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日本TI、高いコスト効率でオーディオ/ビデオの同期機能を提供するワンチップ・デジタル・オーディオ・ディレーICを発表

2006年07月13日

~基板実装面積の低減、設定の容易なA/V同期機能、1チャネルあたり170msの遅延時間を提供~
  SCJPR-06-055 2006年7月13日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、デザインの簡素化、システム・コストの低減に役立ち、I2C制御インターフェイスを搭載した、新型のデジタル・オーディオ・ディレーIC(集積回路)、『TPA5050』を発表しました。『TPA5050』デジタル・オーディオ・ディレーICは高品位TVおよびデジタル・ビデオ・カメラなどのアプリケーション向けに設計された製品であり、ワンチップでA/V(オーディオ/ビデオ)同期機能を提供し、高いコスト効率、基板実装面積の低減、オーディオ・チャネル設定の簡素化などを実現します。本件に関する詳細はhttp://www.tij.co.jp/tpa505x(日本語)から参照できます。

ビデオ関連の信号およびデータの処理が大規模で重くなるほど、オーディオ処理との処理時間のずれが問題となります。この結果、A/V再生時にオーディオにビデオが追いつかない状態が発生し、A/V同期機能(Lip Sync: リップシンク機能とも呼ぶ)が必要となります。このA/V同期機能は、A/V再生時にビデオ・ストリームの処理が完了するまでオーディオ・ストリームに遅延を掛けることによって実現します。このリップシンク機能に必要な遅延時間は、A/V信号の形式と使用されるビデオ・モードによって変わります。その為、データソースによって遅延時間を高い分解能でプログラマブルに設定できるICが市場から求められていました。

このA/V同期機能はワイヤレス伝送のマルチ・チャネル・スピーカーなどのアプリケーションにおいても重要な役割を担っています。ワイヤレス伝送固有の処理遅延のため、ワイヤレス伝送経由のチャネルのオーディオ出力は、通常チャネルに対して遅延が発生します。このため、通常チャネルを遅延し、ワイヤレス伝送経由のチャネルとの間で同期を取る必要があります。

また、次世代のデジタル・ビデオ・カメラや次世代DVDレコーダのような高度な画像処理が必要なアプリケーションにおいても、オーディオとビデオの信号を同期させるためにこのようなディレーICの要求が高まっています。

A/V同期機能の簡素化
『TPA5050』デジタル・オーディオ・ディレーICの発表によって、TIはメーカー各社に、コスト効率が高く、設定が簡単でシステムの簡素化に役立つリップシンク用の遅延機能をワンチップで提供します。さらに、パッケージには業界最小の4mm(ミリメートル)角のQFNパッケージを採用しており、LCD TV(液晶TV)やデジタル・ビデオ・カメラをはじめとする実装スペースに制約のあるA/Vアプリケーションに最適です。

『TPA5050』デジタル・オーディオ・ディレーICは1チャネルあたり最大170ms(ミリ秒)の遅延時間ならびに最小1サンプルの高い分解能により、A/V間の遅延を全く感じさせない快適な視聴空間を提供できます。『TPA5050』は最大170msの遅延時間によって最も遅延を要求されるTVアプリケーションでもA/V間の同期を提供できます。

『TPA5050』デジタル・オーディオ・ディレーICは、遅延のためのデータ・メモリは電源投入時および遅延時間の設定変更時にクリアされ、エラー・データの出力を防止します。また『TPA5050』は16~24 ビットのオーディオ・データ、32kHz(キロヘルツ)~192kHzのサンプル・レートならびに、I2S、右詰めおよび左詰めなどをはじめ、すべての標準的なオーディオ設定用インターフェイスをサポートしています。『TPA5050』の内部クロックは入力されるオーディオ・データ・ビット・クロックから発生していることから、外部の水晶や発振回路は不要です。『TPA5050』は3.3V(ボルト)動作ながらも、5Vロジックの信号入力が可能であるため、5V動作のマイクロコントローラやオーディオ・プロセッサとのインターフェイスも容易に実現できます。より長い遅延時間が必要なプロ用機器や特殊なアプリケーションには、『TPA5050』をカスケード接続することによって対応できます。

『TPA5050』は、Class-Dアンプ、オーディオ・コンバータ、プロセッサ、スイッチ・モード電源管理をはじめとするTIのオーディオ・アプリケーション向けの包括的なデジタルおよびアナログ製品の一つです。

『TPA5050』デジタル・オーディオ・ディレーICの主な特長
  • I2C制御インターフェイス付きのステレオ・デジタル・オーディオ用リップシンクディレーIC
  • デジタル・オーディオ・フォーマット: 16 ~ 24 ビットのI2S、右詰めおよび左詰め
  • I2Cバスによる制御インターフェイスを内蔵
  • シリアル入力ポート(1チャネル)
  • 遅延時間: 170 ms/チャネル(最大値、サンプリング周波数 48 kHz時)
  • 遅延時間の分解能: 1サンプル
  • 遅延のためのデータ・メモリは電源投入時および遅延時間の設定変更時にクリアされ、エラー・データの出力を防止
  • 電源電圧: 3.3 V、 I/OおよびI2C制御バスは5Vロジックにも対応
  • オーディオ・ビット・クロック・レート:32 ~ 64 fs (fs = 32 kHz~192 kHz )
  • 水晶、発振回路などの外付け不要: 内部クロックはオーディオ・クロックから発生
  • パッケージ: 4 mm角の表面実装 16ピン QFNパッケージ
  • アプリケーション
    • 高品位TVのリップシンク用遅延回路
    • フラット・パネルTVのリップシンク用遅延回路
    • デジタル・ビデオ・カメラ
    • 次世代DVDレコーダ
    • ホームシアターのリア・チャネル・エフェクト回路
    • ワイヤレス・スピーカーのフロント・チャネルの同期回路

価格と供給について
『TPA5050』デジタル・オーディオ・ディレーICは量産出荷中で、TI および販売特約店から供給されます。1,000 個受注時の単価は420円です。
『TPA5050』のほか、『TPA505x』デジタル・オーディオ・ディレー製品ファミリは『TPA5051』と『TPA5052』の二品種もサンプル供給中です。『TPA5051』は4チャネル内蔵で、1チャネルあたり最高85msのリップシンク用遅延機能を提供します。また『TPA5052』は5本のモード設定ピンを備え、0~170msの範囲で32種類の遅延設定をハードワイヤードで行います。その他のピンは『TPA5050』とのピン互換性を提供します。ハードワイヤードでの設定のため、電源立ち上げ時に遅延量のレジスタ設定が不要となります。

TIは高性能アナログICとDSPに注力しています。2005年のTIのアナログ半導体市場でのマーケット・シェアは世界第1位となっています(米Databean社の2006年3月速報値による)。

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