TI ホーム > ニュースリリース

ニュースリリース

日本TI、デジタル・ビデオ・プロセッサ新製品のサンプル出荷を開始DaVinciテクノロジー採用、ポータブル・ビデオ機器向け

2007年01月16日

コンシューマー向けポータブル・ビデオ機器向けに低コスト化および省電力機能を追加

コンシューマー向けポータブル・ビデオ機器向けに 低コスト化および省電力機能を追加

SCJPR-07-002 2007年1月16日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、同社の開発プラットフォーム「DaVinci™ テクノロジー」に基づくデジタル・ビデオ・プロセッサ新製品、『TMS320DM6441』(以下『DM6441』)のサンプル出荷を開始しました。同製品はTIの高性能DSPを中心に各種機能を高集積したSoC(システム・オン・チップ)製品であり、高画質のビデオ性能と省電力機能を提供します。対象アプリケーションは、携帯型ビデオ・プレーヤー、ビデオ・セキュリティ・システム、医療機器、データ端末、IPセキュリティ・カメラおよび航空機等の機内向けエンターテインメント・システムなど、小型化・省電力化の要求が強い、ポータブルのデジタルAVコミュニケーション製品全般です。 本件に関する詳細はTIのホームページhttp://www.tij.co.jp/DM6441から参照できます。



今回発表された『DM6441』は、『TMS320C64x+™ 』 DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)コア、ARM9® コアおよびビデオ/画像処理用のコプロセッサで構成されるデュアル・コアのSoCです。『DM6441』は、デジタル・ビデオの主要な標準コーデック規格(H.264、MPEG2、MPEG4、VC-1など)を30フレーム/秒の高速処理で実現しつつ、省電力化性能も最適化されています。このためメーカ各社は全く新しい領域のコンシューマー・アプリケーションの開発と製品化が可能となります。 また『DM6441』は、プログラミング処理による柔軟性とカスタマイズ機能を兼ね備え、かつ現行のさまざまなポータブル・メディア・アプリケーションに必須の周辺回路(Ethernet、MMCおよびSDカード・インターフェイス、ATA HDD インターフェイス、USB2.0、複数のUARTなど)も提供します。さらに『DM6441』では、消費電力の最適化性能によって、開発各社は、数多くのビデオ・セキュリティ・システムに最適なPoE注1機能も実現できます。これらの特長により、開発各社はコスト効率と省電力性能の双方に優れたポータブル・デジタルAVコミュニケーション製品を開発できます。

省電力機能を追求した新製品『DM6441』
『DM6441』は最先端の省電力機能を搭載し、ポータブルのデジタルAVアプリケーション製品向けに最適化されています。具体的には、2種類のパワー・モード、クロック・ゲート機能、およびコアごとの電源供給分離の3つを適宜組み合わせることで、消費電力を現行比で約35パーセント削減注2します。

  • 2種類のパワー・モード:フルスピード・モードは、電源電圧1.2 V(ボルト)で、DSPコア513MHz(メガヘルツ)、ARMコア256MHzにて動作します。また省電力モードは、電源電圧1.05 Vで、DSPコア405MHz、ARMコア202 MHzにて動作します。2種類のパワー・モードを用意することによって、オーディオのみの再生時など、DSP機能をフルに必要としない動作については消費電力を低減できます
  • クロック・ゲート機能:使用しない周辺回路の動作を停止させ、消費電力をさらに抑制できます
  • コアごとの電源供給分離:DSPコアとARMコアの電源供給を分離することによって、ビデオを使用しない動作の場合に、DSPコアのみ電源供給を停止することが可能です

評価モジュールも提供
日本TIは、新製品『DM6441』の評価モジュールとして『TMDXEVM6446』DVEVMを提供します。DVEVMは、TIのアナログ製品およびマイクロコントローラ(MCU)で構成された実績ある設計モジュールを内蔵し、より一層の省電力化を実現します。 なお『DM6441』は、TIの超低消費電力MCU製品である『MSP430』とも組み合わせての使用が可能です。『MSP430』は1μA(マイクロアンペア)以下のスタンバイ時の消費電流特性と同時に、最も高い電源効率を提供する『DM6441』のスリープ/ホルト・モードの電源管理機能を提供し、平均消費電流のさらなる低減を実現します。

拡張ソフトウェアが他に例のない高効率を実現
開発各社がSoC製品を使用して最高の性能、品質、電力効率を実現するためには、ソフトウェアの役割が重要になります。『DM6441』製品のソフトウェア・アプリケーション・プログラミング・インターフェイスおよびマルチメディア・フレームワークは、システム全体の消費電力を管理し、開発作業の負荷を最小限に抑えながらポータブル製品のバッテリ動作時間を延長します。電力効率の向上を実現した『DM6441』の提供により、TIはVC-1およびH.264をはじめとした様々なコーデック機能をポータブル機器向けにも迅速に供給できるようになりました。 またTIは業界標準のuClibc注3ライブラリへの対応も発表しており、『DM6441』は広範囲の市場向けにuClibcを提供する業界初の製品となりました。uClibcは小型組み込み用途に向けて、ブート時間の短縮、必要な外部メモリ容量の削減、システムの簡素化による信頼性の向上などを提供することから、製品の開発コストの低減に役立ちます。

『DM6441』は先行の『DM6443』および『DM6446』の両製品とピン互換性およびソフトウェア互換性を提供することから、DaVinciプラットフォーム上で開発を行う各企業やTIのサードパーティ・パートナー各社が供給する包括的な開発ツールのインフラストラクチャをそのまま活用できます。これらの開発ツールには前述の評価モジュールやTIのデジタル・ビデオ・ソフトウェア開発キットである『TMDSSDK6446-L』DVSDK(デジタル・ビデオ・ソフトウェア開発キット)も含まれています。システム開発各社はDVSDKを使用し、手間の掛かる作業なしで個別のソフトウェア・モジュールを統合し、1つの実行ファイルに組み合わせることができます。また、これらの開発ツールによって数カ月もの開発時間を短縮できることから、開発各社はコンパクトで高品質、かつ価格競争力に優れたポータブル・メディア・アプリケーション製品を迅速に設計し、市場に投入できます。

開発を迅速化するソフトウェアとツールを供給
TIは開発各社に最先端のソリューションを供給するため、ATEME社、Ingenient社、 Ittiam社などのサードパーティーの開発各社と協力し、携帯型ビデオ・プレーヤー製品のリファレンス・デザインを供給しています。これらのリファレンス・デザインはMPEG-2 MP、H.264 MPおよびAC3をはじめとする各種デジタル・メディア・ソフトウェアを活用しています。 TIから供給している各種コーデックの詳細に関しては 同社のホームページ(www.ti.com/digitalmediasoftware  英文)から参照できます。

価格と供給について
『DM6441』の10,000個受注時の単価(参考価格)は24.95ドルです。いずれも日本TIの販売特約店から購入が可能です。同製品およびDaVinciテクノロジーの詳細に関しては、日本TIのホームページ(www.tij.co.jp/davinci)をご参照ください。

関連リンク  
DSP製品 トップページ

注1: PoE: Power over Ethernet、イーサネット・ケーブル経由の電源供給
注2: 先行の『TMS320DM6443』および『TMS320DM6446』などの製品と比較して、総合消費電力を最高35%低減(TI調べ)
注3: uClibc: 小型組み込み機器向けの縮小版のC言語ライブラリ
※ 『DaVinci』 および『TMS320C64x+』はTIの登録商標です。その他のすべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します