー・イングランドは次のように述べています。「特に効率的な発行、ならびにより強力な読み取り性能を要求する政府発行電子ID市場の要件に対応して、TIは数々の革新的なテクノロジーを組み合わせることで、高速でスケーラブルなスマートICのポートフォリオを開発してまいりました。TIはモバイル・アプリケーション分野におけるテクノロジー・リーダーとして、将来の要件に対応するためには電力効率とスケーラビリティが重要であることを理解しています。そして同時に速度と性能の標準も、さらに向上してまいります」

TIの次世代の政府発行電子ID文書向け非接触スマート・プラットフォームはFRAM*と呼ばれる進歩した組み込みメモリ・テクノロジーを搭載します。このテクノロジーは将来のスマートで安全な電子パスポートおよび政府発行の各種電子ID文書において、速度および信頼性を大幅に向上します。

注* FRAM: Ferroelectric Random Access Memory、強誘電体を使用したランダム・アクセス・メモリ。データを保持するためのキャパシタとして強誘電体膜を使用する不揮発性メモリで、アクセスが高速、書き換え可能回数が多い、不揮発性、低消費電力などの特長から、電子IDやスマートカードなどのアプリケーションに最適なメモリ・デバイス。

TIの進歩した組み込みFRAMメモリは、2001年に設立された不揮発性FRAM分野首位の供給メーカであるラムトロン・インターナショナル(Ramtron International Corporation)とのテクノロジー共同開発およびライセンス契約に基づいています。FRAMテクノロジーは、現行の政府発行電子IDに使用されているEEPROM(電気的に消去可能なリード・オンリー・メモリ)およびフラッシュ・メモリなどの不揮発メモリ・テクノロジーと比較して大幅に高い性能の向上を提供し、アクセス速度、消費電力、書き込みデータの信頼性などの面で大きな利点を提供します。TIの政府発行電子ID文書向けソリューションは、これらのID文書の使用環境において要求される過酷な要件を満足するために役立ちます。

TIでは「スマートIC向け組み込みFRAMの利点」(”The Benefits of Embedded FRAM for Smart ICs”)と題するホワイトペーパーを用意しています。この資料に関しては、http://www.ti.com/govidwp (英文) から参照できます。