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TIが世界最速MPEG4 AACエンコーダ・ライブラリを開発、音楽CDのリッピングが最高40倍速に

2006年03月16日

日本TI | TIが世界最速MPEG4 AACエンコーダ・ライブラリを開発、音楽CDのリッピングが最高40倍速に

~現在の市場標準である4倍速リッピングの10倍のパフォーマンス~
SCJPR-06-028 2006年3月16日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は、TIの高性能オーディオDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)プラットフォームであるAureus™ (読み:オーリアス)製品をベースにしたHSE(高速エンコーディング)アプリケーション・ソフトウェアで、40倍速再生を達成するAACエンコーダ・ライブラリの完成を発表しました。先日当社が発表した20倍速のATRAC3エンコーダを上回るスピードを実現します。この超高速AACエンコーダ・ライブラリは、日本TI筑波テクノロジー・センターで開発され、内部処理をすべて32ビット浮動小数点で演算しているため、最高の音質を提供することができます。

  • ストレスのないCDリッピング
    Aureus デジタル・オーディオ・プロセッサ・プラットフォームがサポートするエンコーダ・ライブラリに、強力なAACライブラリが加わることで、家庭用および車載用オーディオ機器におけるHSE機能に対応するほとんどのコーデックをサポートすることになります。このAACライブラリを用いれば、60分のオーディオCDコンテンツを約1分30秒でリッピング注1することができます。Aureus DSPファミリである『TMS320DA610』や『TMS320DA710』とも互換性を確保しているため、既存のTI製コーデックを使用している顧客でも、ソフトを置き換えるだけで簡単に倍速処理を向上できます。

  • ハードウェアとシステム・ソリューション
    HSEシステム・ソリューションは、TIのパートナー企業であるハートランド・データ株式会社(本社:栃木県足利市)から供給中です。詳しくは同社のホームページhttp://www.hldc.co.jp/index.htm(日本語)から参照できます。また、Aureus DSP『DA610』搭載の評価モジュール(EVM)も同社から供給中であり、『DA710』搭載EVMについては2006年第2四半期中に供給を予定しています。
    これらのEVMは、CDDA(音楽用CD)・CD-ROM・SDカード・M-Systems社製DiskOnChip・HDDなどの各メディアに対応するオーディオプレーヤー/レコーダーの開発用に、基本構成を提供するソリューションで、システム設計者は、信頼性の高いオーディオ関連製品を短期間で設計できます。DSP以外のハードウェア構成は機器メーカーの側で自由に選択が可能であり、商品化までのプロセスを、ハートランド・データ社が全面的にサポートします。

評価モジュール(EVM)特長
  • Aureus DSP『TMS320DA610』にて各種メディア・ドライブを制御することで、マイコン不要の高速エンコード録音が可能
  • 様々なメディアからの再生、または録音に対応
    CDDA、CD-ROM、SDカード、M-Systems社製DiskOnChip、HDD、USB、各種ファイルシステムをサポート
  • AACエンコーダ・ライブラリに加え、顧客が指定する任意のオーディオ圧縮エンコーダ・デコーダの組み込みが可能
  • CD以外にも、外部入力からの録音機能もサポート
  • システムを柔軟に構築可能
  • ハードウェア構成に関しては、DSP以外すべて顧客側にて選択可能

  • エンコード・スピード・ベンチマーク
      CPU CLOK MIPS[MHz] エンコード・スピード
    DA610 250Mhz 9.5 26倍速
    DA710 300Mhz 7.5 40倍速
    ※MPEG4 AAC LC 128kbps, 44.1kHz Stereoの条件。
    DA710(DA710EVM使用) システム・オーバーヘッドがない場合

  • 将来のリッピングにも対応
    提供するライブラリは、2チャンネルのみならず、5.1チャンネルのエンコーディングにも対応しており、48kHzの条件においてDSPのCPUパワー全体のわずか10%程度の負荷で実行できます。これにより、ステレオソースの録音から、マルチ・チャンネルで超リアルサウンド・臨場感あふれるミュージック・サーバー機能が実現できるとともに、マルチチャネル・オーディオ・デコード処理とマルチチャネルAACエンコード処理を同時実行することによってトランスコーディング機能注2も可能になります。このトランスコーディング処理はすべてフローティングの処理で実行されますので、音質を損なうことがありません。また、複数チャンネルのPCMソースをミキシングし、既存の5.1チャンネルAACデコード対応のAVレシーバへデジタル出力するといったアプリケーションの例が広がります。

  • ハイ・スピード・エンコードとマルチチャンネル・プロセッシングとのシステム統合
    この超高速AACエンコーディング・ソリューションは、Aureus DSPが提供する既存のマルチチャンネル・デコーダ・システムと組み合わせることが可能で、CDをリッピングしながら〝追っかけ再生〟の際のデコーダの後段に、ドルビープロロジックII、DTS NEO:6あるいはバス・マネージメント、GEQ(グラフィック・イコライザー)、さらにはお客様の差別化アルゴリズムを追加することが可能です。また、裏でCDリッピングをしながら、地上波デジタルの5.1チャンネルAACの再生、さらにはその後段にバーチャル・サラウンドによる2チャンネルスピーカー出力やヘッドフォン出力なども可能です。このように、リッピング用DSPと音場処理DSPを1チップに統合することが可能で、機器メーカーはトータル・システム・コストを削減することが可能になります。ハイエンド・マルチチャンネル・オーディオアンプの市場においてトップシェアのAureus DSPを音場処理DSPとして使うことで、オーディオ・ナビゲーション一体型の車載機器や、ミニコンポなどのアプリケーションで最高の音場環境を提供することができます。


注1:リッピング=主にPCやデジタル音楽プレイヤーなどでの再生を目的とする、音楽CDに記録されている楽曲データの抽出から変換、保存までの一連の処理
注2:トランスコーディング機能=フォーマット変換
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