TI ホーム > ニュースリリース

ニュースリリース

日本TI、業界初1チャネルあたり300Wを超える出力を提供するデジタル・オーディオ・アンプ用パワーステージを発表

2006年11月14日

フルデジタル構成で高品位なサウンドと高効率を提供するMOSFET内蔵ワンチップ製品

SCJPR-06-089 2006年11月14日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、新型の PurePath Digital™ パワーステージ IC(集積回路)である『TAS5261』と『TAS5162』を発表しました。1 チャネル内蔵の『TAS5261』は、出力が 300 W(ワット、4 Ω負荷 10 % THD+N)と業界で最高出力のワンチップのデジタル・アンプ用パワーステージです。また 2 チャネル内蔵の『TAS5162』は 1 チャネルあたり 200 W(6 Ω負荷 10 % THD+N)および 125 W(8Ω負荷 0.1 % THD+N)の出力を提供します。これらの新パワーステージは、ハイエンドのオーディオ/ビデオ・レシーバ(AVR)から DVD レシーバまで、従来の100 W クラスのデジタル・アンプでは出力電力の不足から採用が見送られてきた製品をはじめ、さまざまなオーディオ・アプリケーションにおいて、より高い電力効率と高品位のサウンドを実現します。本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/tas5261(日本語)から参照できます。

Audio Power Stage TAS5261 High Power Class-D Audio Power Stage

2006 年 6 月、「マルチメディア機器の基礎を創るオーディオ・チップ市場」(Audio Chip Markets: The Foundation of Multimedia) という表題のレポートを発行した市場調査会社であるフォワード・コンセプツの社長、ウィル・シュトラウス氏(Will Strauss)は次のように述べています。「デジタル・アンプおよび Class-D 回路用の IC はオーディオ市場で最も有望な分野の一つであり、当社ではこの分野の年平均成長率を 40 %と予測しています。Class-D およびデジタル・オーディオ・アンプ・テクノロジー市場の世界的なリーダーである TI は、非常に小さい実装面積で最高 17 A(アンペア)ものオーディオ駆動能力を持つ『TAS5261』によって、市場の基準をさらに向上させることでしょう」

フルデジタル構成で最高のオーディオ品質および高い電力効率を提供
これまで AVR などのシステムにおいて 4 Ω負荷時に出力 300 W が必要な場合、既存のデジタル・オーディオ・パワーステージ製品では出力電力や出力電流が不足するため、効率が低い Class-AB アンプまたはアンプ・モジュールが依然として採用されていました。今回発表された『TAS5162』および『TAS5261』によって、設計者はこれまでにない大出力を 95 %を超える高効率と 110 dB(デシベル)の SNR(信号-雑音比)で実現することができます。『TAS5261』の 125 W 出力(8 Ω負荷)時の THD+N(全高調波+ノイズ)特性は 0.09 %以下です。これらの新デバイスによって、より高い性能および高品位なサウンドを実現しながら消費電力が少ないため、コンパクトな放熱システムを使用できます。

さらに『TAS5261』および『TAS5162』は、他の高出力のデジタル・アンプや Class-D ソリューションと異なり、MOSFET による H ブリッジなどの個別部品の外付けが不要であり、基板実装面積の低減、レイアウトや放熱器のデザインの簡素化、製造コストの低減などを実現できます。

TI のハイパフォーマンス・アナログ事業部担当でシニア・バイス・プレジデントであるアート・ジョージ(Art George)は次のように述べています。「Class-D 市場分野における TI の専門知識によって、メーカー各社は高いコスト効率、入力から出力段まで完全なデジタル構成の回路、最高出力レベルにおいても音質の劣化がなく透明で高品質のサウンドなど、デジタル・アンプの提供するすべての利点を活用できます。『TAS5261』は現在入手可能な従来製品と比較して 2 倍以上の出力レベルと負荷電流を供給する製品です」

『TAS5162』は、先行の『TAS51x2』とピン互換性を備えているため、メーカー各社は 1 チャネルあたり 100 W(『TAS5142』)、125 W(『TAS5152』)、200 W(『TAS5162』)の各デバイスと共通のプリント基板を使用でき、個別デザインが不要となり開発作業が簡素化されます。今回発表された『TAS5261』および『TAS5162』は、先行の『TAS5152』および『TAS5142』と同様に、改良されたゲート・ドライブ・テクノロジーならびに、2 ステージの PWM サイクルごとの過電流保護機能および電圧低下検出機能を備えています。

TI の PurePath Digital™ オーディオ技術について
『TAS5261』および『TAS5162』は、TI の PurePath Digital™ オーディオ技術をベースにしています。PurePath Digital™ オーディオは最新鋭の音楽再生機能と原音に近いサウンドを兼ね備え、コンスーマ向けエレクトロニクス製品のメーカー各社へコンパクトな形状で入力から出力段まで完全なデジタル構成の製品の実現を支援する技術です。映画のサウンドトラックや音楽をアーティストの意図する通りに再現する PurePath Digital™ オーディオは、高性能デジタル・エンターテインメントにおける最高の品質を提供します。TI はデジタルおよびハイパフォーマンス・アナログ製品のほか、PurePath Digital™ オーディオの周辺回路をサポートする DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、スイッチング・モードのパワー・マネジメント製品、Class-D アナログ・アンプ、オーディオ用コンバータなどの製品群によって、オーディオ・アプリケーション向けのシグナル・チェーンを提供します。

価格と供給について
出力 300 W の『TAS5261』は現在量産出荷中です。パッケージは PSOP-3で、1,000 個受注時の単価の参考価格は 5.25 ドルです。出力 200 W の『TAS5162』の量産出荷は 2006 年 12 月に予定されており、パッケージは PSOP-3 および HTSSOP です。

『TAS5261』および『TAS5162』の主な特長

項目 TAS5261 TAS5162
パワーステージ・チャネル数 1(モノラル) 2(ステレオ)
出力電力(最大値) 315 W 200 W
負荷(最小値) 3 Ω 3 Ω
THD+N(1kHz、1/2出力電力時) 0.05 %未満 0.05 %未満
ダイナミック・レンジ 110 dB 110 dB
スイッチング周波数(最小値) 192 kHz 32 kHz
10% THD+N周波数(最大値) 432 kHz 192 kHz
デジタル電源電圧(代表値) 10.8 〜 13.2 V 3.3 V(最高5 V)
アナログ電源電圧範囲 10.8 〜 13.2 V 10.8 〜 13.2 V
出力段電源電圧範囲 0 〜 50 V 0 〜 50 V
動作温度範囲 0 〜 +70 ℃ 0 〜 +70 ℃


  • 出力電力(『TAS5261』)
    • 125W(8Ω負荷時、THD+N < 0.09 %)
    • 220W(6Ω負荷時、THD+N = 10%)
    • 315W(4Ω負荷時、THD+N = 10%)
  • 出力電力(『TAS5162』)
    • 165W×2(8Ω負荷時、THD+N = 10%)
    • 210W×2(6Ω負荷時、THD+N = 10%)
    • 300W×1(4Ω負荷時、THD+N = 10%、放熱条件による)
    • THD+N < 0.09% (1W出力時)
  • SNR
    • 『TAS5261』: 110 dB(A-Weighed、『TAS5518』モジュレータを使用時)
    • 『TAS5162』: >110 dB(A-Weighed、『TAS5518』モジュレータを使用時)
  • PWM(パルス幅変調)
    • 192 kHz 〜 386 kHz の PWM フレーム・レートをサポート(『TAS5261』)
  • On抵抗 80mΩの出力 MOSFET により 90 %を超える高効率のパワーステージを実現(『TAS5162』)
  • 外付け抵抗で設定可能な電流制限(『TAS5261』)
  • インテリジェント・ゲート・ドライブ
  • 以下の保護回路を内蔵
    • 電圧低下保護
    • OTW(過熱警告)および OTE(過熱エラー)
    • 過負荷保護
    • 短絡保護(過電流保護)
    • PWM 動作状態検出機能
  • TI推奨システム設計をご使用の場合、EMI基準に適合
  • エラー検出出力は 3.3 V および 5 V ロジックに適合


関連リンク
アナログ製品 トップページ

※ すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。