世界を表すデジタルイメージで、アステラスが世界中の患者さんのために活動に取り組むグローバル企業であることを示しています。

ニュース

アステラスは、当社のビジネス、サイエンス、製品に関連する、迅速かつ正確な情報提供に努めています。このセクションでは、投資家や報道関係者向けにグローバルの情報を提供しています。各地域のニュースについてはローカルニュースセクションをご覧ください。投資家や報道関係者以外の方は、こちらをクリックしてください。

ゾルベツキシマブ 第II相GLEAM試験に関する最新情報
2025年10月14日

アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、10月9日(現地時間)Claudin(CLDN)18.2陽性転移性膵腺がんの一次治療薬として開発中であるゾルベツキシマブについて、ゾルベツキシマブとゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルの併用療法の有効性と安全性を評価する第II相GLEAM試験の最終解析において、ゾルベツキシマブ+ゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法群(ゾルベツキシマブ+化学療法群)は、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法群(化学療法群)と比較して、全生存期間(Overall Survival:OS)において、統計学的に有意な改善が認められず、主要評価項目を達成しなかったことをお知らせします。なお、本試験におけるゾルベツキシマブ+化学療法群の安全性については、各薬剤の既知の安全性プロファイルと同様であることが確認されました。

アステラス製薬は、GLEAM試験の詳細なデータ解析を完了し、副次評価項目およびサブグループ解析を含む結果の公表に向けて治験責任医師と協力していきます。

今後も治療が困難で進行の早い膵腺がんに苦しむ患者さんに新たな治療選択肢を提供することを目指し、パイプラインのさらなる充実に努めていきます。

本件によるアステラス製薬の通期(2026年3月期)連結業績への影響は軽微です。

GLEAM試験について
第II相GLEAM試験(NCT03816163)は、CLDN18.2陽性(75%以上の腫瘍細胞において、CLDN18の免疫組織化学染色で細胞膜が中程度~強度の染色を示す場合)転移性膵腺がんの一次治療として、ゾルベツキシマブ+ゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法群とゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法を比較して有効性および安全性を検証するグローバル、多施設、非盲検無作為化試験です。米国、欧州、日本を含むアジア、オーストラリアの136カ所の医療機関で393人の患者が無作為に割り付けられました1

膵がんについて
膵がんは、世界で12番目に多く診断されるがんであり、がんによる死亡原因として6番目に多い疾患です2。2022年には、世界中で510,000人以上が膵がんと診断され、約467,000人が亡くなりました1,3。男女ともに膵がんの発生率と死亡率は上昇しており、2030年までには、先進国でがんによる死亡原因の第2位になると予測されています4

膵がんは、がんの中でも特に予後が悪い疾患であり、転移した場合の5年生存率は5%未満です5。膵がんの中で最も一般的なタイプは、腺がんで、全体の90%以上を占めます6

現在、治癒を目的とした唯一の治療法は、手術とその後の補助化学療法です7。しかし、手術が可能な場合でも、5年生存率は10%未満にとどまります6

ゾルベツキシマブについて
ゾルベツキシマブは、膜貫通型タンパク質CLDN18.2を標的として結合するキメラIgG1モノクローナル抗体です。ゾルベツキシマブは、CLDN18.2 陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌を効能・効果として、承認されたファーストインクラスのCLDN18.2を標的とする抗体です。ゾルベツキシマブは、日本、米国、中国、欧州を含む世界中の多くの国と地域で承認を取得しています。

CLDN18.2は、胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんに関与しているだけでなく、膵腺がんの発症、転移に関わっており4、GLEAM試験において転移性膵腺がんの約27.7%で発現していました1。CLDN18.2陽性の定義は75%以上の腫瘍細胞において、CLDN18の免疫組織化学染色で細胞膜が中程度~強度の染色を示す場合です。これは、CLDN18.2を標的とする治療法の恩恵を受ける可能性がある患者群が多く存在することを示しています1

ゾルベツキシマブは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)と補体依存性細胞傷害(CDC)という2つの異なる免疫系経路を活性化することにより、がん細胞死を誘導します1,8

膵がんを対象とする臨床パイプラインについて
アステラス製薬は、革新的なモダリティを活用し、膵がんを含む消化器がんを対象とした複数のプログラムを研究開発しています。

ASP3082は、アステラス製薬が自社で創出した新規の標的タンパク質分解誘導剤で、KRAS G12D変異タンパクをターゲットとしています9。ファーストインクラスの治療薬となる可能性のあるASP3082は、現在、KRAS G12D変異陽性の局所進行性(切除不能)または転移性の固形がんを有する患者を対象に第I相臨床試験が進行中です。KRAS変異は最も頻繁に見られるがん関連遺伝子変異の一つであり、特にKRAS G12D変異は膵管腺がんの約40%で発現していることが知られています9。さらに、アステラス製薬は、同じくKRAS G12D変異を標的とするASP4396の開発を進めており、第I相臨床試験を実施中です。詳細についてはNCT05382559 (ASP3082)、NCT06364696 (ASP4396)をご参照ください。

ASP2138はCD3とCLDN18.2に対する二重特異性モノクローナル抗体であり、CLDN18.2陽性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん、並びに転移性膵腺がんを対象に第I相試験が進行中です。詳細についてはNCT05365581をご覧ください。

アステラス製薬は、CLDN18.2を標的とした臨床段階にある新規の抗体‐薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)XNW27011の全世界(中国本土、香港、マカオおよび台湾を除く)における開発および商業化に関する独占的なライセンスを保有しています。XNW27011は現在、XNW27011のライセンサーであるEvopoint Biosciencesによって、胃腺がん、食道胃接合部腺がんおよび膵腺がんを含む、CLDN18.2陽性の固形がん患者を対象に第I / II相試験が実施されています。詳細についてはNCT06792435をご覧ください

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えることを目指すグローバルライフサイエンス企業です。私たちは、がんや、眼科・泌尿器疾患、免疫、ウィメンズヘルスなどの多様な領域において、革新的な治療法を提供しています。研究開発プログラムを通じて、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域において新たなヘルスケアソリューションを開拓しています。

アステラス製薬の詳細については、www.astellas.comをご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

参考文献

  1. Park W, O’Reilly EM, Li C-P, et al. Zolbetuximab With Gemcitabine + Nab-Paclitaxel (GN) in First-Line Treatment of Claudin 18.2–Positive Metastatic Pancreatic Cancer (mPC): Phase 2, Open-Label, Randomized Study (GLEAM). Poster 1532TiP presented on 14 September 2024 during European Society of Medical Oncology Congress 2024.
  2. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer Global Cancer Observatory. Pancreas. 2022. Available at: https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/13-pancreas-fact-sheet.pdf. Accessed October 2025.
  3. Li T, Lin C, Wang W. Global, regional, and national burden of pancreatic cancer from 1990 to 2021, its attributable risk factors, and projections to 2050: a systematic analysis of the global burden of disease study 2021. BMC Cancer. 2025 Feb 3;25(1):189.
  4. Xu Q, et al. Dark horse target Claudin18.2 opens new battlefield for pancreatic cancer. Front Oncol. 2024. 14. doi.org/10.3389/fonc.2024.1371421.
  5. National Cancer Institute, Surveillance, Epidemiology, and End Results Program. Cancer Stat Facts: Pancreatic Cancer. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/pancreas.html. Accessed October 2025.
  6. Sarantis P, Koustas E, Papadimitropoulou A, et al. Pancreatic ductal adenocarcinoma: Treatment hurdles, tumor microenvironment and immunotherapy. World J Gastrointest Oncol. 2020;12(2):173-181
  7. Robatel, S, et al. Current limitations and novel perspectives in pancreatic cancer treatment. Cancers (Basel). 2022; 14(4): 985
  8. Türeci Ö, Mitnacht-Kraus R, Woll S, Yamada T, Sahin U. Characterization of zolbetuximab in pancreatic cancer models. Oncoimmunology. 2019;8(1):e1523096
  9. Lee, JK et al. Comprehensive pan-cancer genomic landscape of KRAS altered cancers and real-world outcomes in solid tumors. NPJ Precis Oncol. 2022;9;6(1):91.