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ニュースリリース

TI、同社初のカー・オーディオ用Class-Dアンプを発表

2006年01月06日

~車載オーディオ・システム向けに90パーセントの高パワー効率を実現~
  SCJPR-06-002 2006年1月6日
テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は、自動車市場で必要とされる高い信頼性と独自の要求を満たす、同社初のカー・オーディオ用デジタル・アンプの新製品2種を発表しました。カー・オーディオの付加価値を高めるClass-Dアンプである『TAS5414』と『TAS5424』は高パワー化、高効率化を可能とします。主なアプリケーションはヘッド・ユニットや外部アンプなどの車載オーディオ機器です。本件に関する詳細はTIのホームページ(http://www.ti.com/caraudio1英文)から参照できます。

『TAS5414』はシングルエンド入力、『TAS5424』は差動入力であり、いずれも自動車市場向けに設計された製品で、ノイズや電源の条件が厳しい環境で広いダイナミック・レンジを実現できます。これによって設計者は、製品のシステム性能とコスト要件に合わせた最適なソリューションを選ぶことができます。

比類のない高効率
TIの新しい車載用デジタル・アンプは、超高効率、4チャネルのClass-Dデジタル・オーディオ・アンプです。Class-A/Bアンプでは、通常の電力レベルで40~50パーセント(場合によっては、25パーセント)の効率性しか得られません。『TAS54x4』アンプを使えば、通常の音楽聴取レベルで90パーセントの電力効率を持つ車載オーディオ・システムが完成します。また、『TAS54x4』アンプを2基使用することで、4チャネルのClass-A/Bシステムより少ない発熱量で、8チャネルのオーディオ・システムを実現できます、これによってコスト効果に優れ、軽量化や小型化、電力効率の向上などの付加価値のある全く新しいマルチ8チャネル・オーディオ・システムの製品化が可能となります。また、一般的に4Ω(オーム)のスピーカを接続するClass-A/Bアンプに対し、TIの新しいデジタル・アンプは2Ωまでのスピーカを利用でき、発熱量を削減しながら2倍の出力が得られます。

EMI(電磁干渉)の抑制は、制御系への干渉を防ぐために、車載アプリケーションにおいては非常に重要な要件です。TIはホーム・オーディオ・アプリケーション分野で使用されるClass-Dアンプ製品を数多く揃えており、優れたEMIの抑制機能を実証してきましたが、より規格の厳しい車載用途に対応するものではありませんでした。このEMIの問題を、デジタルPWMトポロジの改良やゲート駆動技術の最適化、AM干渉対策技術(特許取得済み)といった画期的なアーキテクチャとプロセス改良によって根本的に解決したのが、今回発表したTI初のClass-Dアンプ『TAS54x4』です。車載機器メーカは、電力効率に優れたデジタル・アンプを車載アプリケーションに利用することで、シールドなどのコストの高いEMI対策が不要となりました。

Class-A/B型システムでは大型ヒートシンクとファンが必要でしたが、『TAS54x4』は発熱量が少ないため、薄いヒートシンクだけで十分な放熱性能が得られます。この結果、より高機能の、またはより多くの出力チャネルを備えたヘッド・ユニットを小型のスリムライン・パッケージで設計できるようになり、高価な外部アンプの場合もワイヤ・ハーネスが不要となります。SMD(サーフェス・マウント・デバイス)パッケージでは、マウンティング・ブラケットが不要になり、これらのコンポーネントの設置やテストに要する作業量も削減されます。また、診断機能をオンチップで実装しており、ツイーターを始めスピーカの接続とショート・サーキットなどの全てのテストを組立工程中にできるため、ラジオ・ユニットの設置が容易になります。

TIのデジタル・オーディオ担当ビジネス・マネージャ、ジェフ・アクグル(Jeff Akgul)は、次のように述べています。「発熱量を大幅に抑えた『TAS5414』と『TAS5424』の登場により、顧客は全く新しいカテゴリの製品が作れるようになりました。『TAS54x4』デジタル・アンプ製品は、優れた音質と小型化、発熱量の最小化を同時に実現できることから、当社の顧客である車載機器メーカにとっては大きなメリットがあります」

高い信頼性
『TAS5414』と『TAS5424』は、自動車用の厳格な品質基準に応えるため、全く新しい設計となっています。車載機器メーカが要求するDPPM(100万個あたりの欠陥部品数)を満たすため、徹底的なシミュレーションと詳細な分析、ストレス・テストを行いました。また、『TAS5414』と『TAS5424』はいずれも、自動車関連の品質・信頼性の規格として最も厳しいTS16949認証を取得しています。さらに初期故障を無くし信頼性を高めるため、生産時におけるオプションのバーンインも可能です。

供給、パッケージ、価格について
『TAS5414』と『TAS5424』は現在サンプル出荷中で、量産出荷は2006年後半に予定されています。なお、量産開始までにAEC Q100認証*註を取得する予定です。車載向けデジタル・アンプ・パッケージの価格については、下表をご参照ください。

製品名 パッケージ 価格
(1,000個受注時の単価)
TAS5414IDKD 36ピンPSOP3 US$ 9.75
TAS5424IDKD 44ピンPSOP3 US$10.50

TIは、これらの新型デバイス以外にも、さまざまなデジタル・コンポーネントやアナログ・コンポーネントをインフォテイメント、マルチメディア、テレマティクスなどの車載アプリケーション向けに提供しています。

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