アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦)は、米国メディベーション社と共同で開発・商業化を進めているアンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミド(一般名、製品名:XTANDI/イクスタンジ、開発コード:MDV3100)について、第II相STRIVE試験の新たなデータが発表されましたのでお知らせします。STRIVE試験は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログによるホルモン療法あるいは外科的去勢術後に進行した非転移性前立腺がん患者または転移性前立腺がん患者を対象としてエンザルタミドとビカルタミドを比較しました。本試験データは、米国のニューオリンズで開催している2015年米国泌尿器科学会年次総会(AUA)のPlenary Sessionで発表されました。
エンザルタミドに関する主要な発表内容
演題:A multicenter phase 2 study of enzalutamide versus bicalutamide in men with nonmetastatic or metastatic castration-resistant prostate cancer: STRIVE trial
(非転移性または転移性去勢抵抗性前立腺がん患者においてエンザルタミドとビカルタミドを比較する多施設共同第II相試験:STRIVE試験)
- 主要評価項目である無増悪生存期間において、エンザルタミド群ではビカルタミド群と比較して統計学的に有意な延長が認められました(ハザード比=0.24;p<0.0001;95%信頼区間0.18-0.32)。無増悪生存期間の中央値は、ビカルタミド群の5.7か月に対し、エンザルタミド群では19.4か月でした。
 - 副次評価項目である画像診断による無増悪生存期間、前立腺特異抗原(PSA)値の増悪までの期間、PSA奏効率においても、エンザルタミド群ではビカルタミド群と比較して有意に改善しました。
 - 非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における無増悪生存期間の中央値は、ビカルタミド群では8.6か月、エンザルタミド群では解析時点で中央値にまだ達していません(ハザード比=0.24;p<0.0001;95%信頼区間0.14-0.42)。転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における無増悪生存期間の中央値は、ビカルタミド群の5.5か月に対し、エンザルタミド群では16.5か月でした(ハザード比=0.24;p<0.0001;95%信頼区間0.17-0.34)。
 - STRIVE試験におけるエンザルタミド群の安全性プロファイルは、これまでに得られているエンザルタミドの安全性プロファイルと一致していました。
	
- 投与期間の中央値はエンザルタミド群で14.7か月、ビカルタミド群で8.4か月でした。
 - 重篤な有害事象は、ビカルタミド群の28.3%、エンザルタミド群の29.4%でみられました。グレード3以上の心臓関連の有害事象は、ビカルタミド群の4.0%、エンザルタミド群の5.1%でみられました。痙攣発作は、エンザルタミド群で1例みられ、ビカルタミド群ではみられませんでした。
 - 最もよくみられた副作用のうち、ビカルタミド群よりもエンザルタミド群で多くみられたものは、疲労、背部痛、ほてり、転倒、高血圧、めまい、食欲減退であり、これまでに得られているエンザルタミドの安全性プロファイルと一致していました。
 
 
治験責任医師の一人であるワシントン大学泌尿器科の教授であるCelestia S. Higano, M.D., FACPは、「STRIVE試験は、エンザルタミドとビカルタミドを直接比較した2つ目の試験であり、本試験の結果は医療関係者の関心を集めています。STRIVE試験の結果は既に得られているTERRAIN試験の結果と一致しており、LHRHアナログにビカルタミドを併用する標準治療よりもエンザルタミドを併用する方が治療成績を向上させることが示されました。」と述べています。
なお、米国において、現地時間5月17日に本件を対外発表しています。
以上
STRIVE試験について
第II相STRIVE試験は米国において実施され、396例が組み入れられました。LHRHアナログによるホルモン療法あるいは外科的去勢術後に進行した転移性前立腺がん患者257例、非転移性前立腺がん患者139例が登録されました。主要評価項目は無増悪生存期間で、これは、ランダム化から画像診断上の進行(骨もしくは軟部組織)、PSA値の増悪(Prostate Cancer Working Group 2 criteria)、原因を問わない死亡のうちいずれかの事象が最初に起こるまでの期間と定義されています。本試験では、エンザルタミド160 mgを1日1回投与した群とビカルタミド50 mg*を1日1回投与した群を比較しました。
*欧米でLHRHアナログとの併用において承認された用量。日本におけるビカルタミドの承認用
量は1 日80 mg。
