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日本TI、工業用途に最適な、低消費電力、小型パッケージ、36V動作の高精度オペアンプを発表

2006年12月19日

新たに開発された36V バイポーラSiGeプロセスで製造された高性能オペアンプ製品

SCJPR-06-103 2006年12月19日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、現行の36 V(ボルト)動作の同等製品と比較して超低ノイズ特性、低消費電力特性、より広い帯域幅を小型のパッケージで提供する高精度オペアンプ、『OPA211』および『OPA827』を発表しました。これらの新製品は試験・計測機器、計装、画像処理、医療用機器、オーディオ、プロセス制御など幅広いアプリケーションにおいて飛躍的な性能を実現します。『OPA211』および『OPA827』はTIの新しい「BiCom3HV」36 V SiGe(シリコン・ゲルマニウム)相補型バイポーラ・プロセスを使用して開発されました。本件に関する詳細は http://www.ti.com/sc06209(英文)から参照できます。

TIのハイパフォーマンス・アナログ事業部担当でシニア・バイス・プレジデントのArt George(アート・ジョージ)は次のように述べています。「『OPA211』および『OPA827』は高電圧動作の工業用市場へのTIの取り組みを示す、新しいクラスの高精度アンプです。これらの新型アンプは高精度と同時に、消費電力、帯域幅、パッケージの小型化などにおいて、大幅な改善を提供し、工業用アプリケーションにおいて次世代の性能を実現します」

『OPA211』について
『OPA211』はバイポーラ入力のオペアンプで、1.1 nV/√Hz(ナノボルト/√ヘルツ)の電圧ノイズ特性、80 MHz(メガヘルツ)のGBW(ゲイン帯域幅積)、3.6 mA(ミリアンペア)の電源電流特性を提供します。また100μV(マイクロボルト)のオフセット電圧、0.2 μV/℃のオフセット電圧ドリフト、1μs(マイクロ秒)未満のセトリング時間を提供し、データ・アクイジション・システムの高精度ADC(アナログ-デジタル・コンバータ)の駆動に最適です。またレール・ツー・レール(正負電源電位)までの出力振幅特性も備え、高いダイナミック・レンジを提供します。

『OPA211』の電源電圧範囲は±2.25 V~±18 Vです。パッケージは8ピンDFN、8ピンMSOPまたは8ピンSOICで供給されます。3mm(ミリメートル)角のDFNパッケージは、標準的な8ピンSOICパッケージと比較して、基板実装面積をおよそ3分の1に低減できます。バイポーラ・オペアンプ製品はオフセット電圧に起因する飽和誤差特性に優れており、低信号源インピーダンスのアプリケーションに使用されます。

『OPA827』について
『OPA827』はJFET(接合型FET)入力のオペアンプで、他に例のないDC(直流)精度と、優秀なAC(交流)性能を同時に提供します。『OPA827』の直流特性としては4.5 nV/√Hzの電圧ノイズ特性、250 μV(マイクロボルト)のオフセット電圧、1 μV/℃のオフセット電圧ドリフト、400 nVpp(ナノボルト ピーク・ピーク)の周波数ノイズなどがあります。また交流特性としては、18 MHzのGBW、22 V/μs(ボルト/マイクロ秒)のスルーレート、1 kHz(キロヘルツ)において0.0004%のTHD(全高調波歪み)特性などがあります。

『OPA827』の電源電圧範囲は±4 V~±18 Vで、消費電流は4.5 mAです。8ピンMSOPパッケージは標準的な8ピンSOICパッケージと比較して、基板実装面積をおよそ2分の1に低減できます。JFETオペアンプ製品は非常に低いバイアス電流特性を提供し、高信号源インピーダンスのアプリケーションに最適です。

TIでは高精度なアプリケーション向けに、『ADS8505』などのADCや『DAC8811』などのDAC(デジタル-アナログ・コンバータ)をはじめとする最先端のシグナル・チェーン・ソリューションを供給しています。『OPA211』および『OPA827』はTIの『TMS320™』高性能DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)プラットフォームおよび『MSP430』超低消費電力マイクロコントローラ製品ファミリとの組み合わせに最適化されています。

業界初のコンプリメンタリ・バイポーラ36 V SiGeプロセス
TIの「BiCom3HV」プロセスは、高電圧動作の工業用アプリケーションの要件に将来に渡って対応可能な最先端の半導体製造技術です。同プロセスは、従来の製品と比較してより高速の動作、ローノイズ、低消費電力、小型のパッケージなどの特長を提供します。「BiCom3HV」はSiGeを使用した業界初の36V動作の工業用プロセスであり、従来の製品と比較して大幅に高速なトランジスタを集積できます。高性能のトランジスタと精密なSiCr薄膜抵抗の組み合わせは、より高い精度、ダイナミック・レンジ、動作温度範囲内の高い安定度などを提供します。

またSOI(シリコン・オン・インシュレータ)技術を使用することによって、トランジスタのさらなる小型化が実現しました。「BiCom3HV」プロセスの最も小さいトランジスタは、これまでの最先端と言われるプロセスで製造された製品と比較して最高11分の1のサイズです。さらに、SOI技術は低い漏れ電流、トランジスタ間の干渉の低減をはじめとする、数々の利点も提供します。

「BiCom3HV」プロセスは次世代のバイポーラ入力およびJFET入力の工業用高電圧オペアンプ、計装アンプ、プログラマブル・ゲイン・アンプ、高精度リファレンスなどの用途に最適です。

『OPA211』、『OPA827』の特性表

項目 OPA211 OPA827
チャネル数 1 1
利用可能回路数 1回路、2回路 1回路、2回路
ゲイン帯域幅積 80 MHz 18 MHz
スルーレート(代表値) 27 V/μs 22 V/μs
入力オフセット電圧(最大値)、25℃ 0.1 mV 0.25 mV
入力オフセット電圧(最大値) 0.1 mV 0.25 mV
オフセット・ドリフト(代表値) 0.2 μV/℃ 1 μV/℃
ピン/パッケージ 8DFN、8MSOP、8SOIC 8MSOP、8SOIC
同相信号除去比(最小値) 114 dB 108 dB
電圧ノイズ(代表値)、1kHz 1.1 nV/√Hz 4.5 nV/√Hz
電源電圧範囲 4.5 V~36 V(±2.25 V~ ±18 V) 8 V~36 V(±4 V~±18 V)
動作温度範囲 -40 ℃~+125 ℃ -40 ℃~+125 ℃

価格と供給について
『OPA211』は現在サンプル供給中で、TIおよび販売特約店から供給されます。量産出荷は2007年第2四半期に予定されています。パッケージは8ピンDFN、8ピンMSOPならびに8ピンSOICです。1,000個受注時の単価の参考価格は3.45ドルです。

『OPA827』は現在サンプル供給中で、量産出荷は2007年第2四半期に予定されています。パッケージは8ピンMSOPならびに8ピンSOICです。1,000個受注時の単価の参考価格は5.75ドルです。

『OPA211』および『OPA827』の諸特性は-40℃~+125℃の工業用温度範囲で規定されています。TIの包括的なアナログ・デザイン・サポートの詳細ならびに最新の『Amplifier & Data Converter Selection Guide』のダウンロードに関しては、http://www.ti.com/analog(英文)から参照できます。

*すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。