アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、選択的FLT3/AXL阻害剤であるASP2215の再発または治療抵抗性の急性骨髄性白血病(AML)患者における安全性、忍容性および有効性に関する第I/II相試験の予備的な結果が、シカゴで開催されている2015年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で口頭発表されましたのでお知らせします。
ASP2215は、がん細胞の増殖に関与する受容体型チロシンキナーゼであるFLT3及びAXLを阻害します。ASP2215は、AML患者の最大1/3で認められるFLT3の2つの遺伝子変異、遺伝子内縦列重複変異(ITD)とチロシンキナーゼドメイン変異(TKD)の両方を阻害します。第I/II相試験の予備的な結果では、80 mg以上投与されたFLT3変異陽性患者106名において、57.5%の全奏効率ならびに47.2%の複合完全寛解率(完全寛解+血小板の回復が不完全な完全寛解+血球の回復が不完全な完全寛解)が認められました。さらに、すべての用量におけるFLT3変異陽性患者の寛解持続時間中央値は18週であり、80 mg以上での全生存期間中央値は約27週でした。また、血漿阻害活性アッセイでは、ASP2215が80 mg以上投与された患者のサンプルで、一貫して持続的にFLT3が阻害されることが確認されました。
ASP2215の第I/II相試験のデザインは3+3用量漸増法に従い、1日1回20~450 mgの用量範囲を評価しました。用量漸増法で認められた有効性に基づき、各用量の拡大コホートによる検討が並行して実施されました。本試験には合計198名の患者が登録され、24名が用量漸増コホート、174名が用量拡大コホートに組み入れられました。450 mgにおいて患者2名に用量制限毒性(グレード3の下痢とALT/AST上昇)が認められ、最大耐量(MTD)が300 mgに決定されました。
演者であるジョンズ・ホプキンス大学Sidney Kimmel総合がんセンター腫瘍科のMark J. Levis博士は「本試験においてASP2215はAML患者の約30%に認められるFLT3変異に対して阻害効果があることが分かりました。」と述べています。
Astellas Pharma Global Development, Inc.のSenior Vice President and Oncology Therapeutic HeadであるClaire Thom博士は次のように述べています。「私たちは、AMLのように治療選択肢が限られている治療抵抗性がんの治療薬を中心に開発を進めています。今回の結果は、ASP2215がこのような患者さんの治療選択肢となりうる可能性があることを示しており、私たちはこの結果に大変胸を躍らせています。AML患者さんのために、ASP2215を第III相試験に進め、本化合物のあらゆる可能性を深く探索したいと考えています。」
再発性および難治性AML患者を対象とするASP2215無作為化第Ⅲ相試験(用量:1日120 mg)を2015年後半に開始する予定です。詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02421939.
本件については、米国において、現地時間5月30日に対外発表しています。
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ASP2215について
ASP2215はアステラス製薬と寿製薬株式会社の共同研究により見出されました。アステラス製薬はASP2215について全世界での開発、製造、ならびに商業化に関する独占的な権利を有します。
アステラス製薬では、優先度の高いプロジェクトをFast Trackと位置づけ、重点的に経営資源を投入し研究開発期間の一層の短縮を図っており、ASP2215をFast Track第一号に指定しています。
急性骨髄性白血病(AML)について
急性骨髄性白血病は血液と骨髄に影響を及ぼし、高齢者で多く罹患するがんです。米国がん協会(American Cancer Society)によれば、2015年米国において20,830名が新たにAMLと診断され、約10,460名が死亡すると推定されています。
寿製薬株式会社について
寿製薬株式会社(http://www.kotobuki-pharm.co.jp/index.html) は、長野県に本社を置く、革新的新薬の研究開発とジェネリック医薬品を提供するハイブリッドな製薬会社です。消化器疾患、糖尿病、がん、免疫疾患、脂質異常症を主要研究領域とし、高い創薬性・高い品質・高い倫理性を一貫して追求、高い生活の質と高い健康年齢への貢献を目指しています。
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