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日本TI、ワンセグ受信機器に適した業界最高レベルの低EMI特性を提供する新型Class-Dオーディオ・パワー・アンプ製品ファミリを発表

2006年09月26日

日本TI | 日本TI、ワンセグ受信機器に適した業界最高レベルの低EMI特性を提供する新型Class-Dオーディオ・パワー・アンプ製品ファミリを発表

基板実装面積を50%縮小、業界で最も低い27μVrmsのノイズ・フロア特性を
提供する高集積度の新型デバイス
  SCJPR-06-072 2006年9月26日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、携帯電話、ポータブル・メディア・プレーヤ、携帯用ゲーム機器、ポータブル・スピーカーをはじめ、基板実装面積が限られ、より高い性能を要求されるポータブル・アプリケーション向けに、固定ゲインのClass-Dオーディオ・パワー・アンプ・ファミリ、『TPA203xD1』を発表しました。これらの新製品はTIの従来の可変ゲインClass-Dアンプである『TPA2010D1』の機能を補完します。
『TPA203xD1』は、出力の波形を最適化することにより業界最高水準の低EMI特性を実現し、ワンセグ受信可能な携帯機器の受信感度を劣化させること無く、システムの設計が可能になります。また、従来は外付けで必要だった入力抵抗をオンチップに集積しているため、基板全体の大きさを約50%縮小できます。一般的な外付け抵抗は誤差が5%程度あるので内蔵抵抗とのマッチングを取るのが難しいですが、内蔵抵抗の場合はマッチングが容易なため、外付け抵抗で構成された回路と比較して、PSRR(電源リップル除去比)を20dB(デシベル)、CMRR(同相信号除去比)を12dB向上でき、音質の向上に貢献します。本件に関する詳細は http://www.tij.co.jp/tpa203xD1(日本語)から参照できます。

『TPA203xD1』ファミリは、次のような性能を提供します。

  • 5V(ボルト)電源から、4Ω(オーム)負荷に2.75W(ワット)の出力を供給
  • ノイズ・フロア(A-weighted)は業界最小の 27μVrms(マイクロボルト、実効値)
  • 効率は88%と従来のアナログアンプの2.5倍以上のバッテリ寿命を実現
  • 1.5 mm(ミリメートル)角のWCSP(ウェハ・チップ・スケール・パッケージ)

TIのハイパフォーマンス・アナログ事業部のマーケティング・マネージャであるニコラス・ホーランド(Nicholas Holland)は次のように述べています。「多くのポータブル・オーディオ機器のメーカー各社がClass-Dアンプを採用するようになり、この競争性の高い市場において、TIの提供する専門知識と製品が大きな強みとして広く認識されつつあります。『TPA203xD1』アンプはClass-ABパワー・アンプと比較して2.5倍以上の電力効率を提供することから、より小さな基板実装面積でバッテリ動作時間の延長ならびに、より高品質のオーディオ特性を追求するポータブル機器メーカーに最適です」
『TPA203xD1』ファミリは基板実装面積やシステム・コストの低減に加え、入力抵抗の集積化、およびこれらの抵抗値の一致により、CMRRやPSRRなど、パワー・アンプにおいて重要な特性が大幅に向上しました。CMRR特性は聴感上、ブーンという雑音として現れる近隣のRF(高周波)妨害信号など、アンプの入力に加えられる同相雑音を打ち消す能力の指標です。PSRR特性は電源に重畳する雑音を除去する能力の指標です。『TPA203xD1』のCMRRは-69dB(代表値)、PSRRは-73dB(代表値、217Hz)であり、雑音に曝されることの多いさまざまなワイヤレス・ポータブル・アプリケーションに最適です。

『TPA203xD1』ファミリは『TPA2010D1』オーディオ・パワー・アンプとの間でピン互換性を持ち、共に広範囲のポータブル・オーディオ・アプリケーション向けパワー・アンプの要件を満たします。『TPA203xD1』ファミリは固定ゲインであり、性能や効率を最適化するための外付け抵抗が不要です。また可変ゲインが必要なアプリケーション向けには『TPA2010D1』パワー・アンプを供給中です。

『TPA203xD1』と従来品との比較

  新製品『TPA203xD1』 従来品『TPA2010D1』
スピーカー出力チャネル数 1(モノラル) 1(モノラル)
出力電力 (最大値) 2.75 W 2.5 W
負荷抵抗 (最小値)
電源電圧範囲 (V) 2.5 ~ 5.5 V 2.5 ~ 5.5 V
THD + N(全高調波+ノイズ)
(3.6V、0.5W出力時、1kHz)
0.11 % 0.19 %
電源リップル除去比(代表値) -73 dB -67 dB*
CMRR(代表値) 69 dB 68 dB*
動作温度範囲 -40 ~ 85 ℃ -40 ~ 85 ℃
*外付けの入力抵抗の誤差より、システムとしてはさらに劣化する可能性が有ります。

『TPA203xD1』の特長

  • バッテリ動作時間の延長、発熱の低減に役立つ省電流、高効率動作
    • シャットダウン電流: 0.5μA(代表値)
    • 静止時電流: 3.0 mA (代表値)
    • 高効率動作のClass-Dパワー・アンプ
      • 効率88% (出力400mW、8Ω時)
      • 効率80% (出力 100mW、8Ω時)

  • 3種類の固定電圧ゲイン
    • TPA2032D1: 2 V/V (6dB)
    • TPA2033D1: 3 V/V (9.5dB)
    • TPA2034D1: 4 V/V (12dB)

  • 必要な外付け部品は1個のみ
    • 高精度の入力ゲイン抵抗および帰還抵抗を集積化し、最高のPSRRおよびCMRR特性を実現
    • 最適化されたPWM出力回路により出力のLCフィルタが不要
    • -75dB(代表値)と高いPSRR特性および2.5 V ~ 5.5 Vと広い電源電圧範囲により、専用の電圧レギュレータが不要
    • 完全差動回路構成により、RF妨害波の検波を防止、バイパス・コンデンサが不要
    • -69dB(代表値)と高いCMRR特性により2個の入力結合コンデンサが不要

  • 過熱保護、短絡保護を内蔵

  • アプリケーション
    • ワンセグ受信可能な携帯端末、ポータブル・メディア・プレーヤ、携帯用ゲーム機器、ポータブル・スピーカーPDAその他のモバイル機器など

価格と供給について
『TPA2032D1』(電圧ゲイン2V/V、6dB)、『TPA2033D1』(同3V/V、9.5dB)、ならびに『TPA2034D1』(同4V/V、12dB)は現在量産出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。パッケージはPb(鉛)フリー、1.5 mm角のWCSPパッケージです。1,000個受注時の単価の参考価格はそれぞれ0.60ドルです。それぞれのデバイスの評価モジュールも供給可能です。最新の『Audio Solutions Guide』のダウンロードに関しては、http://www.ti.com/audio(英文)から参照できます。

※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。