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日本TI、ポータブル医療用機器および工業用センサに最適なワンチップ・システム・マイコン『MSP430FG461x』シリーズを発表

2007年02月20日

超低消費電力「MSP430」マイコン(16ビットRISC)に大容量Flashメモリ(120KB)を搭載、さらにオペアンプ、ADC、DAC、DMAをチップ上に内蔵し

超低消費電力「MSP430」マイコン(16ビットRISC)に 大容量Flashメモリ(120KB)を搭載、 さらにオペアンプ、ADC、DAC、DMAをチップ上に内蔵し シグナル・チェーンをワンチップで実現

SCJPR-07-019 2007年2月20日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、ポータブル医療機器および工業用センサなど、より複雑なシステム・ソリューションを必要とする組込みアプリケーション向けに、高い集積度と超低消費電力動作を提供する『MSP430FG461x』シリーズの量産出荷を開始したと発表しました。本製品は最大120KB(キロバイト)のフラッシュ・メモリを内蔵しています。当『MSP430FG461x』シリーズは1MB(メガバイト)の拡張メモリ・モデルに対応する新『MSP430Xコア・アーキテクチャ』*1を搭載した初の製品であり、より大容量のメモリの要求条件を満足すると共に、上位互換性を備え、モジュール化されたCライブラリのみを使用して非常に洗練されたリアルタイム・アプリケーションを開発できます。また、『MSP430Xコア・アーキテクチャ』により、さらに高速なコード実行が可能となります。例えば、フラッシュ・メモリ、RAMなどのアクセスに関して最大25パーセントのサイクル低減が可能となる場合があります。『MSP430FG461x』シリーズの詳細に関してはhttp://www.ti.com/fg461x(英文)から参照できます。



各種アプリケーションに高集積度と大容量メモリを提供する
『MSP430FG461x』シリーズ
『MSP430Xコア』による初の製品である『MSP430FG461x』シリーズは120KB(最大)のフラッシュ・メモリならびに8KB(最大)のRAMを内蔵しています。『MSP430FG461x』シリーズに対しては、医療機器の顧客各社より、デジタル脈拍・血中酸素濃度計やワイヤレスの心電図記録計をはじめ、高性能オン・チップ周辺回路ならびに大容量のメモリを有する高集積なシステム・チップを必要とするポータブル医療機器の要件を満足しているという見解が寄せられています。 『MSP430FG461x』シリーズの各MCU製品は以下の全てを内蔵しています。

  • 高精度の計測回路を構成するためのオペアンプ(最大3個搭載)
  • 200ksps(キロ・サンプル/秒)のオン・チップ12ビットADC(ADコンバータ)
  • セトリング時間1μs(マイクロ秒)の12ビットDAC(DAコンバータ)
  • DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)コントローラ

高集積度の実現により、SCoC(シグナル・チェーン・オン・チップ)ソリューションが可能となり、システムの総合的なコストの低減および外付け部品の削減=システムのワンチップ化が可能となります。3チャネルのDMAはオン・チップのDAC、ADCその他の周辺回路へのデータ伝送遅延を排除し、CPU(16ビットRISC)をタスク処理から解放し、より多くのデータ処理時間を提供します。さらに、『MSP430FG4xx』全ファミリでのオン・チップDACモジュールとDMAによって、外付けのDACとソフトウェアを使用した場合と比較して10倍を超えるアナログ出力信号周波数を扱うことができるようになります。

『MSP430FG461x』シリーズは、リアルタイム・クロックのスタンバイ・モード時に2μA(マイクロ・アンペア)未満の消費電流であることから、1個のバックアップ用のボタン電池で最高10年間動作が可能であり、多くのアプリケーションでは製品の設計寿命期間中にバックアップ電池を交換する必要がありません。

MSP430高性能内蔵エミュレーション・モジュールが高価なICEおよび機能が限定されたシミュレータを不要とします
アプリケーションが複雑になるにつれ、デバッグ上の課題や開発にかかる時間が急増しています。アプリケーションの精確な再現が困難なシミュレータ・ソリューションと違い、MSP430はチップ上にハードウェアでエミュレーション・モジュール(EEM)を持っています。これにより、設計者はイン・サーキット・エミュレータ(ICE)のような複雑さやコストに煩わされることなく、ハードウェアとソフトウェアのデバッグができます。またこの内蔵エミュレーション・モジュールにより、追加リソースを必要とせずにデバッグ中のリアルタイム動作が可能となります。FG461x のEEMは、データバスやアドレス・バスを監視する複雑なトリガなど、最大8個のハードウェア・ブレイクポイントを設定可能です。その他の特長として、データバスやアドレス・バス、さまざまなCPUフラグなどをアプリケーション・コード実行の干渉なしに格納できる、40ビットのリング・バッファが8つついた非介入的ストレージ・トレースなどがあります。MSP430 EMMに関する詳しい情報はこちらから参照できます。(http://www.ti.com/fet430U100

製品とツールの価格と供給について
『MSP430FG461x』シリーズのMCUは、先行の『MSP430F449』MCUとの間でピン互換性を備えており、そのまま移行できます。『MSP430FG461x』シリーズは、TIおよび正規特約店から販売されます。『MSP430FG4619』の1,000個受注時の単価は、1,412円(参考価格:税込)です。

『MSP430FG461x』シリーズのMCUを設計する際には、開発ツールMSP-FET430U100を使いすぐに開発をスタートしていただけます。同開発ツールはUSBインターフェイスを備え、統合開発環境(4KB制限付:Cコンパイラ)も同梱しています。MSP-FET430U100は、TIおよび正規特約店から19,800円(参考価格:税込)で販売しております。詳細は下記URL を参照ください。http://focus.tij.co.jp/jp/mcu/docs/mcudesignsupport.tsp?sectionId=96&tabId=1483&toolTypeId=1

『MSP430FG461x』製品ラインナップ

MSP430FG4616 MSP430FG4617 MSP430FG4618 MSP430FG4619
クロック周波数 8 MHz 8 MHz 8 MHz 8 MHz
フラッシュ・メモリ 92 KB 92 KB 116 KB 120 KB
RAM 4 KB 8 KB 8 KB 4 KB
I/O 80 80 80 80
ピン/パッケージ 100LQFP 100LQFP 100LQFP 100LQFP
LCDセグメント数 160 160 160 160
ADC 12 ビットSAR 12 ビットSAR 12 ビットSAR 12 ビットSAR
その他の オン・チップ 周辺回路 12ビットDAC×2, オペアンプ×3, アナログ・コンパレータ, DMA, SVS 12ビットDAC×2, オペアンプ×3, アナログ・コンパレータ, DMA, SVS 12ビットDAC×2, オペアンプ×3, アナログ・コンパレータ, DMA, SVS 12ビットDAC×2, オペアンプ×3, アナログ・コンパレータ, DMA, SVS
最適化された 最終製品 ポータブルの医療用機器 ポータブルの医療用機器 ポータブルの医療用機器 ポータブルの医療用機器
インターフェイス ハードウェアSPIまたはUART,タイマUART(1チャネル) ハードウェアSPIまたはUART,タイマUART(1チャネル) ハードウェアSPIまたはUART,タイマUART(1チャネル) ハードウェアSPIまたはUART,タイマUART(1チャネル)
タイマ機能 ウオッチドッグ/インターバル・タイマ×1, 8ビット・タイマ×2, 16ビット・タイマ(3CCR)×2 ウオッチドッグ/インターバル・タイマ×1, 8ビット・タイマ×2, 16ビット・タイマ(3CCR)×2 ウオッチドッグ/インターバル・タイマ×1, 8ビット・タイマ×2, 16ビット・タイマ(3CCR)×2 ウオッチドッグ/インターバル・タイマ×1, 8ビット・タイマ×2, 16ビット・タイマ(3CCR)×2

注: *1 :『MSP430Xコア・アーキテクチャ』
『MSP430Xコア・アーキテクチャ』とは16ビット・アドレス・バスおよび16ビット・レジスタ・セットを20ビットに拡張した、MSP430の新CPUコア・アーキテクチャの名称。命令セットは従来のコアとの互換性を維持しながら、アクセス可能なメモリ空間を、従来の最大64Kバイトから最大1Mバイトへと拡張しています。