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TIの新しいDSP開発環境、組み込み開発者の負担を軽減

2005年07月12日

TIの全DSP製品に対応する「マルチプラットフォーム化」を実現新機能の搭載により、デバッグ効率を大幅に改善

TIの全DSP製品に対応する「マルチプラットフォーム化」を実現 新機能の搭載により、デバッグ効率を大幅に改善

SCJPR-05-056 2005年7月12日

日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎 俊行、略称:日本TI)は本日、DSP開発者向けの統合開発環境*(IDE)の最新版、『Code Composer Studio™ Version 3.1 Platinum Edition統合開発環境(IDE)』(以下CCStudio Platinum)を発表しました。この最新版では、TIの全てのDSP製品に対応する「マルチプラットフォーム化」を実現しました。また新機能の搭載によりデバッグの際のやり直し時間を最大80パーセント**短縮するなど、開発者の生産性を飛躍的に高めます。組み込み開発の現場でプログラマの負担が増大する中、使い勝手の良い統合開発環境を提供することで、DSP製品の採用を促進します。
『CCStudio Platinum』は、本日より日本TIの特約店を通じて販売します。

マルチプラットフォームでTIの全てのDSP製品に対応
『CCStudio Platinum』は『TMS320C6000™ 』、『TMS320C5000™ 』、『TMS320C2000™ 』、『OMAP™ 』といったTIの全てのDSP製品群をサポートします。
現在、DSPはデジタル家電、産業機械、制御機器、通信インフラなど広範囲のアプリケーションに採用されています。これらアプリケーションの高性能化に伴い、DSP処理に必要となるプログラムコードは数十万行規模へと飛躍的に増大しています。このように複雑化したシステムでは、必要な規模のプログラムを実行させるために、複数のDSPプロセッサ(マルチプロセッサ)や種類の異なるDSPファミリを組み合わせた設計(マルチプラットフォーム)を採用するケースが増えています。 しかしながら、従来のマルチプラットフォームの設計・開発においては、DSP製品別に異なる統合開発環境(IDE)を使い分ける手間がありました。
最新版の『CCStudio Platinum』ではIDEを一元化させることで、複数のIDEを使う煩わしさが無くなります。同時に、ツール群のメンテナンスとアップデートの手間も一度で済ませることができます。さらに価格面でも、従来は4種のIDEの購入が必要だったのが1種のみで済むため、ユーザにとっては大きな負担減となります。これらのメリットによって、新しいIDEは組み込み開発に携わるメーカおよびプログラマの負担を大幅に削減します。

開発現場の負担を軽減する『CCStudio Platinum』の新機能
組み込み開発の現場では現在、プログラムの不具合の追跡(デバッグ)や検証などに伴う「やり直し」や「再起動」に多くの時間と労力がかけられています。通常、プログラムの開発にかかる時間の60パーセント以上が、コードのデバッグに費やされると言われています。これまでソースコード上の問題点を見つけるには、何度もプログラムの最初まで戻って1ステップずつ繰り返す作業が必要で、この「やり直し」が大きな時間ロスとなります。また不具合が生じた場合の問題の切り分けに際し、評価ボードを脱着してコンピュータを再起動させる手間も、検証作業の妨げとなっていました。
『CCStudio Platinum』は二つの新機能の追加により、これらの「やり直し」や「再起動」の必要を無くし、開発者の負担を軽減します。

  • CC Studio Rewind(巻き戻し機能)
    業界初のDSPソフトウェア技術となる「CC Studio Rewind(巻き戻し)機能」により、開発者はソースコード内を、前後の任意のポイントを指定して自由に移動できます。従って、プログラムをリロード(再読み込み)し、何度も最初から順を追ってコードエラーを探す時間が削減されます。この機能は標準のステップ命令や実行命令の実行履歴を記録しているため、プログラムを前の段階から状況を確認したりコードを走らせたりすることができます。なお通常のアプリケーションの実行の間に記録が保存されるため、シミュレーション速度が落ちることはありません。

  • 接続・切断機能(Connect/Disconnect)
    ハードウェアとソフトウェアが同時にデバッグされているとき、ソフトウェア・アプリケーションがターゲット・ボードとの接続性を失うことはめずらしくありません。「Connect/Disconnect(接続・切断機能)」は、デバッグ中にハードウェア・ターゲットを切り離し、再接続時に前のデバッグ状態に回復する機能です。デバッグ障害時にリセットや再起動の繰り返しに費やされた何十分もの時間が不要となり、またデバッグ途中で検証作業中のボードを既知の良品ボードと交換して作業を続行できるなど、プログラマの時間と手間が大幅に削減されます。

設計フロー全体を通じて生産性を向上
『CCStudio Platinum』のその他の新機能は次の通りです。

  • コードライト・エディタ(Code Wright™ Editor)
    DSPコード記述やデバッグ用途として、米国の開発者に最も広く使われているエディタ製品「Code Wright™ Editor」を統合。開発者はこのエディタが持つ豊富な機能セットを開発環境下で自由に利用できます。

  • コンポーネント・マネージャ(Component Manager)
    特定のコンパイラやDSP/BIOS™ のバージョン情報にロックをかける機能を搭載。これによって、設計ニーズに応じて異なるバージョンのコンパイラやDSP/BIOSを容易に使い分けることができます。

  • チューニング・エディション(CCStudio Tuning Edition)
    全てのTIプラットホームで利用できるチューニング・ツールを搭載。プログラムコードを自発的にレビューし、改善の余地のある領域を追跡、プログラマがシステム性能とメモリ使用量を最適化できるよう自動的に提案します。

そのほか、新製品の機能の詳細については、以下のURLをご参照ください。
http://focus.tij.co.jp/jp/dsp/docs/dspsupport.tsp?sectionId=3

価格と供給について
『CCStudio Version 3.1 Platinum Edition IDE』には、リファレンス・フレームワーク、プロジェクト・マネージャ、コード生成ツール、Code Wrightエディタ、高速シミュレータ、DSP/BIOSリアルタイムOS、デバッグおよび解析ツール、ドライバ、およびソフトウェア・ライブラリが含まれます。 このIDEをいったんインストールすることで、TIの全ての『TMS320™ DSP』とOMAPプラットホームがカバーできます。 『CCStudio Platinum』は483,000円(日本TIの販売特約店経由の推奨販売価格、税込み)で本日より提供します(15ヶ月のアップデート・サービスを含む)。120日間無料で試用できる評価版のCD-ROMは以下のURLから申し込みができます。
http://focus.tij.co.jp/jp/dsp/docs/dspsupport.tsp?sectionId=3

「ウェルカム・バック・キャンペーン」について
日本TIでは本日より、『CCStudio Platinum』へのアップグレードを促進する「ウェルカム・バック・キャンペーン」を展開します。現行バージョンのユーザはもちろんのこと、過去に『CCStudio』を使用し、ライセンス期限が切れたままの「元ユーザ」であっても、この機会に年間保守サービスが半額になる等の特典と共に最新版を入手できます。 キャンペーンの詳細は以下のURLをご参照下さい。
http://focus.tij.co.jp/jp/dsp/docs/dspsupport.tsp?sectionId=3

文中備考: *統合開発環境:Integrated Development Environment (IDE) : プログラム開発に必要な一連のツール(エディタ、コンパイラ、デバッガなど)を、一つのインターフェースから扱えるようにしたプログラム開発環境。TIではユーザおよびサードパーティ各社のDSP向けプログラム開発を支援するために、独自のIDEである『Code Composer Studio』を提供している

**TI調べ。8,000行のオーディオ・アプリケーション・コードで5つのブレイクポイントを設定しMP4 DellラップトップPCにて実測。CCStuidoの再起動からアプリケーション再デバッグまでにかかる時間と、「Connect/Disconnect(接続/切断)」機能を使用した再デバッグまでの時間を比較

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