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本記事は、実際の患者さんの体験談を紹介しています。特定の患者さんの体験を紹介したものであり、典型的な患者さんの体験を紹介するものではありません。また、特定の治療法や医薬品の推奨を行うものではありません。気になる症状や医学的な懸念がある場合、また、適切な診断と治療を受けるためには適切な医療機関を受診ください。
X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)の症状は、生後すぐに現れることがあり、多くの子どもたちは生後数か月間、病院での治療を繰り返しながら過ごします1。この疾患を抱える子どもたちは非常にデリケートな状態にあり、生命維持のために人工呼吸器をつけ、専門家らが常に心拍をモニタリングしています。
また、XLMTMを抱える子どもたちは呼吸器感染症のリスクが高く、24時間体制の継続的なケアが必要です。さらに、この疾患には現在有効な治療法が限られており、現時点では症状の管理と生活の質の改善が最大の焦点となっていて、患者さんと家族にとって非常に厳しい状況です。

Lucy James
Asset Lead
XLMTMは、骨格筋細胞の正常な発達、成熟および機能に必要なタンパク質であるミオチュブラリンの欠損または機能不全をもたらすMTM1遺伝子変異によって引き起こされる希少疾患です2。アステラスでXLMTMプロジェクトを担当するLucy James(以下、ルーシー)は、「この疾患は筋肉の機能を失わせ、座る、ハイハイする、泣く、話す、食べるといった基本的な動作が困難になります」と説明します。
この疾患は、X染色体上にある遺伝子の異常によって引き起こされるため、男子に好発します。これは、男子はX染色体を1本しか持たないため、2本持つ女子に比べて発症リスクが高くなるからです。この疾患は新生児男子およそ50,000人に1人の割合で発症するとされ3、XLMTMを持って生まれた男子の約半数が生後18カ月を超えて生存するのが難しいとされています。女子もこの疾患の保因者となる場合がありますが、重い症状を発症するケースは少ないとこれまでは考えられてきました。しかし近年では、遺伝子の発現の仕方によっては、女子も症状を引き起こしたり、重症化したりする可能性があることが徐々に明らかになってきました4,5。

Chelsea Moran
Patient Partnerships
Lead, Established and
International Markets
しかし、この希少疾患の未来は少しずつ変わりつつあります。アステラスは、この希少疾患に新たな未来をもたらすため、XLMTMコミュニティやその家族、研究者らと協力して、疾患に対する理解の促進とこの疾患を抱える子供たちとその家族へのケアの向上に取り組んでいます。
アステラスのエスタブリッシュド・マーケットおよびインターナショナル・マーケットのペイシェント・パートナーシップをリードする Chelsea Moran (以下、チェルシー)は「私たちは、XLMTMに対する研究と治療法の開発が急務であることを理解すると同時に、科学的な発見に基づくだけでなく、コミュニティに耳を傾け、患者コミュニティにとって真に価値ある支援を届けていきたいと考えています」と語ります。
多くの親は、生後早い段階で赤ちゃんに何らかの兆候が見られることに気づきますが、診断がつくまでの長い間、不安な日々を過ごします。例えば、赤ちゃんが動きづらかったり、呼吸や授乳に困難を感じているような症状が現れることがありますが、その原因を特定するには時間がかかるケースがほとんどです。
さらに、XLMTMは極めて稀な疾患であるため、家族歴が明確でない限り、出生前に特定されることはほとんどありません。現在、この疾患は標準的な出生前検査の対象には含まれておらず、妊娠中に胎動の減少や羊水過多といった症状が見られる母親であっても、出産前に疾患が発見されることは非常に稀です。
出生後も、確定診断への過程は同じように困難を伴います。神経筋疾患は初期段階では似たような症状を示すことが多く、遺伝子検査がすぐに利用できるとは限りません6,7,8。診断へのプロセスは数か月にも及ぶこともあり、その間、親は赤ちゃんの状態について何も分からない不安な状況に置かれることになります。
しかし、時には適切な専門医との出会いが状況を一変させることもあります。XLMTMの微妙な兆候を見分け、他の神経筋疾患と区別できる専門家がいて、そのような専門医に適切なタイミングでかかることができれば、子どものケアや予後に大きな違いをもたらす可能性があります。
Anne Lennox (以下、アン)さんは、XLMTMを持って生まれた息子のトムさんを出産しました。幸いなことに、アンさんは友人を通じてロンドンの専門医にトムさんを診てもらう機会に恵まれました。アンさんは主治医から「XLMTMという病気です」と伝えれらた時のことを振り返って、「それは決して良い知らせではありませんでした。それでも、トムの病状がわかり、やっと一人の人間として温かく受け入れてもらえた気がしました」と言います。
XLMTMの子どもに適した専門的なケアを受けられる施設を見つけることは、家族にとって非常に大きな課題です。この疾患に特化した治療を受けられる施設は限られており、家から遠く離れた場所でケアを受けなければならない場合があります。そのため、多くの家族が病院と自宅を往復する生活を余儀なくされるか、一部の家庭ではケアセンターに近い一時的な住居に移り住む選択をしています。
Erin Ward (以下、エリン)さんは、2001年に息子のウィルさんが生まれた際、ボストン小児病院の近くに住んでいたおかげで、ウィルさんのために支援体制を整えることができたと語ります。しかし、ほとんどの家族にとって、特に大きな医療施設から離れた郊外に住む人々にとって、これは例外的なケースです。
また、XLMTMの子どもを効果的に支援する医療システムが整備されておらず、親が主体となってケアを管理しなければならない状況に置かれています。それに加えて、専門医と連携しながら最適なケア方法を決定するという重大な役割や責任も担わなければなりません。エリンさんは、「親が主体となってすべてのケアの決定と調整を行うのは責任重大でした。これまでも、そして今でも、リソースが限られている中で、高度な医療機器を扱いながら自宅でケアをするというのは極めて困難です」と言います。
診断検査や専門的なケアの提供は国によって、時には同じ国の中でも、大きく異なります。一部の国では遺伝子検査や在宅ケアのサポートがすぐに利用できるのに対し、ほとんど提供されていない国もあります9,10。
また、常にケアが必要という状況は、家族全体の生活に影響を及ぼします。親はフルタイムで介護をするためにキャリアを中断することがあり、その結果、精神的・身体的な負担がかかることもあります。さらに、家族の関係にも影響を与え、日常生活の習慣が変化することもあります。兄弟姉妹は、絶え間ない医療ケアの中で早く大人びてしまうことがあると言われています。
アンさんは、「娘(トムさんの姉)は、他の子どもとは異なる人生を送ってきました。4歳の時には、弟トムの唇の色を見て、酸素の状態を判断できるほどでした」と語ります。
チェルシーは、患者さんの家族のことを、XLMTMと向き合いながら生活しケアを続けるという困難に直面しながらも「これまで出会った中で最も素晴らしい人々」と語ります。
彼らの間には、規模は小さいものの強い結束力を持つコミュニティが生まれています。このコミュニティは、新しい家族を暖かく迎え入れ、そのニーズを代弁し、同じ経験を共有してきた人たちにしか与えられない支えを提供しています。「このコミュニティには、たくさんの愛と希望、そして喜びがあります。そして、それをみんなで分かち合えることがとても大切なのです」とチェルシーは話します。
この支えの手を差し伸べようとするのは、コミュニティ内の人々だけではありません、とアンさんは言います。「私たちの人生には、寛大な心を持った人たちが集まり、結果として素晴らしい人たちに囲まれています」
XLMTMと共に生きる家族たちは、小さな喜びを見つけ、人生の節目の一つ一つを祝福することに全力を注いでいます。アンさんは、息子のトムさんが初めて自分の体を支えられるようになった瞬間を今でも鮮明に覚えています。また、エリンさんは、息子のウィルさんが高校を卒業したことをずっと誇りに思っていると言います。
「外から見れば、私たちの生活には課題が多いように見えたかもしれません。でも、多くの喜びもありました。一番の恵みは、一瞬一瞬が大切で、価値のあるものだったこと。そして、それが私たちの生き方であり、誇りであることは今も変わりません」とエリンさんは振り返ります。

現在、XLMTMのケアに対する治療オプションが限られている中、この疾患と向き合う家族たちは、依然として疾患特有の課題に直面しています。アステラスは、患者さんやご家族の声に耳を傾け、医師らと密に連携し、彼らのコミュニティとの信頼関係を築きながら、彼らのニーズを深く理解することが不可欠だと考えています。
ルーシーは、「現在、私たちが行っているのはEXCELと呼ばれる非介入型の研究です。この研究は、治療やケアに直接介入することなく、XLMTMの自然経過、特にミオチュブラリンの欠如が肝臓を含むさまざまな臓器にどのような影響を与えるかを理解することを目的としています。患者さんを現在の標準的な治療に基づいて丁寧に見守ることで、将来の臨床試験に役立てるだけでなく、今の患者さんのケアに活かせる大切なヒントを見つけたいと考えています」と説明します。
さらに、チェルシーは、「XLMTMの早期診断が家族にとって大きな課題であることを受けて、アステラスのメディカルアフェアーズチームは、患者さんや医師で構成される委員会と協力し、病院で使用できる診断アルゴリズムの開発にも取り組んでいます。これにより、赤ちゃんにXLMTMが疑われる症状が現れた際に、診断を進めるべきかどうかを判断できる仕組みを提供することができるようになるでしょう」と語ります。
アステラスは、XLMTMの研究を進めるとともに、臨床および患者コミュニティと緊密に連携してこの疾患がもたらす課題の解決に取り組んでいます。ルーシーは「この疾患の名前を耳にしたことがない人も多いかもしれません。だからこそ、私たちは研究を進めると同時に、その認知度を広げるための活動にも力を入れています」と語ります。
1 X-linked myotubular myopathy - symptoms, causes, treatment: Nord. National Organization for Rare Disorders. October 29, 2024. Accessed October 1, 2025. https://rarediseases.org/rare-diseases/x-linked-myotubular-myopathy/.
2 X-linked Myotubular Myopathy | Boston Children’s Hospital. Accessed October 1, 2025. https://www.childrenshospital.org/conditions/x-linked-myotubular-myopathy.
3 Therapeutics A. Looking ahead to a brighter future for XLMTM. XLMTM. Accessed October 20, 2025. https://www.xlmtm.com/.
4 Graham RJ, Muntoni F, Hughes I, et alMortality and respiratory support in X-linked myotubular myopathy: a RECENSUS retrospective analysis Archives of Disease in Childhood 2020;105:332-338. Accessed October 1, 2025, https://adc.bmj.com/content/105/4/332.
5 Duong T, Haselkorn T, Miller B, et al. A real-world analysis of the impact of X-linked myotubular myopathy on caregivers in the United States. Orphanet Journal of Rare Diseases. 2025;20(1). doi:10.1186/s13023-025-03583-w
6 XLMTM diagnosis versus other neuromuscular disorders. XLMTM. Accessed October 1, 2025. https://xlmtm.com/differential-diagnosis/.
7 North KN, Wang CH, Clarke N, et al. Approach to the diagnosis of congenital myopathies. Neuromuscul Disord. 2014;24(2):97-116. doi:10.1016/j.nmd.2013.11.003
8 Gangfuss A, Schmitt D, Roos A, et al. Diagnosing X-linked Myotubular Myopathy - A German 20-year Follow Up Experience. J Neuromuscul Dis. 2021;8(1):79-90. doi:10.3233/JND-200539.
9 Sacks NC, Healey BE, Cyr PL, et al. Costs and health resource use in patients with X-linked myotubular myopathy: insights from US commercial claims. J Manag Care Spec Pharm. 2021;27(8):1019-1026. doi:10.18553/jmcp.2021.20501
10 Souza PVS, Haselkorn T, Baima J, et al. A healthcare claims analysis to identify and characterize patients with suspected X-Linked Myotubular Myopathy (XLMTM) in the Brazilian Healthcare System. Orphanet J Rare Dis. 2024;19(1):188. Published 2024 May 7. doi:10.1186/s13023-024-03144-7