2006年11月09日
シグナル・チェーンの簡素化に役立つレール・ツー・レール出力、完全差動アーキテクチャのADC駆動アンプ
SCJPR-06-088 2006年11月9日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、高速、高分解能 ADC (アナログ/デジタル・コンバータ)の駆動向けの高性能広帯域アンプ製品ファミリを拡充する高速差動アンプ『THS4520』を発表しました。『THS4520』は 3.3 V 〜 5 V 電源で動作する高精度のデータ・アクイジション・システム向けに設計され、ワイヤレス通信機器、試験・計測機器、医療用画像処理機器など、高性能を要求するさまざまなアプリケーションに、レール・ツー・レール出力、低雑音と超低歪み特性を同時に提供します。本件に関する詳細は http://www.ti.com/sc06186(英文)から参照できます。
『THS4520』は出力同相電圧の独立した制御機能によって、高精度のデータ・アクイジション・システムの持つ広帯域、DC(直流)結合、チャネル数などの要件を満たします。この機能により、信号経路のデザインとは別に、広い電圧範囲に渡り、出力同相電圧を設定値から 0.25 mV(代表値)以内のオフセットで容易に制御できます。
『THS4520』は 2 nV/√Hz(代表値)と非常に低い雑音特性のほか、8Vp-p の出力振幅および 100 kHz までの信号帯域幅の条件において、-115 dBc(代表値)の HD2(第二高調波歪み)特性ならびに -123 dBc(代表値)の HD3(第三高調波歪み)特性を提供します。
TI の 16 ビット、4 MSPS の『ADS8422』をはじめとする高精度 ADC 製品は、『THS4520』の超低歪み特性の利点によって性能上の大きなマージンを実現できます。また TI の 2 回路内蔵、12 ビット、65 MSPS の高性能 ADC である『ADS5232』をはじめとする高速 ADC 製品は、『THS4520』の低雑音特性、3.3 V 動作ならびに 600 MHz の広帯域の利点を活用できます。
TI の高速シグナル・コンディショニング製品担当の Michael Steffes は次のように述べています。「『THS4520』は 1 MHz 以下の周波数において優れた直線性を提供することから、12 ビット高速 ADC の駆動用途のほか、高精度の 16 ビット ADC の駆動にも最適です。『THS4520』は広範囲に渡る TI のシグナル・チェーン・ソリューションのポートフォリオをさらに拡充すると同時に、お客様において全く新しいレベルのシステム性能を実現します」
『THS4520』の諸特性は -40℃ 〜 +85℃の工業用温度範囲で規定されています。また、TI の完全差動アーキテクチャ 高速アンプ製品ファミリである『THS4508』、『THS4509』、『THS4511』、『THS4513』との間でピン互換性を提供します。
『THS4520』の主な特長
項目 | THS4520 |
---|---|
内蔵チャネル数 | 1 |
利用可能チャネル数 | 1回路 |
チャネルあたりの静止電流(最大値) | 15.3 mA |
電源電圧(最小値) | 3 V |
電源電圧(最大値) | 5.25 V |
最小安定ゲイン | 1 V/V |
帯域幅(最小安定ゲイン時) | 620 MHz |
帯域幅(2 V/V時) | 450 MHz |
ゲイン帯域幅積(代表値) | 1200 MHz |
出力振幅 | レール・ツー・レール(正負両電源電位) |
平坦帯域幅(0.1dB) | 30 MHz |
平坦帯域内の電圧雑音(代表値) | 2 nV/√Hz |
スルーレート(代表値) | 570 V/μs |
セトリング時間(0.1%以内、代表値) | 7 ns |
非反転入力電流雑音(代表値) | 2 pA/√Hz |
出力電流(代表値) | 105 mA |
入力オフセット電圧(最大値) | ±2.5 mV |
オフセット電圧ドリフト(最大値) | ±8 μV/℃ |
第二高調波(100 kHz時、代表値) | -115 dBc |
第三高調波(100 kHz時、代表値) | -123 dBc |
入力バイアス電流(最大値) | 10000 nA |
価格と供給について
『THS4520』は現在出荷中で、TI および販売特約店から供給されます。パッケージは 16 ピン QFN で、1,000 個受注時の単価の参考価格は 2.25 ドルです。評価ボードおよび SPICE モデルも供給されます。
TI ではアナログ技術者向けにセミナ、デザイン・ツール、技術資料、評価ボードならびにサンプル提供などの幅広いサポートを提供しています。TI の包括的なアナログ・デザイン・サポートの詳細ならびに最新の『Amplifier and Data Converter Selection Guide』のダウンロードに関しては、http://www.ti.com/analog(英文)から参照できます。
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