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TIが高速エンコーディング対応チップを発表 音楽CDのリッピングが最高20倍速に

2006年01月06日

日本TI | TIが高速エンコーディング対応チップを発表 音楽CDのリッピングが最高20倍速に

~ハイエンド・オーディオ製品のデジタルコンテンツ対応を後押し
メディア・サーバやカーオーディオの機能を一新へ~
  SCJPR-06-003 2005年1月6日
テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は、TIの高性能オーディオDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)プラットフォームであるAureus™ (読み:オーリアス)製品をベースにしたHSE(高速エンコーディング)アプリケーション・ソフトウェアおよびハードウェアを発表しました。コンシューマ向けオーディオ製品分野における、CDからストレージ・メディアへの高速オーディオ・リッピング*のニーズに対応する製品です。これにより、カーオーディオ、HDD(ハードディスク・ドライブ)ナビゲーション・システム、ホーム・サーバ、HDD一体型ステレオ・システムをはじめとする数々のオーディオ関連アプリケーションにおいて、これまで無かった先進の機能が実現できます。
本件に関する詳細は http://www.ti.com/performanceaudio2(英文)から参照できます。

アルパイン株式会社のAVNC-PF開発部 部長 矢澤 猛 氏は次のように述べています。「ナビゲーション市場は競争が激しく、差別化を図るために、常に新しい機能が求められており、新技術の開発・設計を継続的に行っていく必要があります。開発の鍵となるサポート、設計しやすいテクノロジー、HSEなどの先進技術の供給のみならず、コストの削減においてもTIからご支援をいただきました。」

オーディオHSE機能による需要喚起
TIは今回のHSEシステム・ソリューションで、『TMS320DA7xx』Aureus デジタル・オーディオ・プロセッサ・プラットフォームの機能をさらに強化しました。HSE機能は家庭用および車載用オーディオ機器における重要な差別化要素になります。このソリューションにより、CDを高速リッピングしながら、同時に再生も行える、といった新しいオーディオ機能が可能となります。これによって例えば、リッピング作業の完了を待つことなく直ちに楽曲を聴けるような新製品が実現します。

『TMS320DA710』 Aureus DSPはATRAC-3規格では20倍、またMP3、WMA(Windows Media Audio)、AAC(Advanced Audio Codec)、ATRAC-3plusの各規格では12倍と、非常に高速なHSE レートを提供します**。ATRAC-3エンコーダの場合、60分のオーディオCDコンテンツを約5分間でリッピングすることができます。さらに、リッピング中も音楽を再生し聴くことができます。

『TMS320DA710』 Aureus DSPは、多様な新しいインターフェイス機能をサポートすることにより、システム・コストの削減に貢献します。既存のマルチ・チャネル・オーディオのインターフェイスである、S/PDIF、ラジオ チューナへのインターフェイスと同様に、CDとDVDローダ(ATAPI-シリアル)およびHDD、USB、SD/MMC、Disc on Chip、NAND Flashのインターフェイスもサポートしています。Aureus DSPとCDローダやHDDなどを直結できるため、これまで必要であった、これらのインターフェイスを制御するための外付け MCU(マイクロ・コントローラ・ユニット)が不要になり、製品の小型化およびシステム・コストの低減が可能です。

この高速エンコーディング・ソリューションは、Aureus DSPが提供する既存のマルチチャンネル・デコーダ・アプリケーションと組み合わせることが可能で、また各種のエンコーダ・ライブラリやインターフェース・ドライバ、あるいはファイルシステム等をモジュールのように自由に設置・追加・再配置することが可能です。これにより顧客であるメーカ各社は簡単に、かつ短期間で開発が可能となり、市場投入までの時間を短縮することができます。

TIのパフォーマンス・オーディオ・マネージャであるデーブ・メープルス (Dave Maples) は次のように述べています。「私たちは家庭用および車載用オーディオ分野における新しい付加価値を探し続けています。TIのテクノロジーは、先進のオーディオ機能を備えた全く新しい様々なシステムを実現します。例えばこのHSEソリューションによって、圧縮オーディオに対応するカーオーディオやPCを必要としない家庭用メディア・サーバを実現することができ、これまでユーザーが自分でしなければならなかった作業を変えていく可能性を秘めています。」

デジタル・オーディオ市場の拡大
Aureusオーディオ DSP プラットフォームの拡張機能によって、開発各社はマルチメディア市場の最先端領域をさらに拡大すると共に、家庭用および車載用の両分野のアプリケーションにおいてさらに革新的な製品を実現できます。このHSEソリューションは、安価でしかも高速であるため、HDD, USBメモリやNAND型フラッシュメモリにCDリッピングを行う機器に最適です。

圧縮オーディオ対応のカーオーディオやホーム・サーバなどは、このHSE機能を追加することによって、CDからHDDへの高速リッピングをしながら、同時にUSBメモリ、 DVDディスクやHDDに保存されたコンテンツを再生することが可能です。例えば一台の車載オーディオ機器を使って、ドライバーはリッピング作業をしながらCDを聴き、後部座席ではヘッドフォンをつけた同乗者がDVD映画をマルチ・チャンネルやヴァーチャル・サラウンドで楽しめるようになります。

供給について
今回発表された HSE システム・ソリューションは、TIの『TMS320DA7xx』 Aureusオーディオ DSPプラットフォームに搭載され、TIのパートナー企業であるMistral社から供給中です。Mistral社はHSE機能を実装した評価モジュール(EVM)、ハードウェアとソフトウェアのカスタム化、開発・設計サポートなどのサービスを提供します。詳しくは (http://www.mistralsoftware.com 英文) から参照できます。

なおTIでは、低消費電力 Class-D オーディオ・アンプ、高精度のADC(アナログ-デジタル・コンバータ)およびDAC(デジタル-アナログ・コンバータ)、サンプルレート・コンバータ、マイクロフォン・プリアンプ、シングルおよびデュアル出力のLDO(ロー・ドロップ・アウト、低電位差)レギュレータ、低電圧スイッチングDC/DCコンバータ、電源電圧レギュレータをはじめとするアンプ搭載オーディオ・アプリケーション向け高性能アナログおよびミックスド・シグナル・コンポーネントも幅広く提供しています。

* リッピング: 音楽CDに記録されている楽曲をデータとして抽出し、特定のファイル形式(MP3, WMA, ATRAC-3など)に変換した上で、ハードディスク等に格納すること
** いずれもオーバーヘッド無の場合、ATRAC-3plusはスタンドアロン・エンコードのみ