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日本TI、高速インタフェース搭載『TMS320C6455 』DSPのスタータ・キットと評価モジュールを本日より出荷開始

2006年03月01日

日本TI | 日本TI、高速インタフェース搭載『TMS320C6455 』DSPのスタータ・キットと評価モジュールを本日より出荷開始

Serial RapidIOにより最大10ギガビット/秒の
チップ間相互通信を実現
~通信インフラ機器や業務用画像・映像処理向け~
  SCJPR-06-019 2006年3月1日
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、『TMS320C6455』DSPの評価モジュール(EVM)と開発者向けスタータ・キット(DSK)の出荷開始を発表しました。いずれもチップ間相互通信の広帯域規格であるSerial RapidIO(sRIO)バス・インタフェースに対応し、マルチ・プロセッサ構成の採用を促進します。TIはsRIO対応DSPを出荷している唯一の半導体メーカです。
TIの『C6455』DSP とこれらの開発支援ツールを組み合わせることで、ビデオや音声データのトランスコード(変換)、ビデオ会議システム用サーバ、HDビデオ用エンコーディング/ミキシングシステム、携帯電話基地局トランシーバ、HDラジオ、医療用画像診断機器、業務用写真プリンタなどの開発期間の短縮とシステム性能の向上に大きく寄与します。

『C6455』DSP はsRIOインタフェースの搭載によりI/Oのボトルネックを解消しています。具体的にはレイテンシ(遅延時間)の低減、広帯域通信(全2重で10ギガビット/秒)、LPC(Low Pin Count)の相互接続の実現によるものです。この結果、同DSPの処理性能はシステム全体で12倍に向上しました。今回発表する評価モジュール(EVM)とスタータ・キット(DSK)は、『C6455』のマルチ・プロセッサ構成での開発を支援する使い勝手の良い包括的な開発支援ツールです。sRIOインタフェースに加え、サードパーティー各社から提供されるツール、FPGAデバイス、スイッチ、組み込みプロセッサが含まれた両ツールの活用により、開発者は速やかに製品のコード開発に取り掛かることができます。
本件に関する詳細はwww.ti.com/c6455pr(英文)から参照できます。

包括的な開発プラットフォーム
新しく登場した『C6455』評価モジュール(EVM)と『C6455』スタータ・キット(DSK)という2つのツールは、ハードウェアとソフトウェアの両面をカバーした包括的なモジュール開発プラットフォームとなります。『C6455』DSPの評価モジュール(EVM)では、AdvancedTCA® AMC (Advanced Mezzanine Card)コネクタの追加によってsRIO開発を実現していますが、このコネクタはAMCフォーム・ファクタのドーター・カード上にある2個目の『C6455』につながるもので、マルチ・プロセッサ構成の高性能機器の開発向けプラットフォームとなります。プロセッサ間通信は、業界標準のAMCコネクタを経由して10 Gb/s(ギガビット/秒)、4レーンのsRIOバスで行います。このコネクタには、サードパーティー製のsRIO拡張カードをつなぐこともできます。さらにこの評価モジュールは、大容量DDR2メモリに加え、UTOPIAとギガビット・イーサネット MACの両インタフェースを備えます。TIは数々の賞を受けた『Code Composer Studio™ Platinum』統合開発環境(IDE)と、sRIOメッセージ・キューAPI向けDSP/BIOSカーネル・サポートを提供するため、顧客がより高次の抽象レベルで開発に着手できるようにします。これによって市場投入までに要する期間を短縮し、移植作業も容易になります。

高性能・広帯域の『C6455』DSP
『C6455』DSPは、性能の向上、コードサイズの削減、オンチップ・メモリの増大、広帯域統合ペリフェラルの集積(sRIOバスなど)を実現します。なお『C6455』DSPでは、従来の『C64x™ 』プラットフォームへの実装と比較して、処理性能の向上とともにI/O帯域幅が2倍~12倍*に拡張されています。(*システムの設計とアプリケーションの仕様にもよる)

RapidIOインターコネクト・アーキテクチャは互換性が高く、かつ高性能なパケット・スイッチ技術に対応しています。この技術は、帯域幅を拡大し、10Gbps以上の高速でチップ間通信やボード間通信を高い信頼性で行いたいというニーズに応えることができます。sRIOリンクは、1xでも2チャンネルのHD 1080i注1のRAW注2ビデオをデバイス間でやりとりできるだけの帯域幅を提供するうえ、4xリンクとすれば、帯域幅に余裕を持ってHD 1080p注3のRAWビデオをデバイス間でやりとりすることができます。さまざまなトポロジもサポートしていることから、sRIOバスを使用すると、マルチ・プロセッサ構成の開発が容易になるとともに、アグリゲーション・ロジックを不要にすることができます。

価格と供給について
『TMS320C6455』 DSP評価モジュールとスタータ・キットは本日より日本TIの特約販売店から供給されます。推奨販売価格はスタータ・キット(DSK)が62,790円(税込み)、評価モジュール(EVM)が226,170円(同)です。
本件についての詳細についてはTIのホームページwww.ti.com/c6455pr(英文)をご参照ください。


ご参考:RTAによるsRIOの支援について
今回の発表と時期を同じくするニュースに、RapidIO® Trade Association(RTA)発表のsRIO エコシステムがあります。これは、DSP、FPGA、スイッチ、組み込みプロセッサという各種市場の中心となる企業が一堂に会して、強固なsRIOエコシステムを形成し、sRIOの開発を支援するとともに、広帯域幅のチップ間相互通信を推進するものです。
RapidIOインターコネクト・アーキテクチャ(www.RapidIO.org)の推進を目的に設立された会員制の組織です。RTAはTIによる『TMS320C6455』評価モジュールの発表を、Serial RapidIOテクノロジーの進化の中で重要な意味を持つ一歩だとの認識を示しています。TIが2005年にsRIO対応の『C6455』DSPを発表し市場をリードする中、TI、フリースケール、ザイリンクス、ツンドラといった主要な半導体メーカは、製品のサンプル出荷を開始し、2006年2月17日には小規模なプラグ・フェスト(訳注:異なるメーカの製品の相互接続性を検証するための集まり)を実施しています。sRIOの開発システムが利用可能になったことで、カスタマは基板設計に入る前にsRIOシステムの評価とプロトタイピングができるようになりました。つまり、カスタマがsRIOシステムを構築するのに必要なシステム要素が全て入手可能になったのです。

*注1 1080i: 映像信号形式の一つ。走査線1080本のインタレース(飛び越し走査)方式
*注2 RAW形式:未圧縮の状態のデータ。 画像処理等を行う前の「生(なま)」のデータ
*注3 1080p:映像信号方式の一つ。走査線1080本のプログレッシブ方式
※『C64x+』『DSP/BIOS』『Code Composer Studio』『C6000』『C64x』はTexas Instruments社の商標です。その他の全ての登録商標ならびに商標はそれぞれの権利者に帰属します。