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日本TI、1.8V動作でポータブル機器のオーディオ出力と音質を向上させるClass-Dオーディオ・パワー・アンプを発表

2007年09月27日

小型、広い電源電圧範囲、ブースト・コンバータ内蔵などの特長によりポータブル機器の設計を簡素化する新型オーディオ・パワー・アンプ

小型、広い電源電圧範囲、ブースト・コンバータ内蔵などの特長により ポータブル機器の設計を簡素化する新型オーディオ・パワー・アンプ

SCJPR-07-079 2007年9月27日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、ブースト・コンバータ内蔵でモノリシック構成、フィルタレスのClass-Dオーディオ・パワー・アンプである『TPA2013D1』を発表しました。この製品はポータブル・ナビゲーション機器、PDA、携帯電話、ポータブル・メディア・プレーヤ、ポータブル・ゲーム機器をはじめとするポータブル・アプリケーション向けに、バッテリ電圧の低下に対して音割れを防ぎ、出力を一定に保つClass-Dオーディオ・パワー・アンプ機能を提供します。『TPA2013D1』はClass-Dアンプとブースト・コンバータを一体化することで、85%と高いトータル電力効率を実現し、低いバッテリ電圧で優れた音質と最大2.7Wと高い出力電力を提供します。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/tpa2013d1(日本語)から参照できます。

『TPA2013D1』は内蔵のブースト・コンバータの電流供給能力が高いため、他のICにブースト電源を供給したり、TIの『TPA2032D1』等に電源を供給してステレオ構成にすることが可能です。『TPA2013D1』は1.8V(ボルト)~5.5Vと広い電源電圧範囲で動作することから、電源の設計を簡素化でき、リチウム・イオン電池や乾電池2本の電源へ直接接続も可能です。『TPA2013D1』は三段階のゲイン設定が可能であるとともに、リチウム・イオン電池の電圧範囲である2.3V~4.8Vにおいて、レベル調整可能な1.5W(最大値)の一定の出力電力を提供するほか、4Ω(オーム)負荷に対して2.7Wの最大出力電力を、また8Ω負荷に対して2.2Wの電力を出力できます。この能力によって、オーディオ出力電力はバッテリ電圧の変動の影響を受けにくくできることから、バッテリ電圧が低下しても高いオーディオ品質および音量を保持できます。

革新的な設計の『TPA2013D1』は外付け部品が少なく、アンプ、ブースト・コンバータおよび外付け部品を含むソリューション全体の基板実装面積を 6.5mm(ミリメートル)×6.5mmに収めることができ、従来のソリューションと比較して50%を超える小型化を達成しました。このような特長によりシステム全体のコストを低減すると同時に、よりスマートで差別化した製品を実現できます。

TIのハイパフォーマンス・アナログ事業部、オーディオ・アンド・イメージング製品担当マネージャ、ギャリー・レイクマス(Gary Reichmuth)は次のように述べています。「コンシューマは携帯電話などのポータブル機器において、より小型かつ高い電力効率を求めています。これらの機器のバッテリ電圧は今後さらに低下し、来年には2.3Vに、2009年および2010年にはさらに低い電圧になります。最終機器のメーカー各社は TIのシステムに関する専門知識を活用した『TPA2013D1』などの高性能製品を搭載することで、性能および機能を向上させながら、このようなコンシューマからの厳しい要求を満たす製品を実現できます」

『TPA2013D1』が提供する数々の特長はシステムのオーディオ品質の向上に役立ちます。例えば、すべての内部回路は同一のリファレンス・クロックで動作していることから、個別のアンプおよびブースト・コンバータを組み合わせて回路を構成する場合に発生する可聴域のビート雑音を防ぐことが可能です。このクロックの同期の回路構成と、217Hz(ヘルツ)において95dB(デシベル)と非常に高いPSRR(電源リップル除去比)によって、システムの雑音をさらに低減し、GSM通信方式の携帯電話においてRF(高周波)アンプの影響でしばしば発生するブーンという可聴ノイズも防止できます。

『TPA2013D1』は短絡保護回路および自動復帰可能な過熱保護回路も内蔵しています。これらの保護機能によって高い信頼性および堅牢性を備えた動作を確実に実現できます。さらに『TPA2013D1』はEMI(電磁干渉妨害)の低減に最適化された回路設計およびピン配置であることから、輻射による各種電波の受信感度の低下を防ぎ、輻射レベルの規制をクリアするための基板設計が簡単になります。 。

『TPA2013D1』は『TLV320AIC3106』をはじめとするポータブル機器向けオーディオ・コンバータ、『TLV320DAC32』DAコンバータ、『Aureus™』オーディオDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)プラットフォームなどで構成されるTIの包括的なオーディオ向け製品ポートフォリオとの動作に最適化されています。TIはお客様のオーディオ・シグナル・チェーン全体に向けたシリコン・チップ、ソフトウェア、システムに関する専門知識およびサポートを供給し、製品の市場投入時間を短縮します。TIの包括的なオーディオ製品の詳細、ならびに最新のAudio Solutions Guideに関してはhttp://www.ti.com/audio(英文)から参照できます。

『TPA2013D1』の特性表

項目 TPA2013D1
スピーカ・チャネル数 1ch(モノラル)
ヘッドフォン・チャネル なし
最大出力電力(4Ω負荷時) 2.7 W
負荷 (最小値) 4 Ω
電源電圧範囲 (V) 1.8 V ~ 5.5 V
THD + N (1 kHz、1W出力時) 0.1 %
静止電流 (代表値) 16.5 mA
シャットダウン時電流(代表値) 0.04 μA
PSRR(代表値) 95 dB
動作温度範囲 -40 ℃ ~ +85 ℃
パッケージ/ピン WCSP-16, QFN-20

価格と供給について
『TPA2013D1』Class-Dオーディオ・パワー・アンプは現在量産出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。パッケージは2.3 mm角の16ボール WCSPまたは4 mm角の20ピンQFNです。1,000個受注時の単価(参考価格)はWCSPパッケージが1.55ドル、QFNパッケージが1.45ドルです。また評価モジュールに関してはTIのウェブサイトから参照できます。TIの包括的なアナログ・デザイン・サポート、最新のAmplifier and Data Converter Selection Guideのダウンロードに関してはhttp://www.ti.com/analogelab から参照できます。

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