
世界の人々の健康のために、最先端の科学を追求し、より良い社会の実現を目指す社員の想いを紹介します
革新的なソリューションを急いで患者さんに届けなければ。それがアステラスの製薬技術担当Chief Manufacturing Officer(CMfgO)であるRao V. Mantri(以下、ラオ)の原動力です。
アステラスの製品開発・製造部門は、世界10カ所の生産拠点で50以上の製品の製造・供給を担い、患者さんに「価値」をより早く届ける上で重要な役割を果たしています。ラオはこれまで25年間、創薬から商業化まで、医薬品バリューチェーン全体にわたるキャリアを築いて専門性を確立し、2025年にアステラスに入社しました。
ラオは、製品開発の加速と、高品質な製品をグローバルで効率的に安定供給することが成功の鍵であると考えており、その実現に向けてチームを支え、リードしています。情熱、イノベーション、そしてスピード感は、アステラスが目標を達成する上で欠かせない重要な要素である、と彼は語ります。

Rao V. Mantri, Chief Manufacturing Officer (CMfgO)
ラオは、ヘルスケア分野での公私にわたる経験を通じ、科学の力で革新と商業化を実現し、患者さんに医薬品を届けることが自らの使命だと考えています。これには、患者さんのニーズや医薬品へのアクセス、そして臨床で何が必要かを理解することが重要です。
アステラスの製品開発・製造チームでラオが大切にしているのは、ゴールから考えるということです。通常、製品ライフサイクルでは、創薬から開発、そして製品化という見方をしますが、ラオのアプローチはその逆です。製品が患者さんの手元に届いてから得られる知見をライフサイクルの早い段階に取り入れ、開発全体のスピードを上げています。
「最終的にどのような目標を達成すべきか、そしてその実現に向けてどのように取り組んでいくのか」をラオは常に問いかけます。
患者さんを中心に考えた製品の安定供給という最終目標に向かって、製品の実際の使用状況を理解しながら、アステラスでは開発段階において製品や製造プロセスの設計を行います。そのためには、研究段階において、候補となる医薬品が適切な特性を備えていることが求められます。さらに、患者さんの多様なニーズを踏まえた製品や製造プロセスの設計も必要です。このアプローチにより、患者さんの治療体験が向上し、治療の継続性が高まるだけでなく、安全性や有効性、さらには治療へのアクセスの改善にもつながることがあります。
患者さんとそのご家族に人生を変える希望を提供するという思いは、ラオにとって個人的な原動力でもあります。ラオは、数年前に筋層浸潤性膀胱がんで亡くなった叔父のことをよく思い出します。ラオは、叔父の影響で製造に関わる仕事を志しました。叔父が闘病中、治療のためにインドから渡米したことで、ラオは、患者さんや介護者の立場を直接経験することになりました。この経験を通じ、革新的な医薬品を迅速に届けることの重要性を改めて実感しました。ラオを知る人たちは、スピード感を重視する彼の信念を理解しています。
「身近な人ががんを患ったり、がんで亡くなったりした経験は、多くの方にあると思います」とラオは述べます。
「だから私たちはみな、緊迫感をもって仕事をする必要性を実感しています。私たちは人間味のある仕事をしなくてはいけません。とても大切なことです」
最近アステラスに入社したラオは、協力しあう組織風土とチームの強いコミットメントに感銘を受けています。ラオは、製薬技術を通じたイノベーションを推進し、患者さんに貢献できることに大きな期待を寄せています。製品や製造プロセスの設計や、高品質で安定した供給により、安全性や有効性を向上させられることもあります。具体例としては、あらかじめ薬剤が注射器に充填された状態で供給されるプレフィルド・シリンジの導入で投薬の負担を軽減したり、点滴投与から皮下投与への切り替えにより安全性の管理や投与頻度の改善につなげたりすることが挙げられます。
アステラスは組織全体にわたって日本語のモノづくりをベースとしたMONOzukuriという理念を浸透させ、チーム間の連携を大事にしています。これは、ビジネスエコシステムにおける差別化につながっています。
業務効率の向上と原価の最適化を図るとともに、製品開発・製造の部門では、イノベーションを通じてパイプラインを加速することを目指しています。これは、アステラスの競争優位性につながる可能性があります。患者さんに迅速に製品を届けるという重要な役割を担うラオのチームは、誠実さとスピード感をもって業務に取り組んでいます。
ラオは、「私たちは大きな誇りをもって、患者さん、ご家族、そして医療従事者が使う製品の設計、開発、製造、供給を実現しています」と語ります。
アステラスは、事業のあらゆる側面でサステナビリティに力を入れており、ラオは開発や製造、供給の日々の業務におけるチームのコミットメントに刺激を受けています。輸送の評価や環境に配慮した薬剤包装、廃棄物の測定方法など、様々な場面でサステナビリティが意識されています。
ラオは、「チームや個人の力を結集することで、サステナビリティを向上させるためのイノベーションを推進しています」と説明します。
製品開発・製造の部門は、アステラスのサステナビリティ目標を達成する上で非常に重要な役割を果たしており、自主的な取り組みも含め、チームはこの理念を日々の業務に根付かせています。ラオは、より持続可能なプロセスを長期的に導入する機会がたくさんあると考えています。
世界中の人々に製品を提供する中で、価格設定や地政学的要因、環境問題など、外部からのさまざまな要請もあります。そのため、高品質な製品供給を維持し、コスト効率を高めるための対策がますます重要になっています。ラオは、チームがこれらの課題に対処する準備を整えておく必要があると述べています。
「今後ますます効果的かつ効率的に業務を行う必要があることには、疑いの余地がありません。外部からのプレッシャーは今後も続くでしょうから、これは当然のことです」
機械学習や人工知能、ロボティクスといった技術革新が大きく進んでおり、ラオは、研究所や生産拠点が近い将来、これらの技術をより速いスピードで統合していくことになると考えています。これらの革新的な技術は、アステラスのような企業が生産工程でかかる時間を短縮するほか、グローバルな製品の輸送を改善し、より幅広い患者層が製品にアクセスできるよう大きく貢献するだろうと彼は述べています。
「ビジョンを実現するには、スピード感を持って取り組む必要があります」とラオは強調します。
医薬品の製造は、人々の健康に影響を与え、それを世界中で実現する重要な仕事です。「この業界で活躍するなら、今こそ絶好のタイミングです。困難に立ち向かう力が必要ですが、イノベーションが起きる素晴らしいところです」とラオは語ります。
壮大なアイデアによって科学が進歩するのではありません。大きなアイデアは常に存在しており、技術を応用することで、患者さんのために革新的な科学を進展させることができるとラオは考えています。
「最高の時は、まだこれからです」