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抗体-薬物複合体PADCEV™(エンホルツマブ ベドチン)筋層浸潤性膀胱がんを対象とした第III相 EV-303試験の結果を2025年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表
2025年10月20日

- 術前術後の補助療法として併用療法群は再発、病勢進行または死亡リスクが
60%減少、死亡リスクが50%減少 -

- シスプラチン不適応の筋層浸潤性膀胱がん患者に対する
新たな標準治療となる可能性を示唆 -

アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Pfizer Inc.(本社:米国ニューヨーク州、以下、「Pfizer」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)であるPADCEVTM(一般名:エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え))とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)の抗PD-1抗体KEYTRUDA®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))の術前術後の補助療法としての併用療法と現在の標準治療である手術単独(膀胱全摘除術)を比較する第III相EV-303試験(KEYNOTE-905試験)において、併用療法が、無イベント生存期間(Event-Free Survival:EFS)および全生存期間(Overall Survival:OS)の有意な改善を示したことをお知らせします。この試験はシスプラチン不適応またはシスプラチンを用いた化学療法を拒否した筋層浸潤性膀胱がん(Muscle Invasive Bladder Cancer:MIBC)患者を対象としています。本併用療法は、シスプラチン不適応のMIBC患者に対する術前術後の治療法として、生存期間の改善を示した唯一の治療法です。結果の詳細は、ドイツのベルリンで開催されている2025年欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology:ESMO)で発表されました(抄録番号 #LBA2)。

EV-303試験における有効性の最初の中間解析において、主要評価項目であるEFSに関して、併用療法群は手術単独群と比較して腫瘍の再発、病勢進行または死亡のリスクが60%減少しました(ハザード比[Hazard Ratio:HR]=0.40, 95%信頼区間[Confidence Interval:CI]:0.28-0.57; P<0.0001)。併用療法群のEFSは中央値には到達しませんでした。手術単独群のEFSの中央値は15.7ヶ月でした。2年後にイベントが発生しなかった割合は、併用療法群が74.7%であったのに対し、手術単独群では39.4%でした。

主要な副次評価項目であるOSに関しては、併用療法群は手術単独群と比較して死亡リスクが50%減少しました(HR=0.50, 95% CI:0.33-0.74; P<0.0002)。併用療法群はOSの中央値には到達しませんでした。手術単独群のOSの中央値は41.7ヶ月でした。2年後の生存率は、併用療法群が79.7%であったのに対し、手術単独群では63.1%でした。

年齢、性別、喫煙状況、PD-L1の発現状況を含む事前に規定されたすべてのサブグループ、およびシスプラチン不適応(不適応vs適応はあるがシスプラチンを用いた化学療法を拒否)、病期、地域に基づいて治験実施計画書で規定された層別グループにおいて、一貫したEFSおよびOSの改善がみられました。 

EV-303試験における併用療法群の安全性は、以前に報告した試験と同様の結果で、新たな安全性上の問題は確認されませんでした。併用療法群における最も一般的な有害事象(AE)は、掻痒(かゆみ)、脱毛、下痢、疲労、貧血であり、いずれも30%以上の発生率でした。原因を問わないグレード3以上のAEの発生率は、併用療法群が71.3%、手術単独群では45.9%でした。

その他の副次評価項目である病理学的完全奏効(pathological Complete Response:pCR)率に関しては、術前補助療法として、併用療法群が57.1%、手術単独群では8.6%でした(推定差48.3%; 95% CI:39.5-56.5;p<0.000001)。

膀胱がんは、世界で9番目に多いがんであり、世界中で毎年614,000人以上が膀胱がんと診断されています1 。MIBCは膀胱がんの約30%を占め2、現在の標準治療はシスプラチンを用いた術前化学療法とそれに続く手術であり、生存期間の延長が認められています3。しかし、MIBC患者の約半数がシスプラチン不適応であるため、手術以外の治療選択肢が限られています3

現在、シスプラチン不適応のMIBC患者における術前術後の補助療法として、PADCEVTM とKEYTRUDA®の併用療法は承認されていません。今後EV-303試験の結果は、承認申請の可能性を検討するために規制当局と協議する予定です。また、シスプラチンを用いた化学療法に適応のあるMIBC患者において、術前術後の補助療法として本併用療法を評価する第III相EV-304試験(KEYNOTE-B15試験)が進行中です。

EV-303試験は、副次評価項目である術前術後の補助療法としてのKEYTRUDA®単独療法群と手術単独群を比較した、EFS、OS、pCR率の評価を引き続き継続しています。

アステラス製薬は、患者さんに新たな治療選択肢を提供することで、アンメットメディカルニーズの高い膀胱がんの治療に一層の貢献をしていきます。

EV-303試験(KEYNOTE-905)について

現在進行中のEV-303試験は、シスプラチンを用いた化学療法に不適応のMIBC患者、またはシスプラチンを用いた化学療法を拒否したMIBC患者を対象に、術前術後の補助療法としてエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法またはペムブロリズマズ単剤療法と、手術単独群を比較評価する、非盲検無作為化3群間比較の第III相試験です。被験者は、ペムブロリズマブ群、手術単独群、併用療法群に無作為に割り付けられました4

主要評価項目は、併用療法群と手術単独群を比較したEFSです。これは、次のいずれかのイベントの最初の発生までの時間として定義されます:膀胱全摘除術(Radical Cystectomy: RC)を妨げる病勢の進行、残存病変を有する患者がRCを受けられなかった場合、手術時に残存する肉眼的残存病変、画像検査および/または生検によって評価された局所または遠隔の再発、原因を問わない死亡。主な副次評価項目は、併用療法群と手術単独群を比較したOSならびにpCR率、およびペムブロリズマブ群と手術単独群を比較したEFS、OS、pCR率です4

EV-303試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov.を参照ください。

PADCEVTM(エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え))について

エンホルツマブ ベドチンは、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に関連するタンパク質であるネクチン-4を標的とするファーストインクラスのADCです5。非臨床試験データから、エンホルツマブ ベドチンの抗腫瘍活性は、がん細胞上でエンホルツマブ ベドチンがネクチン-4に結合して標的細胞内に取り込まれると細胞障害性物質であるモノメチルアウリスタチンE(Monomethyl auristatin E:MMAE)が放出され、細胞増殖抑制(細胞周期停止)および細胞死(アポトーシス)が生じることによることが示唆されています6

エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法は、シスプラチン適応の有無に関わらず、局所進行性または転移性尿路上皮がん(locally advanced or metastatic urothelial cancer:la/mUC)に対する治療法として、米国、欧州、日本を含む世界各国で承認されています。また、エンホルツマブ ベドチンは、PD-1/PD-L1阻害剤および白金製剤を含む化学療法による治療歴のあるla/mUC患者、またはシスプラチン不適応でこれまでに治療歴のあるla/mUC患者に対する単剤療法としても承認されています6

アステラス製薬株式会社について

アステラス製薬は、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えることを目指すグローバルライフサイエンス企業です。私たちは、がんや、眼科・泌尿器疾患、免疫、ウィメンズヘルスなどの多様な領域において、革新的な治療法を提供しています。研究開発プログラムを通じて、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域において新たなヘルスケアソリューションを開拓しています。

アステラス製薬の詳細については、www.astellas.comをご覧ください。

PfizerMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAとの提携について

Seagenとアステラス製薬は、治療歴のない転移性尿路上皮がん患者を対象に、PADCEVTM(エンホルツマブ ベドチン)とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)のKEYTRUDA®(ペムブロリズマブ)の併用療法を評価するために、臨床開発の提携契約を締結しています。既にご案内した通り、2023年12月14日にPfizerはSeagenの買収を完了しました。KEYTRUDA®はMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。

注意事項

このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

お問い合わせ先:

アステラス製薬株式会社
広報
TEL: 03-3244-3201

参考文献

1 World Bladder Cancer Patient Coalition. GLOBOCAN 2022: Bladder cancer 9th most common worldwide. Accessed October 16, 2025. Available at: https://worldbladdercancer.org/news_events/globocan-2022-bladder-cancer-is-the-9th-most-commonly-diagnosed-worldwide/

2 Bladder Cancer Awareness Network. What is Muscle Invasive Bladder Cancer? Accessed October 16, 2025. Available at: https://bcan.org/what-is-muscle-invasive-bladder-cancer/#:~:text=When%20tumors%20grow%20into%20or,Virginia%20Health%20System%20explain%20MIBC.

3 Esteban-Villarrubia J, Torres-Jiménez J, Bueno-Bravo C, García-Mondaray R, Subiela JD, Gajate P. Current and Future Landscape of Perioperative Treatment for Muscle-Invasive Bladder Cancer. Cancers (Basel). 2023 Jan 17;15(3):566. doi: 10.3390/cancers15030566. PMID: 36765525; PMCID: PMC9913718.

4 National Institute of Health. National Library of Medicine. Perioperative Pembrolizumab (MK-3475) Plus Cystectomy or Perioperative Pembrolizumab Plus Enfortumab Vedotin Plus Cystectomy Versus Cystectomy Alone in Participants Who Are Cisplatin-ineligible or Decline Cisplatin With Muscle-invasive Bladder Cancer (MK-3475-905/​KEYNOTE-905/​EV-303. ClinicalTrials.gov identifier: NCT03924895. Published July 24, 2019. Updated June 17, 2025. Accessed October 16, 2025. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03924895?term=AREA%5BBasicSearch%5D(myosarcoma)&rank=3

5 Challita-Eid PM, Satpayev D, Yang P, et al. Enfortumab vedotin antibody-drug conjugate targeting nectin-4 is a highly potent therapeutic agent in multiple preclinical cancer models. Cancer Res. 2016;76(10):3003-13.

6 PADCEV [package insert]. Northbrook, IL: Astellas Pharma US, Inc.

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