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日本TI、スマートフォンその他のハンドヘルド機器においてバッテリ残量を正確に予測するバッテリ残量管理ICを発表

2007年09月26日

1セルのLi-Ionバッテリを使用するアプリケーションにおいて、システム本体側に実装し、高精度かつ長時間の動作を実現する「Impedance Track」テクノロジー搭載のバッテリ残量管理IC

1セルのLi-Ionバッテリを使用するアプリケーションにおいて、 システム本体側に実装し、高精度かつ長時間の動作を実現する 「Impedance Track™」テクノロジー搭載のバッテリ残量管理IC

SCJPR-07-078 2007年9月26日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、「Impedance Track™」テクノロジーを搭載し、スマートフォンその他のハンドヘルド機器においてシステム本体側に実装してバッテリ残量の正確な計測機能を提供する新型バッテリ残量管理IC(集積回路)、『bq27500』を発表しました。この製品は2.5mm(ミリメートル)×4mmと小型のバッテリ残量管理IC であり、バッテリ残量を99%の高精度で予測し、モバイル向けハンドヘルド機器の動作時間を延長するとともにデータを保護し、エンドユーザに対しても便利な機能を提供します。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/bq27500(日本語)から参照できます。

TIのハイボリューム・アナログおよびロジック・ビジネス担当でシニア・バイスプレジデントのデーブ・ヒーコック(Dave Heacock)は次のように述べています。「高品位ビデオやデータ伝送機能をはじめ、モバイル機器に搭載される機能が豊富になるにつれて、エンドユーザは、これらの機器をノートブックPCのように使用し、バッテリ残量に関する情報を求めるようになりました。今回発表された『bq27500』は数百万台ものノートブックPCに搭載された実績を持つTIのバッテリ・ガスゲージ・テクノロジーを元に設計されました。この『bq27500』によって、ポータブル機器分野のメーカー各社が求めてきたモバイル機器内への、このテクノロジーの搭載が実現する運びとなりました」

今回発表された『bq27500』はシステム側に実装されるバッテリ残量管理IC であり、TIが特許を所有する「Impedance Track™」テクノロジーを搭載し、ポータブル機器に使用される1セルのLi-Ion(リチウム・イオン)バッテリからのデータを正確に計測し、あらゆる条件におけるバッテリ残量のほか、バッテリの動作時間も予測できます。この小型ICはバッテリの端子電圧とセルのインピーダンス(または抵抗成分)を相関させることで充電量を高精度に解析します。また、これらの情報と電流の積分値を用いて予測した放電曲線と残りの充電量との間の誤差を学習し較正を行います。

現行のほとんどのハンドヘルド機器はバッテリ残量を正確に計測する手段を搭載しておらず、セルの端子電圧の測定結果から残量を単純に予想しています。数種類のハンドヘルド機器に使用されている従来からの測定方式には、放電レート、温度、セルの寿命などを補償する目的のために静的で信頼性の低いモデリング方式が必要であるとともに、自己放電その他の測定不可能な電流のモデリングも必要です。これらのモデルはそれぞれ固有の誤差を含んでおり、これらの誤差は時間経過と共に増加することから、バッテリが劣化するにつれて、ハンドヘルド機器がどの程度動作可能であるか、エンドユーザが正確に予測することは不可能です。

バッテリ残量を正確に予測する『bq27500』
『bq27500』はバッテリの放電レート、温度、劣化その他の影響を直接計測して、バッテリ残量を1%以内の誤差で正確に予測します。『bq27500』はバッテリのインピーダンス値をリアルタイムで計測し記憶することで、バッテリの劣化に伴う総容量の変化に自動的に追従します。充電量および総容量はバッテリの電圧およびインピーダンスの測定結果を用いて計算することから、全充放電サイクルを行って再計測を行う必要がありません。

知的機能による電力の最適化
ハンドヘルド・システムに要求される機能が増加するにつれて、利用可能な電力の制御、ユーザへのシステムの動作時間の警告、システムの動作時間を可能な限り延長するなどのため、正確なバッテリ残量計測への需要が高まっています。正確なバッテリ情報は、「SmartReflex™」パワーおよびパフォーマンス・テクノロジーを搭載したTIの『OMAP3410』プロセッサなどのアプリケーション・プロセッサで使用して、そのシステム全体のモバイル向けパワー・オペレーティング・システムを最適化するために使用します。例えば、システムはバッテリ残量の情報を活用してローパワー・モード、クロックのゲート機能、可変速クロック、動的な電圧調整、周波数のスケーリングなどの制御機能を実現できます。『bq27500』はバッテリの残りエネルギーについての正確な情報をシステムのホスト・コントローラにリポートします。この情報に基づいて、システムはバッテリの放電終了前にデータを不揮発メモリにセーブでき、バッテリが完全放電する前に作業結果を待避することができます。

システム側への実装
『bq27500』はホスト・システムの基板上に実装して、組み込み型および交換可能なバッテリをサポートできます。システム側への実装によって、ハンドヘルド機器のメーカー各社は最終機器においてバッテリ・パックへの電子回路の追加が不要となり、コストを低減できます。バッテリの小型化がさらに進んでいることから、バッテリへの電子回路の組み込みもさらに困難になっています。システム側への実装が可能な『bq27500』はバッテリ・パックの認証をはじめとするその他の主要なバッテリ機能の制御・管理もサポートします。

価格と供給について
『bq27500』は現在量産出荷中で、日本TIおよび販売特約店から供給されます。パッケージは実装面積の低減に役立つ2.5 mm×4 mmの12ピンSON(スモール・アウトライン・ノーリード)です。1,000個受注時の単価(参考価格)は1.35ドルです。また『bq27500』の評価モジュール、アプリケーション・ノート、ユーザ・ガイド、TIのソフトウェア・デザイン・ツールに関してはhttp://power.tij.co.jp(日本語)から参照できます。

TIの包括的なバッテリ・マネジメント製品ポートフォリオ
TIではバッテリ残量管理、バッテリ充電管理、バッテリ保護およびバッテリ認証などフルレンジのソリューションをはじめ、1セルまたは複数セルで動作するあらゆるバッテリ動作機器向けに高性能バッテリ・パワー・マネジメント製品を供給しています。複数セル向けバッテリ残量管理ICの『bq20z90』および『bq20z70』はノートブックPCおよびポータブルの工業用アプリケーション向けの製品です。また『bq27000』ファミリの電池残量管理ICは 1セルのバッテリ・パックをサポートします。TIの包括的なバッテリ・マネジメント製品の詳細に関しては http://www.ti.com/battman(英文)から参照できます。

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