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日本TI、DaVinciプロセッサの新製品を発表

2007年09月05日

ポータブル・ビデオのHD化に弾み10ドルを切る低価格で提供、最適化された評価モジュールによりメーカの開発期間を数ヶ月単位で大幅に短縮

10ドルを切る低価格で提供、最適化された評価モジュールにより メーカの開発期間を数ヶ月単位で大幅に短縮

SCJPR-07-071 2007年9月5日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、デジタルAVコミュニケーション機器向け開発プラットフォームDaVinci™(ダヴィンチ)の新製品として、『TMS320DM355』(以下『DM355』)デジタル・ビデオ・プロセッサと専用開発ツールを発表しました。ARMホスト・コントローラを備えた新製品『TMS320DM355』デジタル・メディア・プロセッサは、10ドルを切る低価格でHD ビデオ処理性能を提供します。また、低消費電力処理により従来のHD製品のバッテリ寿命を大幅に延長します。本件に関する詳細は日本TIのホームページ( http://www.tij.co.jp/dm355pr )からご参照いただけます。 価格性能比に優れた本製品を採用することで、メーカ各社は、従来のテレビ受信機のみならず、小型家電、業務用システムなど広範囲にわたる製品に、HD映像の表示や加工機能を搭載できるようになります。主なアプリケーションは、小型デジタル家電(コンパクト・デジタル・カメラ、ベビーモニタ、ワンセグ対応テレビ)、セキュリティシステム(ネットワーク・カメラ、ドアフォン)、業務用機器(インフォーメーション・ディスプレイ、画像診断装置、ポータブル計測器)など多岐にわたります。

新製品の概要
新製品『DM355』は、HD映像処理に最適化された専用プロセッサで、動作速度別に216 MHz (メガヘルツ)版および270 MHz 版の2品種で展開します。チップ上にはビデオ・プロセッシング・サブシステム、MPEG4-JPEG コプロセッサ、ARM926EJ-Sコア、各種ペリフェラルを集積しています。MPEG4-JPEG コプロセッサは、DSP処理パフォーマンスに置き換えると約400MHzに相当する高い処理性能でHDビデオ処理を実現しており、ビデオ・プロセッシング・サブシステムはDSP処理パフォーマンスとしてはおよそ240MHz相当でそのタスクを処理しています。MPEG4-JPEG コプロセッサとビデオ・プロセッシング・サブシステムを組み合せると、最大で640MHzのDSP処理能力に相当する性能を持ち、加えて最終製品の差別化のために最大270MHzのARM処理能力を提供します。 また『DM355』は、価格性能比を特に追求した新製品です。高性能と豊富なペリフェラルを備えつつ価格を10ドル以下に抑えています。さらに本製品の顧客には、TIへのHD MPEG4 やJPEGコーデックのライセンスおよびロイヤルティが無償で提供されます。

MPEG4-JPEG コプロセッサ MPEG4 SPエンコード/デコード処理(720p、毎秒30フレーム)、JPEGエンコード/デコード処理(毎秒50メガピクセル)
ビデオ・プロセッシング・サブシステム プレビュー・エンジン、ヒストグラム、リサイザ、およびOSD等の機能をすべてハードウェア上に集積
ARM926EJ-Sコア 最大270MHzの処理性能
各種ペリフェラル USB2.0 HS OTG、10ビット DAコンバータ、ビデオエンコーダほか

バッテリ寿命の延長
『DM355』 を使ったシステムではこれまでのポータブルHD システムと比較して、最大でバッテリ寿命を2倍に延長できる見込み(TI調べ)です。アプリケーションにより数値は前後しますが、『DM355』のHD MPEG4エンコード処理中の消費電力は約400mW(ミリワット)、待機時消費電力はわずか1mWです。たとえば『DM355』を搭載したデジタルカメラで動画撮影をした場合、単3乾電池2個でHDビデオの録画が80分間できる計算になります。

開発ツールやIPも完備
新製品『DM355』には専用開発ツールとして『DM355』デジタル・ビデオ評価モジュール(DVEVM)が用意されています。DaVinci製品すべてが共通のアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)を使用していることや、DaVinciプラットフォームの各種ツール群、サポート体制、ソフトウェア・リソースを活用できる事で、開発者は製品開発を効率よく、短期間で行うことが出来ます。
DVEVMには以下が含まれています。

  • OS(MontaVista Linuxデモ・バージョン)
  • uboot loader
  • 各種ペリフェラル用ドライバ
  • 各種コーデック(JPEG、MPEG-4 SP、G.711)
  • ビデオ入出力、オーディオ入出力インターフェイス
  • 各種インターフェイス(外部EMAC、USB2.0等)
  • テスト用JTAG
  • ボード回路図

μITRON、Windows CEをはじめとする各種OS(オペレーティング・システム)やその他のシステム開発のニーズに対するサポートは、TIのサードパーティー各社から提供されます。サードパーティー一覧については日本TIのホームページ( http://www.tij.co.jp/3p )をご参照ください。

本日、『TMS320DM355』向け「eCROS」をリリースしたイーソル株式会社の取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山伸幸氏は次のコメントを寄せています。「『TMS320DM355』は、HD映像処理と消費電力性能に優れた、様々なアプリケーションに応用可能なプロセッサです。イーソルは、この『TMS320DM355』をサポートしたμITRONベースのソフトウェアプラットフォーム「eCROS」を本日リリースしました。μITRON仕様準拠リアルタイムOS、開発環境のほか、USBドライバ、ファイルシステムなどが含まれています。μITRONベースのプラットフォームを使うことで、少ないハードウェアリソースで高いリアルタイム性能をシステムに取り入れることができます。また、μITRONの豊富なソフト資産や開発ノウハウを活用し、効率的な開発ができます。イーソルは今後も、TI社との緊密な連携のもと、『TMS320DM355』ユーザのシステム開発を強力にサポートしていきます」

価格、供給およびパッケージについて
新製品『TMS320DM355』プロセッサは、日本TIおよび販売特約店からサンプル出荷中です。量産出荷は2008年第1四半期を予定しています。5 万個受注時の単価(参考価格)は、216MHz版製品が9.75ドル、270MHz製品が11.49ドルです。パッケージは13 x 13 mmの337ピン、0.65 mmピッチのBGAパッケージです。 『TMDXEVM355』デジタル・ビデオ評価モジュール(DVEVM)は参考価格73,290円で、2007年第4四半期から供給開始の予定です。その他詳しくは、日本TIのホームページ( http://www.tij.co.jp/dm355pr )をご参照ください。

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