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TIが最新型『OMAP2』プロセッサを発表、携帯電話のビデオ性能が従来比4倍に

2005年11月29日

~携帯電話でデジタル家電並みの映像クオリティを実現、新しいビデオ技術により、H.264とWindows Media Video 9 (VC-1)のビデオ性能を向上~

~携帯電話でデジタル家電並みの映像クオリティを実現、 新しいビデオ技術により、H.264とWindows Media Video 9 (VC-1)の ビデオ性能を向上~

SCJPR-05-101 2005年11月29日

テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は本日、携帯電話のマルチメディア機能を大幅に高める『OMAP™ 2』ベースの新型高性能プロセッサのサンプル出荷を開始したと発表しました。新製品『OMAP2430』アプリケーション・プロセッサは、3G携帯電話のビデオ性能を最大4倍、画像処理性能を最大1.5倍に引き上げ、デジタル家電製品に匹敵するユーザー体験を実現します。また新製品は第一世代の『OMAP 2』プロセッサと比べていっそうの高性能・低価格化を実現しており、マルチメディア性能と柔軟性、消費電力、コストのバランスに極めて優れ、携帯電話で高品質のビデオ体験を実現できます。TIは同時に、『OMAP2430』プロセッサと組み合わせて使うオーディオ/パワー・マネジメント機能一体型デバイス、『TWL4030』も発表しました。この『TWL4030』の併用により、消費電力の削減と携帯電話の小型化をさらに推進できます。

『OMAP2430』アプリケーション・プロセッサと『TWL4030』デバイスはいずれも、通信とエンターテイメントの時代に向けてイノベーションをさらに加速させる、というTIの強い意志を体現した製品です。

最新のビデオ/オーディオ・アクセラレータを搭載
『OMAP2430』には、TIの最新世代のイメージング・ビデオ/オーディオ・アクセラレータ、『IVA™ 2』が搭載されています。TIが最近発表したDaVinci™ テクノロジーにも採用されている信号処理技術の省電力バージョンです。『IVA 2』アクセラレータは、ビデオ性能を従来比4倍、画像処理能力を1.5倍に引き上げ、現行の携帯電話では他に類を見ないほどのシャープな動画・静止画再生を実現します。また『IVA 2』はプログラマブル・エンジンを備えており、新しいコーデック規格やコーデック規格の拡張機能、安定化アルゴリズムなどを素早く組み込み、最終製品の差別化に柔軟に対応可能です。『IVA 2』エンジンはDaVinciテクノロジーとソフトウェア互換性を確保しており、サードパーティ各社も広い市場を対象に事業を展開できます。『IVA 2』を組み込んだ結果、『OMAP2430』プロセッサは高い解像度と低消費電力を実現しながら、市場から強く望まれているデジタル家電並みのユーザー体験を提供できるようになりました。

『OMAP2430』は製造プロセスに漏れ電流の少ないTIの高性能90ナノメートルCMOSテクノロジーを採用しています。本製品は『IVA 2』エンジン以外に、ARM1136 RISCプロセッサ・コアと専用2D/3Dグラフィックス・アクセラレータ・ハードウェアを集積しています。また、高速のUSB 2.0 On-the-Go (OTG) インターフェイスもサポートしており、ノートブックPCなどのモバイル端末とのファイル交換も容易になります。最近、携帯電話上での音声・映像コンテンツの再生が一般化するのに伴い、USB2.0の重要性が急速に高まりつつあります。高度なイメージング・サブシステムは、設計柔軟性を高めるため、パラレル/シリアル接続でのカメラとLCDをサポートしています。その他にも各種ペリフェラルを集積し、端末の最小化と低コスト化に寄与します。

TIの副社長兼ワイヤレス・ターミナルズ・ビジネスユニット、セルラー・システム担当ジェネラル・マネージャ、アラン・マトリシー(Alain Mutricy)は次のように述べています。「この新型『OMAP2430』プロセッサによって、TIは従来以上に低コストで究極の性能と電力効率をお届けします。この性能向上により、端末メーカは、高いエンターテインメント性能を実現し、魅力ある製品を開発できるようになったのです」

卓越したビデオ体験をユーザーに提供
『OMAP2430』は、セキュアなダウンロードが可能なメディアのストリーミングや再生、デジタル・ビデオの録画、静止画のキャプチャ、テレビ電話に3Dゲームなど、3G電話で必要とされる複雑なマルチメディア機能を管理できます。すなわちデジタル家電製品でも最先端とされる諸機能を携帯電話上で実現できるのです。高画質のテレビ画像を端末に提供できる『OMAP2430』プロセッサは、MPEG4フォーマットとWindow Media Video 9(マイクロソフトのSMPTE規格案、VC-1)フォーマットならDVD画質で最大30fps(フレーム/秒)のデコードが行えるほか、H.264とRealVideo® 10ではVGA画質で最大30fpsのデコードが行えます。Window Media Video 9(VC-1)やH.264は従来のコーデックよりも大幅に狭い帯域幅で同等の画質のビデオを伝送できるため、ネットワーク事業者の運営コストも削減されます。『OMAP2430』プロセッサがWindows Media Video 9  (VC-1) やH.264の処理性能をより強力にサポートしたことで、ビデオのキャプチャ、ビデオ再生、デジタルTV(DTV)デコードが可能になりました。加えてH.264ではビデオ会議機能も実現します。世界各国の現行のモバイルDTVデコード規格をすべてサポートする『OMAP2430』プロセッサは、TIのモバイルDTVチップ製品である『Hollywood』との併用にも最適化されています。

マイクロソフトのWindows Digital Media担当ディレクターであるケヴィン・ユーネスト(Kevin Unangst)氏は次のように述べています。「携帯電話通信網を流れるビデオの性能が向上するのに伴い、端末(ハードウェア)にも必要となる要件が出てきますが、数々の次世代ビデオ・コーデックをより優れた性能で処理する『OMAP2430』プロセッサはそれらの要件を満たしてくれます。Windows Media Videoによってもたらされるシナリオが、ネットワーク・プロバイダ各社間で活性化するにつれて、メーカ各社が最新の『OMAP-2』ベースのプロセッサを採用することで、一般消費者にもクラス最高のモバイル・エンターテインメント体験が約束されることでしょう」

TIは今回、『OMAP 2』をベースとしたTIの高性能製品ラインに新製品を追加したことにより、ワイヤレス・アプリケーション・プロセッサ分野におけるリードをさらに広げることに成功しました。大手調査会社のIDCによると、TIはアプリケーション・プロセッサ市場の67パーセントを占めるトップ企業となっています(出典:IDC 2004 Worldwide Applications Processor Competitive Analysis)。

卓越したパワー・マネジメント機能
『OMAP2430』のコンパニオンチップとして位置づけられる『TWL4030』は、オーディオとパワー・マネジメントを一体化させたデバイスで、携帯電話のバッテリ寿命を最大化し、システム性能を高めるために特別に設計された製品です。高い集積度を誇るデバイスで、TIの『SmartReflex™ 』互換の電圧レギュレータと電圧コンバータ、高品位オーディオ/ボイス・コーデック、クラスABおよびクラスDのオーディオ・アンプ、高速USB 2.0 OTGトランシーバ、バッテリ充電回路など、さまざまなパワー・マネジメントとオーディオ・コーデックの諸機能をワンチップに集積しており、基板面積だけでなくシステムコストも大幅に削減できます。
また『OMAP2430』には消費電力をさらに低減するためにTIの『SmartReflex™ 』テクノロジーが採用されています。これは少ないシリコン・プロセス・ノードで携帯電話における消費電力と性能の両立を実現する技術で、バッテリ寿命が長く発熱量の少ない、美しいマルチメディア・モバイル端末を実現できます。

TIの独自技術によりセキュリティ機能を強化
『OMAP2430』プロセッサは、TIの『M-Shield™ 』セキュリティ・テクノロジーを採用し、高レベルのセキュリティが実現できるようになっています。マルチメディア・コンテンツやゲームがもつ高い付加価値が不正に使われないように守り、チケット購入やバンキング、証券取引、ショッピングなどのモバイル・トランザクションも安全に行えるようにできます。『M-Shield™ 』テクノロジーは、『OMAP2430』プロセッサの先進のハードウェア/ソフトウェアのセキュリティ・フレームワークとして、新しい付加価値サービスの実現や端末のセキュリティの向上を実現し、ネットワーク事業者やコンテンツ・プロバイダ、メーカが機密性の高い資産や使用権を安全に取り扱えるようになるとともに、収益が確実に入るように保護することができます。搭載されている機能には、認証ソフトウェアだけを端末にロードできるセキュアなフラッシングとブーティングの機能や盗難時に携帯電話を使えなくする端末IDの保護機能、ユーザーが勝手にネットワークを切り替えられないようにするネットワーク・ロック機能などがあります。

ソフトウェアとアプリケーション、サポート:主要OSを全てサポート
他の『OMAP』プロセッサすべてと同様、『OMAP2430』プロセッサもOMAPエコシステムによりサポートされます。これはOMAPデベロッパー・ネットワーク、つまり、ソフトウェアおよびハードウェアのサードパーティ・デベロッパーとシステム・インテグレータ、開発ツール・プロバイダによる世界的なネットワークです。『OMAP2430』プロセッサはLinux® 、Symbian OS™ 、Windows Mobile™ と主要な高級OS(HLOS)をすべてサポートしており、メーカもモバイル・ネットワーク事業者も、堅牢で柔軟なアプリケーション・アーキテクチャを活用しつつ、使いやすくてリッチなユーザー・インターフェイスをカスタマイズし、個々の製品の差別化を進められます。
TIは携帯電話で主要HLOSのすべてをサポートした初めてのワイヤレス・システム・ベンダーです。その結果、HLOSをベースとするスマートフォン端末の大部分がOMAPプラットフォームに基づくものとなっています。

供給およびパッケージについて
TIの『OMAP2430』アプリケーション・プロセッサは本日よりサンプル出荷を開始し、量産開始は2006年第3四半期を予定しています。『TWL4030』は2005年末までにはサンプル出荷を開始し、同じく2006年第3四半期には量産を開始する予定です。『OMAP2430』デバイスは、基板面積を節約できるように、業界標準メモリとのパッケージ・オン・パッケージを完全にサポートしています。『OMAP2430』プロセッサに関する詳細は、www.ti.com/omap をご覧ください。

TIの ワイヤレス技術への取り組み
ワイヤレス向け半導体のリーディング・メーカであるTIは、コア・テクノロジーを提供し、次世代ソリューションを開発しています。TIはシリコンとソフトウェア全般と共に、全ての通信規格に対応する携帯電話端末から基地局までを含む各種ソリューション、無線LAN、GPS、デジタルTV、Bluetooth、UWB(ウルトラ・ワイドバンド)にまで及ぶ広範囲な通信分野において、16年に及ぶ無線技術向けシステム専門技術を有しています。さらに、先進的な半導体プロセスをベースに、チップセットからリファレンス・デザインまでの包括的なソリューション、OMAP™ アプリケーション・プロセッサ、コア・デジタル・シグナル・プロセッサおよびアナログ技術によるターンキー・ソリューションを顧客に提供するとともに、カスタマイズの要求にも対応します。 本件に関する詳細は http://www.ti.com/wirelesspressroom (英文)から参照できます。

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※「OMAP」、「IVA」、「DaVinci」、「SmartReflex」ならびに「M-Shield」はTIの商標です。
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