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日本TI、リチウム・イオン電池充電時のシステム安全性を向上するパワー・マネジメント・テクノロジーを発表

2007年09月25日

入力過電圧、過電流、バッテリの過電圧状態への保護機能を追加したチャージャー・フロントエンドIC

入力過電圧、過電流、バッテリの過電圧状態への保護機能を追加した チャージャー・フロントエンドIC

SCJPR-07-076 2007年9月25日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、携帯電話その他のポータブル電子機器の充電時の保護機能を大幅に向上したバッテリ・チャージャー・フロントエンド用IC(集積回路)製品ファミリ、『bq24314』および『bq24316』を発表しました。これらの新製品は2mm(ミリメートル)角の小型パッケージで、充電中の電源電圧のスパイク波形、電源アダプタの故障や不適合などが原因で発生する入力の過電圧、過電流、ならびにバッテリの過電圧状態からシステムを保護する安全な充電回路を提供します。本件の詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/bq24314(日本語)から参照できます。

TIのバッテリ・チャージ・マネジメント・ビジネス責任者のマスード・ビヘスティ(Masoud Behesti)は次のように述べています。「ハンドヘルド機器の電源保護機能を追加したことで、偶発的な故障状態からエンドユーザを保護するとともに、顧客からの最終製品の返品数を低減できます。このチャージャー・フロントエンドICの堅牢な保護機能によって、ハンドヘルド機器の充電において最高の安全性を提供します」

今回発表された『bq24314』はTIの制御用FET内蔵のバッテリ・チャージャー・フロントエンド用ICファミリである『bq243xx』初の製品であり、障害によって充電回路が故障した場合にも、リチウム・バッテリへの特別な保護機能を提供します。『bq24314』は故障の状態を『DaVinci™』テクノロジーをベースとした『DM355』新型プロセッサや、『OMAP™3』製品ファミリのアプリケーション・プロセッサをはじめとするホスト・プロセッサにリポートできることから、これらのプロセッサはそれぞれの状態に対応する動作を実行できます。『DM355』新型プロセッサの詳細に関してはhttp://www.tij.co.jp/dm355pr(日本語)から参照できます。

入力過電圧状態への対応
入力の過電圧状態は、定常状態、通電状態のままの電源アダプタへの接続(ホット・プラグ)、安定化されていないアダプタや適合しないアダプタへの接続、負荷の過渡波形などに起因する過渡電圧によって発生します。これらの原因によって、高電圧(スパイク波形)が機器に加わり、ホスト・システムを損傷する可能性があります。『bq24314』は過電圧レベルを検出し、充電回路への入力を切り離し、機器を効果的に保護します。『bq24314』の入力過電圧保護閾値は5.85V(ボルト)です。また同時に発表された『bq24316』の入力過電圧保護閾値は6.80Vです。

入力過電流保護
入力過電流状態は、入力とシステムのバス電圧が直結され、バッテリ・チャージャー機能を内蔵した統合パワー・マネジメント素子において発生する可能性があります。しばしば、アダプタからシステムへ流れ込む過大な電流に対して保護対策がなされていない場合もあります。『bq24314』は入力電流を検知し内蔵の制御用MOSFETによって安定化することでプログラマブルの電流制限機能を提供し、システムへの過大電流の流れ込みを防止します。

バッテリの過電圧保護
単一セルのLi-Ion(リチウム・イオン)およびLi-Polymer(リチウム・イオン・ポリマー)バッテリは、その代表的なフロート電圧である 4.2Vを超える電圧まで過充電されると、発熱、発火などが発生する危険があります。このためポータブル機器の設計においては、バッテリの安全性および適合性を確保するため、主要な保護機能のほかに、予備的な安全手段も求められています。『bq24314』はバッテリ電圧の監視に役立つ二次レベルの保護機能を提供し、バッテリの過電圧を検出した場合、充電入力を切り離します。

bq24314』および『bq24316』の主な特長

  • 3種類の障害(入力過電圧、入力過電流、バッテリの過電圧)に対する保護を提供
  • 絶対最大入力電圧: 30V
  • 最高1.5A(アンペア)の入力電流をサポートする制御用パワーFETおよび電流センサを内蔵
  • 入力過電圧への応答時間: 1μs(マイクロ秒)未満
  • 入力過電圧保護電圧: 5.85V(『bq24314』)、6.80V(『bq24316』)
  • 電流過渡波形よって発生する誤ったトリガ信号に対して高い耐性を提供
  • ホスト・コントローラから障害の状態を読み取りできるステータス表示を提供
  • サーマルシャットダウン機能を内蔵

『bq24314』および『bq24316』の特性表

項目 BQ24314 BQ24316
絶対最大入力電圧 30 V 30 V
入力過電圧保護電圧 5.85 V 6.80 V
入力過電流保護電流 プログラマブル(最大1.5 A) プログラマブル(最大1.5 A)
バッテリ過電圧保護(最大値) 4.4 V 4.4 V
バッテリ過電圧保護(代表値) 4.35 V 4.35 V
オプション機能 故障ステータス表示 故障ステータス表示

価格と供給について
『bq24314』および『bq24316』は現在出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。パッケージは小型、2mm角の8ピンSON(スモール・アウトライン・ノーリード)です。1,000個受注時の単価(参考価格)は0.75ドルです。また『bq24314』および『bq24316』の評価モジュール、デザイン・アプリケーション・ノート、TIの使いやすいオンライン・パワー・マネジメント・セレクション・ツールはhttp://power.tij.co.jp(日本語)から参照できます。

TIではバッテリ・チャージャー・フロントエンド保護ICの新製品、『bq24300』を2007年第4四半期に発表する予定です。『bq24300』は Bluetooth対応ヘッドセットをはじめとするローパワー・アプリケーション向けの製品であり、300mA(ミリアンペア)に固定の入力過電流保護および10.5Vの入力過電圧保護を備えています。『bq24300』は過電圧保護までの入力電圧範囲で、最高5.5V出力のリニア・レギュレータとして動作します。また『bq24304』は最高4.5V出力のリニア・レギュレータとして動作します。また『bq24300』を使用することで、オプションの外付けPチャネルFETによって逆電圧を発生することで、アダプタの故障や不適合への保護を実現できます。

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