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日本TI、価格性能比を2.5倍以上向上した高性能DSP新製品を発表

2007年03月08日

SCJPR-07-024 2007年3月8日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)新製品2種、『TMS320C6424』DSP(以下、『C6424』DSP)と、『TMS320C6421』DSP(以下、『C6421』DSP)のサンプル出荷を開始したと発表しました。同時に『C6424』DSPの評価モジュールの出荷も開始しました。高性能のDSPを競争力のある価格で提供することで、より幅広いアプリケーションでの採用を図ります。本件に関する詳細は、http://www.tij.co.jp/c6424pr から参照できます。

製品投入の背景について
新製品『C6424』および『C6421』DSPは、業界最高性能のDSP 製品群であるTIの『TMS320C6000™ 』(以下『C6000』)DSPプラットフォームに連なるものです。『C6000』プラットフォームの製品はこれまで、画像認識や処理機能を伴うアプリケーション(プリンタ、業務用複写機、監視カメラ、検査装置、医療機器など)、高い信号処理能力を要するアプリケーション(通信機器など)、複数のオーディオ/ビデオ規格に対応する必要のあるアプリケーション(マルチメディア機器など)といった、特に高速の演算処理が必要なアプリケーションに搭載されてきました。
新製品『C6424』および『C6421』DSPは、より競争力のある価格帯で『C6000』DSPの高い性能を提供し、アプリケーションの裾野をさらに広げようとする戦略的な製品です。いずれも現行製品と比較して2.5倍以上の価格性能比を実現し、かつTIの『C6000』DSPプラットフォームの全製品とのソフトウェア互換性を有しています。また各種ペリフェラル、インターフェイスならびにオンチップ・メモリを高集積しました。これらの特長によって、既存の『C6000』DSPユーザのみならず、従来FPGA注1やASIC注2、PCシステムなどを使用したアプリケーション開発を行っていた一部のユーザにとっても、システムコスト削減、高性能化、新機能追加といったニーズに応える新しい選択肢となります。

処理性能について
『C6424』DSPは、TIの高性能『TMS320C64x+™ 』 DSPコアをベースとし、600MHz動作(ピーク時)で4,800MMAC注3(1秒間に48億回の積和演算を実行可能)の高い処理性能を備えています。また4.8 GB/s (ギガビット/秒)と超高速のスループットを処理するEDMA(エンハンスト・ダイレクト・メモリ・アクセス)コントローラ3.0とDDR2-333メモリ・インターフェイスを実装し、強固なI/O性能を発揮します。『C6421』DSP(400MHz版)は、TIの『C64x/C64x+』 DSP製品としては最も低価格帯の製品となります。
新製品は『TMS320C64x™ 』DSPコアの製品群と比較して、コアの処理性能は1.6倍から2倍に強化され、平均で価格を約半分に抑えました。また、価格性能比を2.5倍以上に向上しました注4。『C642x 』DSPは相互にピン互換性を確保し、処理性能および機能において拡張性を確保しています。さらにEthernet MAC、PCIといった各種インターフェイスの高集積により、システム全体のBOM(部品コスト)削減を可能にします。

特長と仕様について
新製品はいずれも、動作速度別に400 MHz版、 500 MHz版ならびに600MHz版が用意されています。

『TMS320C6421』 主な特長

  • 計96KBのメモリを搭載(L1D: 16KB, L1P: 16KB, L2: 64KB、すべてキャッシュまたはSRAMとして使用可能)
  • 各種インターフェイスを集積
    • 16ビットDDR2-266
    • 8ビットのEMIF注5
    • McBSPまたはMcASP


『TMS320C6424』 主な特長

  • 計240KBのメモリを搭載(L1D: 80KB, L1P: 32KB, L2: 128KB、すべてキャッシュまたはSRAMとして使用可能)
  • 各種インターフェイスを集積
    • 32ビットDDR2-333
    • 16 ビットEMIF
    • PCI 33MHz(EMAC、VLYNQおよびHPIのピンとマルチプレクス)
    • McBSP×2またはMcASP×1


『TMS320C6421』および『TMS320C6424』共通仕様

  • ペリフェラル(C642x 共通)
    • EMAC (RMII/MII) または HPI
    • VLYNQ注6
    • UART2×2
    • I2C, GPIO
    • PWM ×3
    • 64ビット・タイマ×2
  • 相互にピン互換性を確保
    • 高性能化・低コスト化のいずれの要請に対しても、容易に入れ替え可能
  • 2種類のパッケージを準備
    • 0.8ミリピッチ、16ミリ角BGA(ボール・グリッド・アレイ)(C64x DSP製品としては最も小型パッケージ)
    • 1.0 ミリピッチ、23ミリ角BGA

開発環境について
『C6424』および『C6421』DSPを使用する製品開発をさらに迅速化するために、『C6424』評価モジュールが用意されています。評価モジュールには『Code Composer Studio™ 』IDE (コード・コンポーザ・ストュディオ統合開発環境、以下CCStudio)、DSP/BIOS™ カーネル、チップ・サポート・ライブラリ(CSL)、オーディオ・コーデック各種、 VirtualLogix社の uCLinuxなどが含まれます。 なお、現在の最新バージョン『CCStudio v3.3』で、今回の新製品をサポートしています。

価格と供給について
『TMS320C6424』と『TMS320C6421』は、いずれもサンプル出荷中です。量産出荷は2007年第4四半期の予定です。 『TMS320C6424』の価格設定は、400MHz動作で単価15.95ドル(1万個出荷時の参考価格 以下同じ)、500MHz動作で単価19.95ドル、600MHz動作で単価24.95ドルです。 『TMS320C6421』の価格設定は、400MHzで単価8.95ドル、500MHz動作で単価11.95ドル、600MHz動作で単価16.95ドルです。詳細はwww.ti.com/c6424pr(英語)をご覧ください。 C6424 評価モジュール『TMDXEVM6424』は、73,290円(参考価格、税込み)で、日本TIの販売特約店で購入可能です。

『Code Composer Studio』IDE について
CCSは、現在新バージョン、『Code Composer Studio Platinum version 3.3』 (以下『CCStudio v3.3』)を発表、提供開始しています。『CCStudio v3.3』は、TIの『TMS320C6000™』、『TMS320C5000™』および『TMS320C2000™』の各DSPプラットフォームをサポートし、新しく統一したブレークポイント・マネージャ、キャッシュ表示、プロファイリングおよびコード・カバレッジ機能などの強化によって、DSP開発者に一層効率的なシステム動作の解析手段を提供し、開発作業の軽減とともに迅速な新製品の市場投入に役立ちます。また、DaVinci™テクノロジーベースのマルチプロセッサの解析機能を大幅に向上し、急速に増加する最先端の組み込みシステム開発へのニーズに対応します。CCStudioに関してはhttp://www.tij.co.jp/ccstudio から参照できます。

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注1 FPGA: フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ。半導体デバイスの一種
注2 ASIC: 特定用途向けIC。半導体デバイスの一種
注3 MMAC: Million Multiply and Accumulationの略。DSPの処理性能を表す単位。MACは積和演算の意で、MMAC/secで一秒間に百万回の積和演算を処理可能であることを表す
注4 価格性能比:新製品『C642x』と現行製品『C6412』とを比較。

  • コア性能は、16ビット積和演算処理におけるピーク値(MMAC)で1.6-2倍に強化
  • 価格は各製品群の平均値で、『C642x』は『C6412』から約40パーセントから65パーセント削減
  • 価格性能比: 処理性能の向上値(1.6)÷低価格化のパーセンテージ(0.65) = 2.46

注5 EMIF: 外部メモリ・インターフェイス
注6 VLYNQ :TIの各種製品やFPGA、ASICなどとの接続用に開発された、TI独自のインターフェイス
※ TMS320C6000、C6000、 TMS320C64x+、Code Composer Studio、DSP/BIOSならびにeXpressDSPはTexas Instruments社の商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。